見出し画像

#122 わたしを支えてくれる音楽たち

尾崎リノさん『その点滴がはずれたら』
この曲を聴くと、とてもとても優しい気持ちになります。

優れた芸術は、非物質界を描き出すものです。
体験したはずのない記憶や感動や愛情を呼び起こすものなのです。

大貫妙子さん『くすりをたくさん』
ここのところ、心療内科に行くたび薬をもっと増やしてほしいと頼んでいます。

とはいえ、向精神薬の類は効き目や副作用の判断に時間を要するもの。
急に大増量してもらえる訳ではありません。

わたしとしては、もっといろんな薬と量をどんどん試してみたいのですが、そう考えると同時に、いつも頭の中にはこの曲が流れています。

さよならポニーテール『思い出がカナしくなる前に』
恋愛をコンテンツとして消費の対象とすることには、しばしば無責任さを伴います。

あらゆる恋には終わりがあり、喪失があり、心の再生には膨大な時間と労力を要します。

しかし、抜群の詩的表現ができるのであれば、無責任のそしりを受けるどころか、心の代弁者として賞賛を受けることすらできるのです。
初期のさよポニは、そのような名曲の宝庫です。

森山直太朗さん『どこもかしこも駐車場』
全く関係のない言葉と恋愛の終わりが重なるこの歌がラジオから流れたとき、爆笑してからぽかーんとして、聴き終わる頃にはすっかり感服していました。天才的表現です。

心がセンチメンタルになっている時にこの曲を聴くと、ちょっと泣いてしまう。
駐車場って、言っているだけなのに。

サンボマスター『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』
ロックという言葉は、いち音楽ジャンルという意味を超えて、精神性を表すものでもあります。

確か、いつかの深夜帯のテレビで、ライブの映像を見たのがサンボマスターとの初遭遇です。
全身全霊、という言葉が具現化した姿を見た気分で、一瞬にしてファンになりました。

悲しみで花が咲くものか!
今までの過去なんてなかったかのように、歌い出すんだぜ!

サンボマスターの初期アルバム3作は、CDが擦り切れるんじゃないかと思うほどに、繰り返し聴きました。

でんぱ組.inc『でんでんぱっしょん』
電波ソングというジャンルは、一見して無意味な言葉の羅列に見えるものが、実は膨大な感情表現を圧縮したものだと気づけたときに、リスナーの心の中で花開く遅発性ウィルスのような表現です。

グルーヴコースターというアーケードゲームのデモ映像で古川未鈴さんを知って、このグループのファンになりました。

アイドルになって、子供の頃に自分をいじめた人達を見返してやりたいという動機から、それを実現する過程で赦しを超えて、ファンを愛し導く存在になる道は、まさしくアイドルだったと思います。

未鈴ちゃん、たいして可愛い訳でも、歌が上手い訳でもないのだけれど、赤い衣装のツインテールがセンターにカッと立つ姿には不思議とカリスマを感じてしまいます。

そして何より素晴らしいのは、結婚・出産をしてもアイドルとして現役であり続け、その姿にファンの祝福を受けていることです。

夢で終わらんよ!
マイナスからのスタート、なめんな!

そう啖呵をきった何の後ろ盾もない女の子達がメジャーにのしあがっていく姿を見て、とても勇気づけられた記憶があります。

ヤバイTシャツ屋さん『hurray』
鬼POP激キャッチーなパンクロックがヤバTの信条だと思うのだけれど、シャイなこやまさんだからこそ、スカッと響く応援歌が歌えるのだと思います。

心配ない!なんて嘘や
心配しかないけれど、お前は大丈夫

ほらご飯とかいっぱい食べよ
セロトニンとか出しまくり
気が向いたら、散歩でも行こな

ヤバT、優しいんだよね。
武道館ライブに両親を出演させるとか、観客として呼ぶのではなくて演者としてですからね。

この曲は、ヤバTらしくないのに、しかしヤバT以外が歌うというのはありえないという風な、彼等の優しい内面が投影された曲だと思います。大好きな曲です。

ザ・ブルーハーツ『リンダ リンダ』

これはもう…説明不要、ですよね。

彼等の1stアルバム『THE BLUE HEARTS』は国宝に指定して、この曲を国歌にしてもいいくらいです。

実は、ここ1週間ほど、心療内科のお薬を飲まずに過ごしています。

年末の仕事はほぼ終わりましたし、飲むのをやめてみて、果たしてほんとうに効いているのか確かめたくなったということと、久しぶりにお酒を飲みたかったからです。

薬を飲んでいるとね、泣けないんですよ。
いまこの記事は、ウィスキーをちびちびやりながら書いているのですが、いろんな曲を聴きかえしていっぱい泣けました。

あー、すっきりした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?