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全国高校駅伝2021

雪降る京都となった今年の都大路。冷たい風が気温表示よりも体感温度を低くさせる。走る選手にとっては良くないコンディションだが、雪のレースは見るものに記憶を残す情景である。高校サッカーの雪の決勝戦も、よく過去の大会のダイジェストで使われたりもする。今日の高校駅伝も記憶と記録に残るレースになった。

まずは午前中に行われた女子の部。1区から先頭をひた走った仙台育英が優勝を飾った。男女ともに最長の1区に各校エースを持ってくる傾向があるが、女子の場合は1区の次に5区(アンカー)が長く、そこに向けて選手を残しておかねばならない。しかし、今年の仙台育英は1~3区に力のある選手をズラリと並べ先手必勝の作戦を取った。そしてそれが見事にハマった。釜石監督は、今日の気候を見て、このオーダーで行くと決めたようだ。

しかも、4, 5区は1年生を走らせている。2位と1分以上の差をつけて先頭を走れるのは、来年以降に向けてもすごくいい経験になったはずだ。力のある3年生が抜けても、2022大会でも優勝争いに食い込んできそうだ。2位には神村学園が入ったが、5区で留学生に逆転させるプランは実らず、1~4区で先頭との差が開き過ぎた。この辺の区間配置の難しさが駅伝であるなと感じさせる。

午後の男子でも1区から先頭を譲らず、世羅が昨年に続く連覇を飾った。1区は今年も3人が28分台で走るというレベルの高い戦いになったが、この中に1500m、3000m、5000mの高校記録を更新した佐藤圭汰選手(洛南3年)はいなかった。他のランナーも十分にハイレベルだったわけだ。その中にはまだ2年生の選手もいる。末恐ろしい。

その佐藤選手は留学生が多く起用される3区に回った。そして、そこで十分に戦った。区間賞を取った選手から11秒しか負けなかったし、中谷選手(現早稲田大4年)の持つ日本人最高記録を更新し、超高校級の選手であることを証明してみせた。それでも直後のインタビューでは反省の弁を口にするあたりが、意識が違う。来年は駒澤大に進学とのことで、田澤選手との共演が待っている。

冒頭に述べた通り厳しいコンディションであったため、惜しくも大会記録の更新は男女ともにならなかったが、それに迫る優勝タイムであり、ランナーたちのレベルが上がっていることを実感させる。この大会に出場した選手たちが次のステージでどんな戦いを見せるのか、よく覚えておいて振り返ってみると、より面白い。

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