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レチナ
2020年7月10日 22:06
私の住んでいた町から丘をふたつ越えたところにその場所はある。海沿いの団地と工場の並ぶ空間は、確かに今そこにいるときでさへ、まるで「どこでもない」ような匿名性を感じさせる。この場所に初めて来たとき、日々を過ごす中で次第に失われていくものがあるのではないかという焦燥感や、今日という日が昨日の明日であると同時に明日の昨日でもあるという多元的袋小路に陥っていく悩みが消え去るのを感じた。他の場所