教員採用試験の小論文(論作文)は、"prerequisite"(あらかじめ必要とされる初期条件)を満たせば、合格点が取れます!

今日は、小論文(論作文)の勉強法についてお話しましょう。

受験技術の紹介や対策本の紹介ではなく、小論文を書くにあたっての"prerequisite"(あらかじめ必要とされる初期条件)についてお話しましょう。


小論文を上手く書けるようになりたい、小論文を書くのが苦手だという人は結構、多いようです。

教採で書く小論文を自信を持って書けるようになるためにはどうすればよいのでしょうか。

小論文を書くに当たって最も重要な4つの初期条件についてお話しましょう。

1.社会常識・社会時事に関心を持つ。

2.教育論、指導論をしっかり学ぶ。

3.他者の言葉にたくさん触れる。

4.いわゆる対策本の言葉に影響され過ぎない。

この4つは優れた小論文を書くためにどうしても必要な初期条件です。

これらがなければ、自信を持って小論文を書くことは難しいでしょう。


1.社会常識・社会時事に関心を持つ。

これは最も重要です。

社会のことを知らず、時事的なものにも関心を払わず、世の中で何が起こっているのかにも興味もなく、何も知らないというのでは、そもそも小論文なんて書けるわけがありません。

小論文は抽象的に、三角形や円の面積を求めるのとは違います。

人間社会に興味がない人に、教育や指導に関する小論文が書けるわけがありません。

教育は人間のために、人間社会のために、人間の未来のために行われます。

人間社会のことに関心を持たず、知ろうともしないのでは、教育について語れるはずがありません。

ですから、まず、社会のことを知りましょう。

世の中で何が起こっているかを知りましょう。

新聞を読む、ニュースを聴く、インターネットで多様な情報に触れる、などは、最低限必要です。

特に新聞を全く読まない、ニュースをほとんど聴かないようでは、教師失格です。

教師は、子どもたちと社会とをつなぐ接点の一つであることを忘れないでください。

子どもは自分たちでも社会に触れ、社会から学びますが、教師からも社会とのつながり方を学びます。

教師自身が社会とつながっていなければ、子どもたちに社会とのつながりを教え、気付かせることはできません。

教師として失格のような状態で、教育に関する小論文が書けるはずがないですよね。

今日、お話しする「初期条件」とは、こういうことなのです。


2.教育論、指導論をしっかり学ぶ。

これも大切ですね。

でも、誤解しないでくださいね。

これは、決して、教採用の教育原理や教育心理の受験勉強をしなさいと言っているのではないのです。

大学での学び、教育実習での学び、学校現場での学びを最大限に大切にしてくださいということを言っています。

ろくに教育学も学ばず、指導論も知らず、自分の勝手な思いつきで教育に関する小論文が書けるわけがありません。

知っている教育論や指導論と言えば、教採の勉強用に学んだ断片的な知識というのでは話になりません。

もっと思考と考察と実践に基づく理解が必要です。

そして、それは大学での日々の学びや、教育実習での貴重な体験や、学校現場での日々の苦労であるということを知っていただきたいと思います。

私はアメリカの大学で教えていましたが、アメリカの大学生は大学での学びが役に立たないなんて思っていませんし、ましてや役に立たない学びを教えるようでは大学ではありません。

日本に帰ってからも、日本の大学の教師をしましたが、日本の学生さんの多くは違う意識を持っているようでした。

日本の大学生は、大学での学びは単位を取っただけでほとんど覚えていないが、教採受験対策の勉強は本気でやるといった人もかなりいました。

大学での学びを軽んじて、受験対策の勉強だけをやっても筆記試験はある程度得点できますが、小論文はボロボロになります。

多くの受験者が自覚していることです。

大学での勉強は学問です。

好き嫌い、得意不得意はあるでしょうが、学問を怠っていては優れた小論文は書けません。

いま大学生で来年の夏に教採を受ける方は、まだ10ヶ月近くあります。

大学での学びを大切にしてください。

大学での学問にしっかり打ち込んでください。

約10ヶ月後、きっとそれが役に立ちます。

小論文は受験用に速習することもできなくはないですが、ゆっくりと時間をかけて、よい文章が書ける自分自身を創り上げることの方が、素晴らしいことだと私は考えています。

私は、教育者として学者としては、やはり若者には学問を積んで欲しいと思います。


3.他者の言葉にたくさん触れる。

これは別の言い方で言えば、多くの本を読む、多くの人と語る、講演を聴く、演劇を観る、落語を聞く、何でもいいから人の語りに触れるということです。

多くの人の言葉に触れることは、自分の想いと言葉を豊かにします。

一人よがりの言葉ではなく多様な言葉から学びましょう。

逆の言い方をすれば、本も読まない、人とも語らない、文芸に触れない、話芸に触れない、というようでは、教師には向いていませんし、教育者としての言葉は生まれてきません。

他人の言葉に触れて触れて触れまくる、教師になるにはどうしても必要なことです。


4.いわゆる対策本の言葉に影響され過ぎない。

先程、他人の言葉に触れることは重要だと強調しましたが、一つだけ注意して欲しいことがあります。

それは、いわゆる小論文対策本などにある「論作文に使える用語」などを使い過ぎないことです。

これらの用語は使い古された「いのち」のない言葉です。

「論作文に使える用語」などをそのまま自分の小論文に使っていたのでは、伝えたい想いや情熱を表現することはできません。

もちろん、言い方の一つ、フレーズの一つとして参考にすることは構いません。

ただ、対策本にある言葉だけを使いまわすということは避けた方が賢明です。

小論文は自らの想い、情熱、使命感の表現です。

自分の想いや情熱や使命感は自分が納得し、自分が見出した言葉で語りましょう。

それが、小論文に生命を吹き込むことに他なりません。

小論文試験はあなたの「人となり」を見るためのものです。自分自身は自分の想いと言葉で表現したいものです。


4つの初期条件をしっかりと満たして、素晴らしい小論文を書いて、教採合格を勝ち取ってくださいね!


河野正夫
レトリカ教採学院

https://kyousaijuku.com/


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