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自立している人とは、上手に人に頼ることができる人である 〜孤立ではなく自立を目指す〜

「自立している人」っというのは多くの人にとってある種の憧れの対象ではないでしょうか?

「自立してますね」

っと言われて嫌な気分になる人はあまりいないでしょう。

自立している人はどんな人?

しかし、この「自立している人」とは一体どんな人でしょうか?

「なんでも一人でできる、誰にも何にも依存することなく、人生を渡り歩いていける人」

私が抱いていた「自立している人」のイメージはこういった人でした。「自立」の対義語は「依存」です。となれば、自立を目指すためには依存は切り捨てるべきであると単純に考えていました。

そして、実際に自分自身もこのような「自立している人」になるべく、なんでも一人でできて、経済的にも、心理的にも、誰にも何にも頼らなくても生きていけるようなカッコイイ大人になりたいと思って日々努力を重ねてきました。

河合隼雄先生の教えに目から鱗

しかし、私の尊敬する臨床心理学者の河合先生の文章を読んで、この考えは実は間違っているのだなっていうことに気づいたのです。その文章が以下の文章でした。

「自立ということは、依存を排除することではなく、必要な依存を受けいれ、自分がどれほど依存しているかを自覚し、感謝していることではなかろうか」(こころの処方箋、河合隼雄)

確かに、よくよく考えたら誰一人として他人に依存しないで生きていくことなんてできません。今、打ち込んでいるパソコンも誰かが作ってくれたものだし、自分一人ではご飯も食べれなければ、移動もできません。

全ての関わりを排除して自力で生きていくというのは、自立ではなく孤立なんだ。っというのを河合先生から学びました。

じゃあ、どんな人が自立している人なのよ?

では、どんな人が「自立している人」なのか?

その答えを下の二つの文章から学びました。

「つまり、“障害者”というのは、「依存先が限られてしまっている人たち」のこと。健常者は何にも頼らずに自立していて、障害者はいろいろなものに頼らないと生きていけない人だと勘違いされている。けれども真実は逆で、健常者はさまざまなものに依存できていて、障害者は限られたものにしか依存できていない。依存先を増やして、一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存してないかのように錯覚できます。“健常者である”というのはまさにそういうことなのです。世の中のほとんどのものが健常者向けにデザインされていて、その便利さに依存していることを忘れているわけです。」
熊谷晋一郎小児科医/東京大学先端科学技術研究センター・特任講師「TOKYO人権 第56号より」
「自己の成熟とは、より多くの自己ー自己対象関係*を持てるようになることである」(自己の治療,ハインツ・コフート)
*自己ー自己対象関係とは、簡単にいうと甘えの関係です(筆者注)

どちらも、自立するために依存先をどんどん増やしていこうって言っています。

つまり、自立した人というのは、依存をしない人なのではなく、様々な依存先を持って1つ1つの依存先に依存しない人のことでした。

簡単にいうと「上手に人を頼ることができる人」なんだっというのが私の結論でした。

上手に人を頼るのはとっても難しい

これって、最初に私が考えた「誰にも何にも依存しないでいる」っていうのと全く逆だったんですね。

しかし「上手に人を頼ることができる」っというのは、よくよく考えてみるととても難しいことです。個人的にはむしろ「誰にも何にも依存しないでいる」よりも全然難しいとさえ思えます。

人に頼ることができるためには、お互いが頼り頼られているからこそ持続的な関係が保たれます。そう考えると、人から頼られる人であることが、人に頼ることができる人とも言えます。

また、人に頼ったならばそれだけそのことを覚えておくことも必要でしょう。なんだか引け目を感じてしまうかもしれませんが、それでもいつかはその恩を返す日が来るまでその引け目を抱え続ける。それだけの心理的な強さも求められます。

あまりに利己的であれば、誰もその人を助けようとは思わないでしょう。

そう考えていくと「上手に人に頼ることができる自立した人」というのは、それこそ人生をかけて目指す甲斐があるような、そんな高い目標なような気がしてならないのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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