見出し画像

#3 月を行き来する世界 宇宙への挑戦の歴史と今後の計画

かの有名なアポロ11号による人類史上初の月面着陸は1969年、それからすでに50年以上が経過しています。その間のテクノロジーの進化は凄まじく、地球上での生活は大きく変化しました。では、その後宇宙進出計画はどうなっているのでしょうか。
最近ではNASAやJAXAなどの政府機関だけでなく、民間企業もスペースシャトルや人工衛星開発の打ち上げを行うようになり、ついに民間人でも(お金さえあれば)宇宙旅行ができる時代に。アポロ11号以来、月面への有人着陸は成功していませんが、2025年の有人月面着陸を目指す新たなプロジェクトも始まっています。今回は、宇宙進出を目指す人類のこれまでの歴史と、現在進行中の計画について紹介していきます。


冷戦下の宇宙開発競争が技術開発を加速

人類が初めて月面着陸を成し遂げたアポロ計画では、計12人の宇宙飛行士が月面に降り立ちました*。当時冷戦状態にあったアメリカとソ連は、直接の軍事衝突を避けつつも、両国の威信をかけて宇宙開発競争に取り組みました。これを機に、ロケットエンジンの開発やコンピューター制御のシステム工学が大きく進歩、その後の産業界に与えた影響ははかり知れません。何よりも人類が実際に月に行くことができたという事実は、宇宙を目指す人々にとっての大きな希望となり、科学者や研究者にとってはその後も挑戦を続ける原動力になったのではないでしょうか。現に、Blue Originを立ち上げ宇宙ビジネスに参入したAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏は、子供の頃にテレビで見たアポロ11号の月面着陸の様子から、宇宙を目指すという夢を持ったとインタビューで語っています。**

アポロ11号で月面着陸する宇宙飛行士バズ・オルドリンの写真 (画像引用元:https://www.nasa.gov/image-detail/589552main_as11-40-5875_full-2/

2025年の有人月面着陸を目指すアルテミス計画

NASA主導の新たなプロジェクト“アルテミス計画”では、2025年に人類の月面着陸を目指しています。***これが成功すれば、アポロ計画以来およそ半世紀ぶりに人類が月面に降り立つことに。アルテミス計画は、米国以外にも日本や西欧諸国などが参加し、各国の得意とする技術や専門知識を活用する国際協力プロジェクトとして進められています。例えば、日本のトヨタ自動車はJAXAと協力しながら、月面探査車“ルナ・クルーザー”の開発に着手。この月面探査車は、水素と酸素を反応させた電気で動く車で、トヨタの水素自動車開発におけるノウハウを応用しているのだそうです。
また、月面着陸に使用される宇宙船は、民間企業のSpace XとBlue OriginがNASAから受注し開発を進めています。****2025年に予定されているアルテミス3号、その後のアルテミス4号の打ち上げでは、Space Xが開発する“Starship”が使用される予定とのこと。そして2029年に予定されているアルテミス5号の打ち上げでは、今度はBlue Originの月面着陸船“Blue Moon”が使用される予定なんだそう。このように民間企業が参入することで、宇宙産業に於いても開発競争が生まれ、技術力の向上や生産コストの削減が加速していくことが期待されています。

月面着陸するStarshipのイメージ図(画像参照元:https://www.nasa.gov/humans-in-space/nasa-awards-spacex-second-contract-option-for-artemis-moon-landing/

まとめ

かつては国同士の威信をかけて競い合っていた宇宙進出ですが、今では複数の国家や民間企業が参加し、それぞれの得意分野で貢献する形でプロジェクトが進められています。50年前と比べて大幅にテクノロジーが進化した状態で行われるアルテミス計画、今からとても楽しみです。まだまだわからないことも多い月面ですが、人類が月面で暮らすという未来へ向けた二歩目が既に始まっていると言えるでしょう。

≪参照記事/ウェブサイト≫
*宙畑 / 月面着陸から50年!アポロ計画の歴史と功績、捏造説の反証事例
https://sorabatake.jp/5761/
 
**日経ビジネス / ベゾス氏VSマスク氏、2人の天才が開く宇宙ビジネス勃興の扉
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00259/030500002/
 
***日経ビジネス / アルテミス計画とは? 国際協力で有人月面着陸を目指す日米欧の動き
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/040300535/
 
****ITmediaNEWS / NASA、「アルテミスV」の有人月着陸船はSpaceXではなくBlue Originに
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2305/20/news059.html

(文・高橋 功樹/未来予報株式会社)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?