コンプレックス

コンプレックスの正体

それは、思い込みである
きっかけは他人の発言だったり行動だったりという場合もあるけれど、自分が自分で劣等感を感じて、それ以来、きっかけがあればその都度思いだして、思い込みを深めていく
そうやって、苦手意識から、コンプレックスという大きな塊へと成長していく

私も、今まで色々なコンプレックスを克服してきたつもり。
そして、なりたい自分になるために、心理学、認知行動療法まで実践して、なりたい自分になれた。(性格的な意味で)
勿論根底の性格は変えられないから、雑だったり、雑なくせに細かい所は凄い細かかったり、繊細だったり、感受性が強かったりという「性質」の部分は変えられない
でも、むやみに他人を疑ったり、他人へ敵意を持ったり、嫌ったり、そういう自分はいなくなって、凄く生きやすくなった。

もうコンプレックスというコンプレックスはなくなったかなーなんて思っていたら、まだあった
すっごくでっかくて大きい塊が。
「自分の普通の声」と「特徴のある声への嫉妬」である。

それが改めて、「思い込み」に過ぎないと自分でも断言できる。
私に刷り込まれた、私自身も刷り込んでいった、思い込みなのだ
それは、「私の歌が好きだ」と言ってくれる人が、いるからだ。
バンドマン時代に、特徴のある声がもてはやされている中で、必死にバンドをやっていたからこそ、聞こえたり聞こえなかったりする場所で「りおなさんの声はフツーだよなぁ」という声が聞こえた。
そしてヒットチャートでは特徴のある声のアーティストがもてはやされ、それはバンドの世界でも同じだった
しかも、私も当時からハスキーな声のアーティストが好きだったからたちが悪かった。
ことあるごとにコンプレックスを刺激され、思い込みは膨れあがっていった。
だから私は、必死にボイトレをしてでもうまくなるしかなかった…のかもしれない
発声だけでも。
発声だけだけどね(苦笑)
コンプレックスを乗り越える努力する場所・方向がそっちしかなかったというか。
アマチュアバンドの世界でも珍しかった、ビブラートのできるボーカル
ビブラートひとつできるかできないかで表現方法・表現は広がるから、できるようになった時はうれしかった
「個性のない私の声に、個性がついた」
そんな風に思ったものだ

でも時代は代わった。

今はハスキーだったり特徴のある声だからといってもてはやされる訳ではない
実際ヒットチャートや、アニソンの人気アーティストを見ていても、逆にハスキーな人を探す方が大変なくらいで、今はちゃんと発声ができる人、純粋に歌が上手い人、いい歌が書ける人が売れている
とても嬉しかった
自分が認められたかのような気分になった

そして、今私は「歌ってみた」という、実際家で録音した自分の歌声をネットで配信する活動をしている
ニコニコ生放送という放送で、リアルタイムに視聴者の方とコミュニケーションとしながら、直接歌を聞いて頂いたりもできるようになった

でも、自分が弱っている時、弱気になっている時に、ふと「この人再生回数多いな」と思って勉強がてらクリックした同業者の歌ってみた動画が、相変わらずほとんどがハスキーだったり、特徴的な声である事実に、叩きのめされる時がある

それはもう、脊髄反射だ。

脳の中を、ざらざらした舌で舐められたような。
そんな風な刺激を受ける
そして、「どこにでもある声」の私の、努力のむなしさを感じ、楽曲研究の為に持っていた歌詞の紙を取り落とす

上手いだけならいいのだ。
上手いのはその人がそれだけ努力した証。純粋にすごいなぁって思うことができる。その人みたいに歌いたいなら私も努力を重ねればいい。
でもどれだけ努力を重ねても、ハスキーな声を私は手に入れることはできない。

コンプレックスは、結局は思い込みだ
しかし、このコンプレックスは長い時間をかけ、そして数え切れないきっかけを受け思い込み続けたにぶい塊。

数え切れないほど思い込んで育て上げてしまった分だけ、そのコンプレックスを乗り越えるには、何より自分自身が、「いやいや、私の歌がいいと思ってくれている人がいる」と思い、信じること、そして他者からの「いい声だ」とか「感動した」というような本音のコメントを頂くことで、乗り越えていきたいと切実に思っている
他力本願ではよくない。でも、他者の何気ない、その一言が、私にどれほどの感動と感謝を生んでいるのか、たぶんそのコメント者は知らないだろう
…まぁそれでも、本当に貰いたかった言葉をもらって、ニコ生で泣いてしまったことがもう既に3度ほどあるわけだが(苦笑)

ボイトレの先輩というか、一緒にバンド活動もしていた友人からも「要は声なんて好みの問題なんだから」等々、ボイトレで悩んだ時の相談以外にも、そういうセンシティブな相談や、励ましを受けている

だから、私は、私が努力したいと思う道を歩み、「私の声が好きだ」という人の言葉を信じて、コツコツ歩いていけばいいのだ

でも私は気が弱いから、すぐまた脱線して、人気動画の人がハスキーだったりすると、弱気になってうじうじしてしまう
その度に、友人や、優しいニコ生の視聴者さん達に支えられて
何度も、前を向き直し
立ち上がり

今日も、歌を歌っている


自分と戦いながら。
いつかコンプレックスと戦いながらではなく、純粋に「歌が楽しい」と笑える日を夢見て。

もし心に響いたならば……投げ銭のひとつやふたつやみっつやよっつ!!よろしくお願い致す!(笑)