見出し画像

プラトン〜現代社会哲学編④〜

今回はソクラテスの弟子、プラトンについて学びます。

1、プラトンの人物像

本名アリストクレス。プラトンは「肩幅」という意味のあだ名です。ソクラテスを刑死させたアテネの民主政治に絶望し、哲学の道へ進みました。学園アカデメイア(後のAcademyの語源)を設立し、論理的思考を重視しました。

2、魂の三部分説

プラトンが書いた、『国家』を使って解説します。

「そうすると」とぼくは言った、「われわれがこう主張するのは、けっしていわれのないことではないというべきだろう―すなわち、それらは互いに異なった二つの別の要素であって、一方の、魂がそれによって理を知るところのものは、魂のなかの<理知的部分>と呼ばれるべきであり、他方、魂がそれによって恋し、飢え、渇き、その他もろもろの欲望を感じて興奮するところのものは、魂のなかの非理知的な<欲望的部分>であり、さまざまの充足と快楽の親しい仲間であると呼ばれるのがふさわしい、と」
「いわれのないことではありません」と彼は言った、「われわれは当然そう考えてしかるべきでしょう」
「それではこれで」とぼくは言った、「こうした二つのはたらきが、魂のなかに内在する二つの種類の要素として、われわれによって区別されて確認されたことにしよう。そこでこんどは気概、すなわち、われわれがそれによって憤慨するところのものだが、いったいこれは第三の要素なのだろうか、それとも、先の二つのどちらかと同種族のものなのだろうか?」
「おそらくは」と彼は言った、「その一方、すなわち<欲望的部分>と同種族のものでしょう」

プラトンは、現実の事物を不完全なもの(不完全体)とし、その根源としてイデアというののがあると考えました。イデアは、頭の中で考えたイメージ(完全体)のことです。

そのイデアの中でも、最高のものを善のイデアとし、魂の理性的部分によって認識されると説きました。

さらに、プラトンは魂を理性、気概、欲望の3つに分けて、これらが以下の徳を受けた時、正義が実現するとしました。

理性
知恵を備えることで正義が実現。
気概
勇気を備えることで正義が実現。
欲望
節制をすることで正義が実現。

そして、知恵・勇気・節制を三元徳、知恵・勇気・節制・正義を四元徳と言います。

3、四元徳

こちらもプラトン『国家』からです。

「われわれがこれまでに考察した<節制>と<勇気>と<知恵>のあとに国家のなかに残っているもの、そのものこそは、これら三つのものすべてに力を与えて国のうちに生じさせ、そしていったん生じたのちには、それらの徳を-そのものが内在するかぎり-存続させるはたらきをするものにほかならないだろうと。しかるに他方、われわれは、もし三つの徳を見つけ出せたら、その後に残ったものが<正義>だということになるだろうと言っていた。……してみると、どうやら、少なくともこの、国のなかでひとりひとりの者が自分のことだけを果たすということが持つ力は、国家の徳へ寄与することにかけては、その国の<知恵>や<勇気>や<節制>と匹敵するものということになるわけだ。

国家のような大きなものと魂を捉えた場合、四元徳は以下のように関係すると説きました。

統治者
知恵ある者。
防衛者
勇気ある者。
生産者
節制ある者。

そして、統治者の徳は知恵であるから、哲人王政治(哲人政治)を理想としました。
「哲学者が統治するか、統治者が哲学するか」というように、理想国家というイデアは哲学者が認識できるとしました。

知恵を愛する人のことをソフィストに対するソクラテスの自称を使いフィロソフォスとし、 Philosophy(哲学)の語源になりました。

まとめ

プラトンは、師匠ソクラテスの刑死をうけて、自らも哲学の道へ進み、イデア論や、魂の三部分説を主張しました。

次回はプラトンの弟子でイデア論を批判した、アリストテレスを学びます。

PDF版プリントダウンロード

記事の内容を簡潔にまとめています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?