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ラグビーにおけるタックルの種類とケガ

こんにちは。

Re-Viveの真木です。

前回まで3回にわたって、

ラグビーにおけるケガの発生頻度とか、

どんなケガが多いのか、とか、

どんな場面で起きるのか

といったお話をしてまいりました。

残念ながらラグビーは他のスポーツと比べて

やっぱりケガが多くて、

膝や肩はケガしやすくて、

ケガが多いプレーはタックルして、とか

タックルされて、という場面である、

ということがわかりました。

その激しさが魅力のスポーツではありますが、

やはりケガはつきもので、

だからこそ、ケガが起きるようなプレーの精度を向上させていく、

というのはとても大切なことだと言えます。

今回からは、もっともケガが多く発生する、

「タックル」について触れていきたいと思います。

まず、そもそもラグビーにおける「タックル」という行為の定義は

どういうものかというと、

World Rugbyが定めるLawには、以下の記載があります。

1.For a tackle to occur, the ball-carrier is held and brought to ground by one or more opponents.
2.Being brought to ground means that the ball-carrier is lying, sitting or has at least one knee on the ground or on another player who is on the ground.
3.Being held means that a tackler must continue holding the ball-carrier until the ball-carrier is on the ground.

(https://laws.worldrugby.org/?law=14&language=ENより転載)

「ボールを持っている人が、一人もしくはそれ以上の敵選手につかまれて、

グラウンドに倒されること」

つまり、これは相手の進行を食い止める行為に他ならないのですが、

試合をご覧いただければわかる通り、

相手をグランドに引きずり倒す手段にはいろいろあって、

タックルの種類も一つではないんですね。。

ちなみに、3番目に記載がありますが、

「つかまれて、ということの意味は、

タックラーはボールキャリアーがグラウンドに倒れるまで

しっかりつかんでいなければならない」

ということです。

ボールを持っている選手は、

タックルされたら一度ボールを離さなくてはならないのですが、

時々、倒されたのにボールを持ったまま走り続ける場面があります。

あれは、タックルした選手がボールキャリアーの選手を

つかんだまま倒していないからルール上オッケー、というわけですね。

話がそれました。。

ラグビーでは、どんなタックルの仕方があるのか。

2010年にpublishされたFullerの論文からみていきます。

(Fuller et al. Injury risk associated with tackling in rugby union. Br J Sports Med 2010 44: 159-167)

この論文では、イギリスのプレミアリーグに参加する13チームの選手の

2シーズンに渡る試合をビデオで解析し、

タックルで生じるケガの場面を報告しています。


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こちらのタックルは「Shoulder tackle」といって、

一般的にタックル、というとこういう形のものですね。

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こちらは「Smother tackle」

相手の持っているボールごと相手を抱え込んで

それ以上進行させないようにするタックルです。

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「Tap tackle」

後ろから相手を追っかけて、

相手の踵を叩くようにして転ばせるタックルです。

正確にはタックルの定義から外れますが、

相手の進行を食い止めるための手段です。

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Jerseyをつかんで引きずり倒す

「Jersey tackle」

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これは基本的に反則になるのですが、

「Collision tackle」といって、

体当たりする感じです。

「no bind tackle」

つまり相手をつかんでいないタックルは、

危険な行為として反則が厳しく取られます。

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「Arm tackle」

こちらもケガが多く生じるタックルで、

腕だけで相手を止めに行ってしまうタックルです。

大体これくらいの種類で整理されています。

で、Fullerの論文によれば、

ケガのリスクとなりやすいタックルとしては、

やはりcollision tackle(相手をつかまず吹っ飛ばすタックル)で、

1対1のcollision tackleとarm tackleにおいて、

ボールキャリアーのケガのリスクが高くなるとされています。

また、一人のボールキャリアーに対して、

二人でタックルにいった場合(1対2)には、

そのタックルがcollision tackleであると

ボールキャリアー、タックラー双方のケガのリスクが高かった

ということです。

1対1のcollision tackleでは、

ボールキャリアー、タックラー共に、

頭頸部のケガが多くなっていて、

特にhigh speedになると

タックルした側の選手のケガのリスクが高まるようです。

1対2の場面では、

ボールキャリアーの頭頸部のケガと、

一人目のタックラーの頭頸部、

二人目のタックラーの頭頸部、下肢のケガ

が、多かったようです。

このように、

相手をつかまずに、体当たりのような形で突っ込むタックルは、

頭や首のケガが多くなり、

とても危険。

そして、ラリアットもだめ。

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もちろん、こんなのもダメ。

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しっかり相手をつかんで

being brought to ground

グランドに運ぶ。。

激しいタックルは魅力ですが、

ただぶつかるだけのスマッシュヒットだったり、

腕だけでタックルにいったりといった行為にならないように、

安全にプレーすることが大切ですね。

最後までお読みいただき、

ありがとうございました。


追伸

ラグビー選手に限らず、体をぶつけ合うスポーツでは、

いかに適切な技術を修得するか、がケガ予防には大切です。

また、どれだけ正しい技術を身につけても、

不運な場面でケガをすることはあります。

このような選手たちに対して、どのような手段で介入して

症状を改善させるのか。

どのようなトレーニングで

パフォーマンスを改善してもらうのか。

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