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東京マラソン2021(2)

世界のトップの話は昨日書いた通りだが、日本選手もよく頑張った。まずは鈴木健吾選手であろう。2:05'28"は立派なセカンドベスト、しかも大迫選手の記録を超える日本歴代2位の記録である。30kmくらいまではもしや日本記録更新?と思わせるような快走だったが、今回は品川で折り返した後の向かい風が強かったようで、各選手の記録を伸び悩ませた要因が風だったようだ。

昨年のびわ湖の時は、35km以降のラップが異常に速かった。ずっと2'55"/kmくらいで押していたし、ラスト2.195kmは2'51"/kmペースだったのだ。

それ比べると、今回は3分を超えたラップもあったが、それでも3分一桁までしか落ちていない。だからこそ5分台の記録が出たのである。日本人2位の其田選手が2'07"23"であることからも、今回の5分台がいかにすごいかよくわかる。正直、其田選手や湯澤選手の記録も7分台中盤だから好記録なのだが、どういうわけか二人に関する記事が見当たらない。それくらい鈴木選手のインパクトが強かったということなのだろうか。せめて6分台で走っていれば、もう少し話題になったのかもしれないが、鈴木選手に離され過ぎてしまった。

途中の動きを見ると、ペースメーカーが安定しなかったからか鈴木選手は集団の前に来たり後ろに下がったりして、余計な力を使っていたはずだ。その様子を見ると、今回は後退するかな…と、正直なところ思った(解説の大迫さんもその点はレース中に心配していた)。しかし、25km過ぎの飛び出しを見ると、余裕度が他の選手とは違ったようである。

これで記録の再現性は実証され、現時点では日本最速で最強のランナーだということがわかった。オレゴン世界陸上でどれだけ戦えるか、暑さに強い鈴木選手だから、余計に期待してしまう。

一方、女子のほうは一山麻緒選手と新谷仁美選手、二人の対決だった。40km過ぎまでずっと並走、最後の最後で一山選手がちぎった形になった。2:21'02は、十分立派な記録である。一山選手は名古屋ウィメンズで2:20'29"、大阪国際で2:21'11"、東京オリンピックを挟んで今回も21分台なわけだから、ここ最近は高水準な記録を連発している。松田瑞生選手と並び、現時点では2強な感じである。

新谷選手は13年ぶりのマラソンで、2時間21分台である。これまた驚きの結果である。本人は「もうやらない」と言っているそうだが、果たしてどうだろう。横田コーチもマラソンをやる新谷選手を再度見てみたそうだし、我々ファンとしても見てみたい。本人の言葉通り、もうマラソンはやらないのか、今後の動向に注目が集まる。

最後に個人的に驚いたのは細谷翔馬選手(帝京大)である。この春に大学を卒業し、地元で公務員ランナー(要するに実業団には入らない)となるそうだが、2:09'18"のタイムを出し、これは学生歴代3位の記録のはずだ。川内選手も同じような道を歩んだので、細谷選手もこれから仕事を続けながら、MGCを狙っていくことになるのかもしれない。マラソンランナーのキャリアも多様化しつつあるなと実感させてくれる結果になった。

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