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ジャッジメント①

オリエンタルラジオ中田敦彦さんのYouTubeでの松本人志さんへの「審査員やりすぎじゃないですか?」動画のその後の世界を創作してみました。

全て自分の妄想の世界でありフィクションです。個人名団体名あらゆる名称は架空のものですのでご了承ください。


ジャッジメント

プロローグ

タブレットで動画を見終わると、隣に置いてあったスマホを手にとり、松本は1人部屋に向かいある男に電話をし始めた。

「兄さんすいません。ボクM-1降りますわ。・・・はい。失礼します。」

その男とは長い付き合いで、かつては目標としていた先輩だったが今は芸能界から引退。

その男の作った漫才大会を任されていた松本は長い付き合いとは対照的な短い言葉で伝えた。

リビングに戻った松本はジムの荷造りを手早く済ませると、娘と嫁に「言ってくるわー。」と言って玄関を開けた。

妻も娘も聞こえてはいたが返答はしなかった。何かがいつもとは違うことはわかっていたが、関わることではないことは妻にもまだ小学生の娘にも感じとれた。



六本木・赤坂・お台場

エンジンをかける前にマネージャーに電話をかけていた。

「おはようございます。休みやのにごめんなさい。M-1、キングオブコント、すべらない話、IPPONグランプリ降りるわ。」

「六本木とCXとTBSのプロデューサーには直接話すから。メディア対応だけよろしく」

端的に指示を出すとエンジンをかけ、ステレオからはハイロウズの「日曜日からの使者」が流れていた。

別に怒りもなく緊張もない松本だったが、先程の電話でテレビ朝日とフジテレビとTBSの伝え方が、建物の名前と略称と地名がごちゃごちゃしてたことに老いを感じていた。


140文字

六本木ヒルズの地下駐車場に車を停めると、おもむろにスマホを取り出しTwitterを開いた。プラス記号をタップして140文字入力できるうちの半分にも満たない文章を入力し、賞レースや個人の冠番組からの降板する旨をつぶやいた。

無言のままスマホをしまい、車を降りる。制作局へ向かいM-1グランプリのプロデューサーに降板の申し出を行い

「なんか手土産もなくごめんな。なんか買ってきたらよかったわー。」

まだプロデューサーは何も返答してないのに松本は自分の仕事を終わった気でいた。車の中でつぶやくボタンをタップした時点で松本の中では自分の仕事は終わっていたのかもしれない。

もちろん留意はされたが松本は固辞した。もうツイートしてることは言わないが、プロデューサーも長い歴史へのピリオドを打つ決心はついていた。



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