#002 さながら醜悪。
部屋の掃除ができなくなって2年経つ。家中がダンボールと空き缶とペットボトルに埋もれているから、デスクとベッドの上しか整頓された場所がない。
玄関から居室までのルートには獣道ができていて、少し足を踏み外すとペットボトルを踏んでパリパリ音が鳴る。食品系のごみは1,2週に1回は出せている。洗濯も同じくらいのペース、それが限界。
そうそう、トイレ掃除と風呂掃除もずっとしていない。だから強めの香りがついたトイレットペーパーはありがたい。駅のトイレみたいな便所臭が消えるから。
週2回お風呂屋さんに行くくらいには風呂好きだったのに、これもずいぶん行ってない。さらには、自宅の風呂も週に1度くらいしか入らない。出かける用事がある時だけ、シャワーを浴びている。歯を磨くのもその時だけだ。
歯の治療はもう何年前か忘れたが、治療の途中で行かなくなって以来の放置だ。銀歯は全部取れたし、抜けた後の歯はだんだんと欠けたり折れたりして、もうどうしようもなくなっている。
食事はコンビニかUber Eatsばかり。自炊が嫌いではなかったはずだが、ダンボールとペットボトルに阻まれ台所に到達できなくなったので、これもやはり2年ほど前から自炊していないということになる。
どうしてこうなったかは、わかる。
片付けなかったからだ。
片付けられなくなった理由は、わからない。
生きる気力がないから、というのがしっくりくるが、とにかく今は間違いなくぶっちぎりで、人生イチ酷い。唯一のオアシスがベッドの上だが、布団が臭い。
かつておしゃれに暮らしていた頃の名残が、ホコリをかぶってゴミ同然に転がっているのが痛々しい。座ることと寝ること以外できないウジ虫には、片付けるのは事実上不可能。
人に頼む金もない。なので、死んで逃げたい。
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