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#-14人生100年時代におけるシニア社員のための実践的なキャリアデザイン術【最終回】

【第6回:シニア社員の活性化なしには企業の成長は望めない】(その2)

<兼業・副業禁止規定のシニア社員への適用廃止>

定年再雇用者について先行して兼業・副業禁止規定の適用を廃止する提案です。
正規従業員の兼業・副業禁止規定の廃止は、なかなかハードルが高い面がありますが、まずは、定年再雇用者限定で適用を外すことなら実現は容易です。

人生100年時代、65歳以降も働くためのキャリアを準備するためにも60歳~65歳の期間は極めて重要です。65歳以降のキャリアの糸口、地域とのコネクションを兼業・副業という形でこの期間のうちに準備しておく等々。

まずは、定年再雇用者から兼業・副業規定の適用を即刻廃止し、パラレルな働き方を実現する条件を整えること、すぐに採用可能なシニアの働き方改革につながる施策です。

<定年再雇用時には、「履歴書」「職務経歴書」提出のルール化> 

通常、新たな雇用契約を結ぶ場合には、「履歴書」、「職務経歴書」の提出は当たり前ですが、不思議なことに定年再雇用契約の締結時には、お互い知っているという前提(ここが誤り)で、「履歴書」も「職務経歴書」も作成・提出していない会社がほとんどだと思います。

前号でキャリアの棚卸について解説させて頂きましたが、定年前の一定年齢でのキャリアの棚卸を行い、その結果を「職務経歴書」に落とし込んでおくことは将来キャリア選択にあたって極めて有効です。

定年再雇用の際には、最新版の「履歴書」と「職務経歴書」を会社に提出することをルール化してはいかがでしょうか。

同じ職場でそのまま再雇用となる場合でも、定年再雇用者のことを知らない中途採用された年下上司が上司になることもこれからは当たり前の時代になります。

私も現実の事例を数多く見てきましたが、シニアと上司・職場間のコミュニケーション不足がシニアと職場間の不協和音の原因になっています。

これから同じ部署で再雇用されるケースも少なくなり、まったく今までとは関係のない部署での再雇用も増えてくることが予想されますので、この制度の効果は大きいものがあると考えます。

連載終了のまとめとして、シニア層への人材投資のポイントを上げてみます。

1)シニアへの人材投資のポイントは「他律」ではなく「自律」を狙いとした研修とする

2)どこもやっていない「60歳再雇用者に対する人材投資」も検討する

3)「社外ネットワークづくり」「週末起業」への会社サポート支援策も検討する(時間・費用配慮)


こうした企業のシニア層への積極的な人材投資が、シニアが自ら自分のキャリアを考え始めるきっかけになり、結果として人生100年時代を生き抜く大きなベースになります。

また、こうした仕事へのエンゲージメントを強く持ったシニア社員を増やすことができるかがこれからの企業の成長を握る一つの大きな鍵になることは間違いありません。

「災い転じて福をなす」のことわざ通り、コロナ禍を経験した今こそシニアを含めた働き方を大きく見直すチャンスです。


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