報43 私の第二言語は長岡弁です
今回お送りするのは、幼少期に「んな、ミラー見えねぇすけ頭ぶちゃれて」と美しい日本語を浴びていたという語学情報です。
このコロナ禍でオフ会等も出来ず、長らく会っていない方も多くなってきました。 そんな悪しき状況になって久しいですが、唯一とも言える良かった点は、Twitterの関東・東海勢との会話が増えたという事です。
俺が「SHOXXXX勢」(略してショ勢)と呼んでる界隈は、所謂音ゲーのクラブイベントの界隈なので、リアルイベントだと意外と話す時間は短いのです。イベント会場だと爆音で音楽が流れている為、ラウンジで少し会話するのと、二次会で席の近い人と話す程度だったのです。
俺が新潟在住なので、イベント開催が無いとなかなか東京へ行けず、どうしても会う=イベントとなるわけで。そこで、DiscordやTwitterのスペースで会話するようになったんですが、これが結構長時間になりがちでして。基本趣味が同じ人らが集まっているので話が尽きず、終電といった時間制限もないのでリアルイベントの時よりガッツリ話せてしまうわけで。 ヲタクは意外としゃべくっちょなのです。
先日もDiscordで関東の方と話してた時、皆寝てしまい2人になってからもだらだら喋ってました。その際、方言の話になりました。
片やシティーガールのまうすさん、片や新潟県ど田舎市出身の俺。
俺が使うのは、長岡弁・魚沼弁と呼ばれる方言です。厳密にいえば小千谷弁なんでしょうけど、おそらく大きな違いはないので便宜上こう呼んでます。
俺 「 方言だと知ってる言葉は勿論多くあるんですけど、大学で上京して初めて方言だったって知る言葉も割とあったんすよ。 『手がつづく』ってずっと方言って知らなくて、通じなくてびっくりしましたね。」
まうすさん「 なんですかそれ、分からないです…。」
俺「 手が届かないって意味なんですよ。 『つり革に手がつづかない』とか。 あと、『そろっと』とかもそうですね。 」
まうす 「 分からないですね。 」
俺 「 『そろそろ』って意味なんですよ。 『そろっと行くかー』みたいな。 これを方言って知らなくて。高校の頃、周辺の市の連中も来るようになって、『よろっと』って言う人らが現れたんですよ。俺、それを方言だと思ってて。『こいつら、そろっとの事をよろっとって言うんだー訛ってんなー』みたいな。 なんてことはない、そろっとも方言でしたね。」
まうす「 ハハハハハ! でも確かに出ないと分からないかもですね。」
俺「 そう。 『そろっと行くかー』って言ったら、『スロット行くの?』って言われて。最初ボケだと思って突っ込んだら、マジで通じてなくて。俺の方がボケだったみたいな。 すっげーしょうしかったですね。まぁこの『しょうしい』も方言なんですけど。」
まうす「 しょうしい! 全然分からない…。」
俺「 標準語だと、恥ずかしいって意味が一番近いですね。 『あっげん人が見てる中でDistress落としてほんにしょうしかったてぇー』みたいな。 」
長岡弁は、大阪弁のように決まって語尾に何かがつくという事は無いですが、疑問形の時などに多用する言葉はあります。
俺 「 疑問形の時、語尾に『が?』を付けるんですよ。 『~だが?』って感じで。 」
まうすさん「 関東だと意味変わって来そうですね。 『は? 俺は皆伝だが?』みたいな。」
俺「 ハハハハハ! 『は?俺はRP2000だが?』とかそれ系ですね。 」
まうす 「 一気に治安悪い感じに…。 」
俺 「 『は? お前RPいくつだ?』は、『は? んなRPいくつだが?』になりますね。 」
まうす「 ハハハハハ! いいですね。ご当地ごとの『お前RPいくつだ?』があると面白いですね。」
俺「 終わったゲームで地方ごとで煽り合うっていう治安の悪さ…。」
因みに、『んな』は『お前』という意味です。 これが『お前ら』だと『ねら』になります。よくテストに出ます。
この後、少しだけ真面目な話をしまして。
大学進学で上京するとともに段々方言を使わなくなっていきましたが、それは方言を捨てたというより、相手が方言で返してこないとなんか空しい感じがして、自ずと標準語になって行きました。田舎者っぽくて恥ずかしいというのもありましたけどね。
今は普段使いはしないまでも、なるべく覚えようとしています。
うちの実家は、あの地に住んで約90年の祖母、65年の父が特に方言が強く、周りの友達と比較しても方言を浴び続けてた方だと思います。 昭和最末期生まれながらそんな環境で育ってきたので、比較的方言を知ってる方だと思うわけです。
最近、どこかの国の少数民族の言葉がこの世から消えたというニュースを目にしました。 この言葉もやがては消えていくと思うと、伝承者や学者になるといった大げさな事はしないまでも、せっかく昭和初期の生きた方言を浴びた者として、少しでも身に着けたいと思うようになりました。 そのうち弟とどちらが真の長岡弁伝承者としてふさわしいかの殺し合いが始まります。我が人生に一片の悔い無し。 お前一人っ子じゃねぇか。
一方で、東京へ出ても頑なに使い続けた言葉もあるわけで。
俺「 方言と分かってて直さないパターンは、感情を表す言葉とかありますね。 『腹くっちぇー』とかはずっと言い続けてますね。 」
まうす「 何ですか、その言葉。」
俺 「『お腹いっぱい』って意味なんですよ。 店とかで飯食った後に『あー腹くっちぇー』って。お腹いっぱいって言った事無いですね、なんか気持ち悪くて。 面白いのが、『くっちぇー』だけだとちょっと意味変わるんですよ。面倒とか大変とか、そっちの意味になるんですよね。」
まうす「 あああー! それで思い出した! 子供の頃、祖父に『くっちぇー女だな』って言われた事あります!」
俺「 ハハハハハ! あんまいい意味じゃないっすよ。」
なんでも、祖父が新潟県の長岡の人だったらしいので、まうすさんとしては時々よく分からない言葉が出てたそうです。 子供の頃の出来事を、こんな意図せぬところで答え合わせが行われるという。うっすい点と点が繋がった感じです。壮大に特に何も始まらない。 いい話風にしようとしましたがダメでした。
ざっくりまとめると、方言持ってる人は大切にしましょうねって事で。1行で済んじゃった!(ハライチ)
あと冒頭ネタの訳は、車でバックする際、助手席に乗ってる俺に対して「お前、ミラーが見えないから頭を下げてくれ」という意味でした。それを『頭ぶちゃれ』(=頭捨てろ)という親もどうかと。
サポート頂けると、恵まれない大人にワクチン(リポD)を買ってあげる事が出来るので、気が向いたらよろしくお願いします。