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服オタクに付き合ってコレクションを観たら想像と違う感動の涙だった話

リワードローブ南部です。
コレクションって、皆さんは観たことありますか?
パリコレ、ミラノコレクション、などなど。
「ランウェイがあって、モデルさんが歩いてて、っていう映像が観たことあるな、写真はニュースで流れてくるのたまに観るな」
私を含め、一般の人にとってはそんなものかと思います。

スタイリスト川村のような服オタクにとって、コレクションは超絶テンション上がるもののよう。
今日は川村の自宅で打ち合わせ。昼。
川村「ごはん作るから、待ってる間、これを観て」
画面に映し出されたのは、youtubeにあるコレクション動画の数々。
南部「う、うん、、、」
川村「まずはこのまま観て、コレクションってこんな感じかっていうの観てもらって、次に観ながら私が横で解説するから」
南部「う、うん、、、(圧が強い)」
というわけで1人で観る。

観てる間にごはん作ってもらえるなんて最高だ

ごはん出来たけどまだ観る。

ネギトロ丼食べてる

4本くらい観た。
Fendi、Yohji Yamamoto、COMME des GARÇONS、Ralph Lauren。
感想は、「きれい!かっこいい!ショーとして素敵!テンション上がる、ミュージカルみたい、わー--!ってなるね、おもしろい!」
でも、「服がどうっていうのはよく分かんないな」
でした。

川村「これから観て欲しいのはこれ、AZ FACTORYの2022年春夏コレクション、私は泣きながら何度も観た」
私はAZ FACTORYを知らなかったので概要を聞く。
2019年に創られた、デザイナーのアルベール・エルバス(Alber Elbaz)氏のブランド、彼はLANVINを復活させた有名なデザイナーだそう。
「あなたが自分らしくいられて、自分自身を愛せるように、我々はあなたのそばにいる」などなど、たくさんの言葉を残し、ずっと服で愛を表現してきた人。

アルベール・エルバス氏

ところが、2021年4月にコロナで亡くなる。
残されたデザインチームによって2022年春夏コレクションがつくられ、45ブランドが追悼と愛を込めて1ルックずつ制作したトリビュートコレクションと合わせて披露されたのがこちら。
AZ Factory Spring/Summer 2022

いやいや、この背景でもう泣くやつやん。
コレクションがどうっていうか、このストーリーやん。

である。
でも説明しながらほとんど泣いてる川村を相手にそうも言えず、黙って観る。
ストーリーで心を持っていかれてた私、冒頭のナレーションでぐっと入る。
Love Brings Loveの文字。ううう。
参加している45ブランドは、私でも名前の分かるハイブランドばかり。
ディオール、ヴィヴィアン・ウエストウッド、バレンシアガ、ジャンポール・ゴルチエ、サンローラン、などなど。
画面に出てきたときに、それがどのブランドのルックかを川村が教えてくれて、
見たことあるモチーフに目が行ったり、どこがどうって分からないけど、雰囲気から、そのブランドっぽさを感じる。
おそらく街や雑誌で、広告やディスプレイを通して世界観に触れてきて、なんとなく刷り込まれてるんだろう、自分がこんなにも「このブランド知ってる」という感覚で観ていることに驚いた。

川村はこの8枚で止めどなく言いたいことが出てくるんだと思われる

観てると、そのブランドの世界観が広がる。
そのルックに込めた想いや、故アルベール・エルバス氏へのデザイナーの想いに触れる。
故アルベール・エルバス氏が創造し、多くのデザイナーと共にしてきた愛に触れる。

1ルックずつ、号泣である。

ティッシュの箱を前に置くレベル

「ファッションは表現だ」って概念では分かってたけど、それってこういうことかっていうのがずどんとくる体験だった。
愛とはなにか、故アルベール・エルバス氏はどんな人なのか、それぞれのデザイナーが彼との関わりで何を感じ、何を得て、今何を伝えたいのか。
服という形になっていることで、私がそれらを感じられる。

「吊るされた服を見るんじゃなくて、人が着て、歩いてるところを見てほしい」って川村が何度も言ってたのも納得で、言葉や絵での表現と違って、人が着て、一体となって表現することで、その世界が躍動的に放たれるという感覚。(体感の3%くらいしか言葉に出来てない気がするので、コレクションをあと100本くらい観て再度書きたいところ)

きっと、ファッションに詳しくて、ブランドやデザイナーをよく知っていたら、もっと受け取れるものがあるんだろう。
川村と私は、違うところを見て、違うことを感じて泣いていたんだと思う。
それでいいのだ。

「服オタクのスタイリストが見てきた世界ってこんなところなのか」というのも私にとって大きな学びだった。
ハイブランドを担当してきたかということではなくて、好きでその世界を探究してきた人が持つ豊かな世界は、かじっただけでは得られない。
魂が込められた、服での表現をたくさん見て、感動して泣いて、ずっと服オタクやってきた川村。
私たちリワードローブのコンセプトは「自分らしさを愛し、私が私を装い、私が私を生きること」
川村と作るのが改めて楽しみになった。

初めて触れた、コレクションレポ。
皆さんもいろんなブランドのコレクションを観てみてください。
(このコレクションを解説してる記事もたくさんあって、素人でも読みやすい解説もけっこうありました)