見出し画像

贖罪

約5年半前、僕は、チームを離れた。理由は、監督とうまくいかなかったから。ずっとズレている部分はあった。僕らは、そのズレに気付いてはいたが、誤魔化しながら、なんとかやってきた。でも、限界が来た。いつの間にか、練習には参加せず、保護者とばかり話し、たまに練習に参加するのかと思えば、怒鳴り散らすような監督になっていた。積もり積もったズレは、もはや修復不可能になっていた。気付けば、監督からすれば、僕は、ただの“うっとうしい存在”でしかなかった。チームの一員でありながらも、それを感じさせない、そんな雰囲気が流れた。あれは、いじめだったと思う(笑)。「この監督とはもう一緒にやっていけない。」そんなことを強く感じ、僕は、チームを離れた。

本当に辛かった。たくさんの子ども、保護者の方が僕をチームに引き止めようとしてくれた。でも、謝ることしかできなかった。僕がやめたことでチームを離れることを決断した子だっている。「彼らの未来を奪った。」そんなことを今でも思っている。彼らへの罪悪感はずっと消えることはないと思う。

チームを離れてからも連絡をくれる子ども、保護者の方もたくさんいた。チームを離れた僕ができるだけのことはやってきた。それでも、ずっと罪悪感は消えなかった。ここ最近は、コ○ナの影響で行けていないが、各年度の最後の大会には足を運ぶようにしている。
「見に来てくれてありがとう。」、「お世話になりました。」親子で言ってくれる感謝の言葉が僕には辛かった。嬉しい気持ちはもちろんある。でも、感謝されるようなことをできていない自覚がある僕は、素直に喜ぶことはできなかった。

子どもは中学生になり、卒団したが、弟がまだ小学生でチームに残っている保護者の方もいる。今でも定期的に連絡を取っている。「チームに戻ってきてほしい。」そんなことを何度か言われた。非常に申し訳ないが、僕は、断ってきた。チームに戻ったところで僕の居場所はない。

昨日、その保護者の方と約半年ぶりにたくさん話した。自信を無くしていくチームの子どもたちの様子を聞いた。僕とは面識のない子の方が多いが、それでも胸が苦しくなった。

自信のある子たちに育ってほしい。
子どもたち全員にそう思っている。出会う子どもでも、出会わない子どもでも。今、僕の目の前に自信を無くしていく子どもたちがいる。僕の無力さを感じる瞬間だ。

そんな時、その保護者が僕に言った。「個人的に会ってほしい。何人か連れて行くから、一緒に練習してほしい。」と。僕は、「任せてほしい。」と答えた。
僕は、良くないことをしているかもしれない。監督に失礼なことをしているかもしれない。黒でも白でもないとしても、グレーであることは間違い無いと思う。もちろん、たくさん悩んだ。でも、僕が今からやろうとしていることを応援してくれる人もいる。それに、目の前に困った子たちがいて、その子たちを放っておく理由なんて今の僕にはなかった。

厳密に言うと、少し違う部分もある。僕は、自分の罪悪感を少しでも減らすために練習を請け負ったのだと思う。困っている子たちを盾にしているのかもしれない。この子たちが少しでも自信をつけていくことで、「自分の罪悪感が少し減るかもしれない」、そんな期待を抱いている。でも、「やる。」と決めたからには一生懸命やります。

僕が救う。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
「いいね」、「フォロー」してくれると嬉しいです!
 #夢 #教育 #指導  #コーチング

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?