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ラグビーに多いケガの話②

ラグビーにはケガが多い、

ということを前回お伝えしました。

そういえば、以前、

バスケットをやっている女子から

こんな質問されました。

「ラグビー選手って、どっからがケガですか?」

確かに、競技ごとに感覚違いますよね。。

論文などを読むときには、

必ず「Injury:ケガ」の定義がされていて、

例えば、24時間以上練習・試合に

参加できなかったもの、

とか、

次の試合に出られなかったもの、

とか、

重症外傷の頻度を比べたいときは、

3週間以上練習、試合を休んだもの、

などと書かれています。

今回は、

どんなケガがラグビーではよく起こるのか、

というお話。

これは、「疫学調査」という類の論文で

たくさん世に出されていますが、

ラグビーの調査の中でよく引用される

British Journal of Sports Medicineに掲載された

Brooks(2005年)の大規模な調査を紹介しましょう。

まずは、試合で起きた外傷に関する調査です。

対象は英国プレミアシップ所属の12チームに所属する546選手。

2シーズンにわたる調査です。

この調査における「ケガ」の定義は以下の通り。

「受傷した日の夜から24時間経過した時点で

競技及びトレーニングに参加できないもの」

結果です。

まず、2シーズンの間に、致死的なケガ、

後遺症を残す大きなケガは生じなかったとのこと。

ヨカッタヨカッタ。

でも、この期間中に負ったケガが理由で、

11人の選手が引退しています。

で、どんなケガが多いかっていうと、

種類としては、

筋肉系のケガと、関節の靱帯損傷のケガが多い。

で、靱帯損傷は、より重症度が高くなる傾向にあった。

靭帯損傷などの関節のケガは、

FW※で343件、BKで245件生じた。

筋肉系のケガは、

FWで336件、BKで373件生じた。

筋肉系のケガの80%は下肢に生じた。

靭帯系のケガは、

下肢 53%・上肢 22%・くび 10%

に生じた。

骨折や骨に関わるケガは、

全体の中で5%程度と頻度は少ないのだけど、

重症度(休まなければいけない期間)が一番高い。

骨関連は部位でみると頭部・上肢・下肢で30%ずつでした。

部位別のケガを全体の数に対する割合で見てみると、

頭と頚:14%

上肢:19%

体幹:11%

下肢:70%

でした。

さらに詳細に見ていくと、

ケガが多い部位は、

足関節・膝関節・大腿部・下腿部・肩・頭頚部となります。

整理すると

筋肉系のケガは下肢に多くて、

大腿部、下腿部に好発している。

これは、ハムストリングスの肉離れや、

ふくらはぎの肉離れが多いことを

反映していると思われ、

靭帯系のケガは、

足関節、膝関節、肩関節、頚に好発していて、

これは、

足関節捻挫や膝の靱帯損傷、

肩関節脱臼や頚椎捻挫、

といったケガが多く生じていることを

反映していると思われます。

どうでしょうか。

ラグビーではどんなケガが生じるか、

お分りいただけたでしょうか。

次回は、

ラグビーでは、どんな場面でケガが起きるのか、

について書いてみたいと思います。

ちなみに、

「どっからがケガか?」

という質問に対する私の答えは

「動けなくなったら」

でした(^ ^)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※FW:Forwards(1番〜8番) BK:Backs(9番〜15番)

引用:Brooks et al. Epidemiology of injuries in English professional rugby union: part 1 match injuries. BJSM.757-766; 2005











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