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今さら聞けない「観光DX」とは?旅館・ホテルでの取り組み事例とともに解説

これからの観光業を考える上で急務とされている「観光デジタルトランスフォーメーション(以下:観光DX)」。

簡単に言えばこれまでのアナログベースの業務からデジタルを活用した新たな領域の業務への移行を意味していますが、実際にそれがどんな未来像を示唆し、また具体的に何をしたらいいのかよくわからないという声が多いのも事実です。

より豊かな観光コンテンツと観光体験を提供していくために、旅館ホテルでは観光DXをどう捉え、どんな取り組みをしていけばいいのでしょうか。

今回は観光DXについて、旅館・ホテルでの取り組み事例ともにご紹介していきます。


1.観光DXとは

観光DXとは、デジタル技術の利活用によって「独自の文化や芸術、自然など、地域の持つ観光資源」を磨き上げ、より多彩で充実した「観光コンテンツ」や快適な「観光体験」を創出・提供することで、地域ならではの体験価値の向上や観光消費額の増大を実現させるための取り組みのこと。

現在のように急激にテクノロジーが進化し続け、それに伴って社会の常識や人々の行動形態が変革していく過程。これが社会のデジタルトランスフォーメーションです。

こうした社会の変化に合わせて必然的に、観光産業や宿泊産業のあり方までもが大きく変化してきています。そんな旅行者の消費や行動の変化に合わせて、または先取りして、旅館ホテルでもマーケティングやマネージメントのデジタル化を進め自在に活用していくことが重要です。

すでに海外では観光業界のデジタル化は当たり前となっているため、海外からのインバウンド客はデジタル情報やサービスを前提として来日してきます。

また国内観光客もデジタル情報をベースとした観光スタイルが当然のこととなってきていることから、全国の宿泊施設の間で予約やチェックインのオンライン化や多彩なアプリの利活用による利便性のアップなど、デジタル技術の活用が一気に広がり始めています。

従来とは比較にならないほどの情報が行き交うデジタル社会の中では、お客様が利便性を実感できなかったり、提供サービスの品質を平準化できないままの経営を続けることは、旅館ホテルにとってまさに致命的だと言えるでしょう。

逆に言えばそのリスクをいち早く察知し、積極的なデジタル転換と活用に取り組んでいくことこそが、今の時代の成功事例への近道となるのです。

2.旅館・ホテルでの観光DX取り組み事例をご紹介

ここでは、旅館・ホテルでの観光DXの取り組み事例を2つご紹介します。観光DXへの取り組みを検討している方はぜひ参考にしてみてください。

①【潮彩きらら赤穂温泉 祥吉】配膳管理システムの導入で業務改革

兵庫県赤穂市の人気旅館、潮彩きらら赤穂温泉祥吉では、長年にわたって人手に頼っていた食事時の煩雑な労務を軽減する目的で、2021年に配膳管理システムを導入。

導入から約1年半の実践運用を経て、今ではすべてのスタッフがお客さまお一人おひとりの予約情報からお食事情報までを共有し、携帯しているスマホに瞬時に反映されるリアルな状況を確認しながら、ロスのない業務運営が実現できています。

配膳管理システムが業務に定着した後、宿が以前からの最も大きな変化として挙げたのが、人的なミスが大幅に減少したということ。

中でもお食事提供時に混乱しがちな飲み物のオーダーに関しての間違いが激減し、誤請求でお客様にご迷惑をおかけしてしまうケースが目に見えて減少したといいます。

②【海辺のかくれ湯 清流】スマホを利用した館内案内「ポケやど」

「海辺のかくれ湯 清流」は、日本一の夕陽を誇る西伊豆町を代表する堂ヶ島温泉に位置し、干潮時に海を割って島へと続く道ができる「トンボロ現象」で知られる三四郎島を真正面に望む名宿です。

そんな清流が「ポケやど」を導入した最大の目的は、生産性の向上にあります。

紙に印刷したアナログの館内案内による販促案内の場合、情報差し替えのたびに各種のツールを制作し、全客室分のセッティング作業を行う必要があり、この手間が大きな業務負担となっていました。

「ポケやど」を導入してからは、掲載内容を日々見直し、常に情報を最新に保つことによって、お客様が確認したい事柄があってもスマホで手軽に解決できることから、フロントやスタッフへの問い合わせが激減するなど、期待以上の業務軽減効果も表れているそうです。

3.今こそ、DX推進のチャンス

旅行というレジャーは人が移動することで成り立っています。しかし人の移動が不可能となったコロナをきっかけとして、デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルを模索する動きがさらに加速しました。

この流れはwithコロナ、afterコロナの時代にも引き続き広がり続けますから、今アクションを起こさなければ今後も延々ときっかけを見失い続けることになりかねません。今こそ旅館ホテルが観光DXに取り組む大きなチャンスだと言えるでしょう。

最初から完璧をめざす必要はない、大事なのはまず始めること!

新たな取り組みを始める際、私たち日本人にはまず完璧な事業計画を構築してから実行しようとする習慣があります。

しかし、ことデジタル化に関しては、社会のデジタル化もまだまだ進化の途中で、今後どのような動きが出てくるか、また新しい技術が開発されるのかが見えない状況にあります。そんな状況の中では、今の段階で未来を正確に見越した完璧な計画を作ることなどどんな大手企業にもできません。

観光DXに関してはこれまでのように最初から完成形を作り上げようとするのではなく、まずはいち早く具体的なアクションを起こすことこそが正解。必要があればすぐに改善や手直しを行えるのがデジタルの特徴でもあります。

その意味でも、デジタル時代の新たなサービスや取り組みは、ある意味で早い者勝ちの世界。必要なのは「始めること」です。

まずは貴館がお持ちの顧客データをデジタル化したり、館内案内や提供サービス情報などをお客様にスマホで提供できるように変えていくなど「今できること」から一つずつ始めましょう。

取り組みが早ければ早いほど、将来の成功に向けての大きなアドバンテージを手にすることができるのです。ぜひ貴館のめざす目標や利益、理想とする事業形態や組織体制を見据えて、貴館ならではの観光DXに取り組んでみてください。


旅館ホテル業界で長年の経験と信頼を誇る株式会社エイエイピーでは観光DXに関するさまざまなご相談や、デジタル化推進をサポートする多彩なアイディアのご提供・ご提案などを通じて、皆さまの事業発展をお手伝いさせていただきます。

※2023/02/09公開の記事を転載しています


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