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原始的な世界観〜現代社会哲学編②〜

今回は哲学誕生の背景として、原始的な世界観である神話について学びます。

1、神話

神話(myth)はギリシア語のミュトス(mythos)に由来し,論理的な思考,ないしその結果の言語的表現であるロゴス(logos)に対し,事実そのものに関係しながらもその背後にある深い隠された意味を含む「神聖なる叙述」とされる。人間を取巻く宇宙や自然の起源とそのあり方,したがって人間自身の起源とそのあり方を説明したり,規定したりする※集団表象であるが,その際必ずなんらか超自然的存在を引合いに出し,それとの関連において解明が試みられる。神話を最初に批判したのはギリシア人であって,神話の非合理性の批判からギリシアの哲学は発生し発展した。伝統的社会のように神話の生きている社会では,神話的伝承ないし儀礼を繰返すことによって一定の重要な呪術的効果が期待される。こうして社会存立の根本にかかわる重要な文化的機能を神話はもっているが,非合理な神話を信じない文明社会では,哲学や科学や政策が神話に取って代る。神話としては宇宙創造神話 (→宇宙開闢説 ) が基本的なもので,そのうえに太陽,月,星に関する神話,雷や風雨,洪水に関する神話 (→洪水神話 ) ,火の起源神話,祭儀,風習神話,人類発生神話,恋愛,婚姻神話,英雄神話などが展開される。そしてその中心ないし背後にある霊格,霊能に対して人がどういう態度をとるか,そこに呪術的,宗教的なものがからんでくる。神話には現実生活の理想的形態が凝縮された姿で投影されるとともに,逆に現実生活にそれとは意識されずに相当強力な影響を及ぼすこともある。
(ブリタニカ国際百科事典 小項目辞典)

集団表象
フランスの社会学者デュルケームが用いた概念。ある社会では客観的に示され、かつ個人に内面化されていることがら。

2、神話の種類

世界では各地で様々な神話が生まれました。その種類をまとめます。

まず最初は古代ギリシア神話についてです。ヘシオドスの『神統記』では、神々の体系化が行われました。

古代ギリシア神話
ホメロス
『イリアス』『オデュッセイア』
ヘシオドス
『労働と日々』『神統記』

次はヨーロッパについての主な神話です。

イスラエル〜ヨーロッパでの神話
『旧約聖書』

最後に日本の神話についてです。古事記の「記」はごんべんですが、日本書紀の「紀」はいとへんですので注意して下さい。

日本の神話
『古事記』国産み。天皇の正当性。(イザナキとイザナミなど)
『日本書紀』

神話で重要になってくるのが、アニミズムという考え方です。一緒に覚えておきましょう。

アニミズム
あらゆる自然物に霊魂の存在を認める考え方。自然物崇拝もこれに基づく。神話の存在の原点。

3、神話への批判

紀元前6世紀前後、ギリシャでは奴隷制に基づく民主主義がありました。よって、市民にはシュコレーという、ヒマがあったのです。
(シュコレー(schole)はschoolの語源です)

そんなギリシャで、タレスは「万物の根源は水である」という自然観を展開し、神の営みではない方法で自然を探究することが始まりました。実際にタレスは日食を予言するなど自然を神話ではなく説明しました。

これが哲学の始まりで、タレスアリストテレスによってのちに「哲学の祖」と言われるようになります。

他にも、万物の根源(=アルケー)を説明する自然哲学者がたくさん登場しました。紹介しておきます。

タレス
「万物の根源(アルケー)は水である。」哲学の祖。
ヘラクレイトス
「アルケーは火。」「万物は流転する。」(全てのものは変化する)
パルメニデス
「あるものはある。ないものはない。」(生成変化しない)
エンペドクレス
「アルケーは土、水、火、空気。」
デモクリトス
「アルケーは原子(アトム)。」

まとめ

哲学は、神話を批判することで始まりました。今回はその、哲学誕生の背景を説明しましたので、なぜ神話を批判し哲学が始まったのか、そしてどんな哲学者が現れたのかを復習しておきましょう。

次回は「ソフィストとソクラテス」について学びます。

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記事の内容を簡潔にまとめています。今回は①と共通です。


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