Re-Vive7〜競技に必要な身体操作の礎〜
このシリーズでは、Re-Viveで行っているRe-Vive7という身体操作の要素トレーニングについて綴っていこうと思います。
Strength and Conditioningの仕事を始めてトレーナーの道に進み、理学療法士としてヒトの動きについて学んできました。ヒトが動くということの原理原則とはなんなのか、どのような動きが”良い”動きで、何が”良くない”動きなのか。我々は何を基準に今の運動は良い動き、良くない動き、という判断をしているのか。私が運営するRe-Viveでは、端的に言うと「身体の使い方」をお伝えしています。アスリートが持つ様々な課題、悩みに対して、何がその動きを妨げる要因になっていて、どうすればその課題は達成できるのか、どんな要素を伸ばせば現在の運動はより効率を上げるのか。そんな内容をお伝えしているつもりです。
(ハンドバランス系のトレーニングは、手からの情報量が増えることで安定感が増す。両足で立っている時は足裏の感覚が大切なのと同じ)
今回、このシリーズでは、我々がアスリートの能力を伸ばすために取り組んでいる身体操作7つの要素について解説していきたいと思います。7つの要素一つ一つの具体的な内容に入るのは次回からにして、今回は、このRe-Vive7と呼んでいる7つの身体操作要素を皆さんに知っていただくこと、このトレーニングはどのような根拠に基づいて生まれてきたのか、ということをお伝えする内容にしたいと思います。
Re-Vive 7とは
まず、Re-Vive7と呼んでいる7つの身体操作要素とはなにか。。
細かく説明するのは次回からにしますが、ざっくり説明させていただくと下記のようになります。
1.Wave:背骨の感覚を養おう
2.Hollowing:体軸の制御を学ぼう
3.Pistal:股関節の動きを作ろう
4.Dragon:回旋力を使いこなそう
5.Corkscrew:鎖骨に動きをつなげよう
6.Omoplata:肩甲骨を使いこなそう
7.Sissy:後ろ(背面)の動きを身に着けよう
さて、なんのこっちゃ。。笑
どうしてそういう名前がついたのか、、そこは一旦置いといて。。ここで行う7つの要素トレーニングは、競技能力を直接伸ばすこともあれば、今抱えている問題をすぐに解決するものではない場合もあります。前提としてヒトの身体の構造を考えたとき、地球上で動くためにはこういった身体のコントロール能力が必要だ、というものを並べたものです。ですから、あくまで競技をやるための前段階のトレーニング、つまり「基礎能力」の開拓といえるでしょう。
具体的に言うと、ウェイトトレーニングでしっかりと筋肉に負荷をかけていくにしても、まずこういった身体を操る能力が出来上がったところに錘が乗ってくるのと、必要な制御能力を無視して負荷をかけていくのでは、出来上がった運動の「質」が決定的に異なります。つまり、ウェイトすれば身体が大きくなって、筋出力は大きくなる一方で、からだの動きを司る制御の質は低く、基礎能力が足りない状態を作り出します。
我々が普段見ている選手の中にも、スクワットは200kg、ベンチプレスは150kg持ち上げる、という選手がざらにいます。けど、色々な運動課題に対して効率の良い方法を選択できる能力は非常に低い。そのような選手は思い描いたような動きを実現するための経験と習熟が足りない事も多く、簡単な姿勢を維持するトレーニングを行わせようとした時に、基本的な姿勢が取れなかったりします。このような状態は、普段実現できているパフォーマンスの多くが、足りない機能を補った「代償運動」の上に成り立っていることを表しています。
代償運動で実現しているパフォーマンスは、疲労によって再現性が落ちる、怪我をする、といった問題を引き起こします。そうならないように、まず基礎となる身体の動きを開拓していく。それがRe-Vive7の中身です。
Re-Vive7の背景にあるもの
このRe-Vive7を根底で支えているのは「進化学」です。
(三木成夫「ヒトのからだ」より)
Re-Vive7はヒトの構造をもって地球の重力下で動くならば、こういう使い方をしていくと効率が良いはずだよ、ということの練習を繰り返すものです。だから、背景にあるのはヒトの構造がどう作られてきたのか、つまり進化の過程がその理解の中心にある。
すべてをこの記事で説明していくことはできないのですが一部分だけお伝えしてみます。ヒトの運動の最大の特徴は2足歩行です。他に類を見ない移動方法で地面の上を闊歩していきます。でも、いきなり2本の足で立って歩けたわけではありません。ヒトの形が作られるまでには、今まで長い年月をかけて作られてきた動物の構造の一部分が変化したり、付け足されたり、なくなったりして形作られてきました。では、、2足歩行の前段階にある動物の動きとは・・、つまり、まだヒトが2足で立って歩き出す前、どんな環境でどのような構造が形作られ、その機能を発達させてきたのでしょうか。
前段階にある樹上空間
この前段階の動きを作り出した「環境」は、樹の上、樹上空間と言われています。木の枝を伝ったり、渡り歩いたり、ぶら下がったり跳び移ったり。上下左右、非常に複雑な3次元空間のなかで移動する能力を身に着けてきました。そんな空間で培ってきたヒトの運動。これを原理原則と考えて構造を眺めたとき、理にかなった動きができるようになるためには、我々の考える7つの運動要素を使っていただくといいのではないだろうかというわけです。
まずは背骨の話
すべての運動の基本には、体幹のコントロールが必要になります。人が移動する、ということは、四つの手足を使って頭、体幹、骨盤を運ぶ、ということです。四肢が動いている時に背骨がどのような位置にあれば安定して動けるのか、効率がよく動けるのか。そのようなことを無意識的に操作できるようになるには、背骨の感度が大変重要になります。
このあたりから、Re-Vive7の旅を始めていきましょう。
次回から、具体的に開発していきたい身体操作能力とトレーニング方法を動画付きでお届けできたらいいな、と思っております。
また読んでください(^^)
最後までお読みいただきありがとうございました!
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