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安壇美緒「ラブカは静かに弓を持つ」を読んで

本屋大賞ノミネート10作品読破しましたー!
気持ちいい!

最後の作品も楽しかった。
久しぶりにメモることなく、何か学ぼうというテンションではなく、エンタメとして楽しみました。

良かったよー!


深く潜れば潜るほど、主人公と自分を重ね、浅葉先生に救われ、突き刺される。
暗い深海で一筋の光にすがるように、どうか壊れてしまわないでと願いながら、一気に読み終えました。
限られた文字数では、語りきることなどできません。
この物語はこう紡がれ、奏でられるしかなかったのだと、心から感じました。
まだずっと、余韻が残響のように、自分の中で鳴り続けています。
――斉藤壮馬さん(声優)

その人は尊敬すべき師であると同時に、得がたい友人になった。
内向的な青年の冷めた視線に映し出された世界が、次第にみずみずしく光に満ちた世界に変わっていく。
たとえその前提が裏切り行為であったにしても。
――篠田節子さん(作家)

優れた演奏を聴き終えたかのような感動が胸に満ちてくる。
嘘を重ねる主人公にこうまで味方したくなるのは、
書き手の筆に嘘がないからだろう。
〈音楽の力〉によって結びつき回復してゆく人々を、
〈言葉の力〉で描ききった希有な小説。
――村山由佳さん(作家)

武器はチェロ。
潜入先は音楽教室。
傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。
『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が、想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説!

少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……

amazon 内容紹介

スパイ

スパイもの。
実際にあった事件に着想を得たようです。
着眼点すご。

憧れるなースパイ。
ほんの少しスパイ気分味わいました。

けど、僕には無理かなー。

僕は秘密とかすぐ言ってしまうタイプ。
口が軽い。
信じられないほど軽い。
その軽さたるや、りくろーおじさんのチーズケーキと張れる。
ふわっふわっ。

そして、これまた信じられないほど開き直ってる。

「僕秘密すぐ言っちゃうんでー」と公言してる。
無理なもんは無理。
だって秘密を抱えとくのってめちゃくちゃしんどくない?
最新情報は言いたくてたまらん。

秘密裏の異動のオファーすらも、僕は秒速で言いふらした。

僕が橘なら、塩坪さんに潜入の依頼を受けたその日に誰かにしゃべってしまうだろうなー。

僕の職場はみんな「ここだけの話」が大好き。
信じられないほど大好き。
噂話がめちゃくちゃ盛り上がる。

秘密の共有を押し付けられそうになることがよくある。
それが大嫌いだ。
そんな時この口軽いイメージはめちゃくちゃ役に立つ。

秘密を守る気がない事を積極的にアピールしてるので、僕のもとには少々広がってもいいという情報しか集まって来なくなる。
社内政治からも距離を置ける。

素晴らしいライフハックだと思うので是非使ってください。


浅葉先生の葛藤

印象に残ったのは、浅葉先生がコンクールに出場するかどうかの葛藤を語るシーン。

全日本音楽コンクールの年齢制限は29歳。
ちょうど浅葉先生の年齢です。

二十九歳。信じられるか?その先だってずっと人生は続いていくのに、そこから先は足切りなんだ。二十九歳の演奏と、三十歳の演奏の間に、一体どんな違いがある?それとも俺が気づけないだけで、何か決定的な違いがあるのかな?
本文より

たしかに。年齢なんてあてにならんよなー。

浅葉先生、大学時代ハンガリーでチェロを教わってた先生の価値観に影響を受け、コンクールに出場せずフェードアウトしていたといいます。

俺は結構気に入ってる。町の教室の音楽の先生。」
コンサートホールでスポットライトを浴びている奴だけが音楽家ってわけじゃないだろ。
本文より
短期間で課題曲をやり込んだところで、それは真にその楽曲を理解したと言えるのか?
本文より

海外ではコンクールが重視されない文化の国もあるようです。
一方、日本やアメリカは大きなコンクールで入賞し、脚光を浴び、ソリストへの道をこじ開けていくのがスタンダードなやり方。

そこで浅葉先生は悩みます。

狭いスタジオで弾こうが、きらびやかなコンサートホールで弾こうが、他人に向けて弾く演奏に貴賤はないんだって。あれはおれの本心だ。どんなところで弾こうが、その音楽の価値は揺るがないに決まってる。それがハンガリー時代に俺が得た、ハンス先生の教えだからだ。だけど、俺は本当に、心の底からそんな風に思うことが出来たんだろうか?
本文より

あぁ。これは難しい。考えさせられる。
僕も「他人の評価軸には乗っからない」主義だけど、乗っからないと手に入らない欲望を抱いてしまったら、僕はどうするんだろう?

葛藤するだろうな。
郷に入っては郷に従うか。
その欲すらも薄れてしまうか。


音楽と無縁の人生ですが、音楽の持つ魅力を存分に味わえました。
チェロとかめちゃくちゃかっこいいな。思わずYouTubeで調べた。

作中に「光のとこにいてね」でも出てきたパッヘルベルのカノンが登場したときはちょっとテンション上がった。
知ってる知ってるー!つって。
「光のとこにいてね」読むまで知らんかったくせに。

↓面白かった対談も置いとく。


いよいよ明日4月12日13時~本屋大賞発表。
滑り込みで、ノミネート10作品全部読んで感想文を書けました!

読んでよかった!いい作品ばっかりだった!

ほかの人の感想読むのも楽しかった。

ノミネート発表されてからの3か月間。
とっても良い時間になりました!

また明日発表までに投稿まとめよーっと。

以上

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