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最近の金融市場動向(2022年8月)

 マスメディアの報道が戦争から疫病に逆戻りして、

今後の市場がどうなるかは分からない。

 分かると豪語するのは未来人と詐欺師だけだが、これだけで終わってしまっては味気ないので、私なりの考えを記そうと思う。

為替、株式市場共に、神経質な展開。

 月初に131円台まで上昇したドル円の相場だが、数週間で137円台まで下落するなど、乱高下を繰り返しており、神経質な展開が続いている。また、S&P500指数が半値戻しを達成。日本株もそれに釣られて上昇する傾向にあるものの、正直、これと言った上昇材料は見つからず、何かの拍子にあっけなく下落しかねない状況だと思いながら、相場と接している。

 先月までは、株安の損失を円安がカバーしていたものの、ここにきて米国株が半値戻しとなった影響で、年明け以前から外貨建て資産を継続保有している人は、株安よりも円安による為替差益の影響が凄まじく、円建てで最高益レベルまで押し上げられている状態ではないだろうか。しかし、先述の通り、相場が好調な時ほど慎重になったほうが良いと考える。

 それはS&P500指数が半値戻しを達成した後、統計上再び安値以上に下落した過去はないとは言え、あくまでも過去の話で、未来にも適用される保証などない。

 我々は今、疫病と戦争という、歴史の1ページに刻まれる時代の渦中におり、何が正解かは未来になってみないと分からない局面に直面する可能性はゼロとは言い切れず、これまでの常識が通用しない恐れがある。

不確かな状況下での誤判を防ぐには。

 不確かな状況下で、間違った判断をする確率を抑えるためには、他人を信用せず、好奇心を強く持ち、自身のそれを優先することが大切である。

 現に、2020年2月に疫病が騒がれ始めた際に、私は香港風邪と状況が酷似していると推察。終息するのに2年以上要した歴史から、ワクチンすら出来ていない現状では、他人との接触を極力控えるべき状況が、最低でも2年以上続くと判断した。

 夏場に気温が上昇すれば終息する説も囁かれていたが、インドで感染が拡大していたことから、それはなさそうだと素人ながら思ったものの、専門家の見解をガン無視することも出来ず、様子見はしたものの思った通りの結果となった。

 2年間もの長期に渡り、家で出来てかつ自分の価値や能力を高められることは何かを自問自答して、通信制の短期大学で、自身の非大卒の学歴をアップデートする道を選択し、短期大学士を取得。今は4年制大学の3年次編入で、もう2年掛けて学士の取得を目指している。

 そして、金融市場における私のスタンスは、日本で生活する以上、日本円は必要であり、いくら円安で円がオワコンと嘆かれていても、余剰資金の全てを外貨建て資産にするのは、為替リスクを過度に背負う側面があることから、円と外貨を半々にするようにして、円安、円高のどちらに転んでも、大きな影響が出ないように心掛けている。

値上げが本格化する秋。

 以前から記しているが、大事なことなので何度でも記す。現在の値上げは昨年からの原油価格高騰に伴うものであって、2月24日からの戦争は織り込んでいない。

 そして、投資は危ないものと決め込んで、インフレに対して預金で備えるのは、通貨価値が目減りしている以上得策とは言えず、少しでもインフレ耐性のある株式などの資産に変える必要性が増してきている。

 日本人の投資人口は2,700万人と20歳以上人口で見ても3割に満たず、他の先進国と比べても預金文化が根強い。しかし、預金保護の限度額である1,000万円を預けたところで、メガバンの金利は0.001%で、1年間で貰える利息は税引き後には100円に満たず、ATMの時間外手数料でも収受されたら損をする額である。

 長らくのデフレで、現金の価値が保持されていた過去はそれでもどうにかなったのかも知れないが、今は原油高やサプライチェーンの崩壊から、モノの値段そのものが、需給バランスに関係なく上昇する、所謂コストプッシュ型のインフレとなっており、この傾向は暫く続く。

 例え食べ物や工業製品を国産にしたところで、それらを作るエネルギー資源である石油は必須で、原油が値上がりして、かつ対外的に日本の国力低下から円の価値が目減りしているのだから、否応にも原価は跳ね上がる。

 預金でお金が増えないなら、運用して増やす他ない。別にみんなでデイトレーダーになろうと言いたい訳ではなく、株主優待で生活コストを抑えてみる位から投資を始めて、少しでも生活苦が軽減されれば、それも立派な投資なのだから。

金融庁がNISA拡充要望。

 本家イギリスのISAに倣って導入されたNISAを、より本家ISAに近付けようと、前々から金融庁が要望していたため、正直目新しい内容はないものの、今年は金融所得課税強化からの資産所得倍増プランと、首相の発言が二転三転した結果、資産運用に興味を持つ人が増えて、大々的に取り上げられた印象がある。

 これには思惑があり、恐らく政府は富裕層への金融資産課税を強化したいのが本音だが、賦課方式である年金制度の先細りが目に見えて、国民に資産運用による自助努力を強いる手前、老後の資産形成のために運用している一般人と、利子・配当所得だけで一般人以上の収入を得ている富裕層とを、一緒くたにするのは得策ではない。

 その解決策のひとつが、NISA(少額非課税制度)の拡充なのだろう。仮に一般NISAの非課税枠が年間240万円、非課税期間は5年となると、最大1,200万円が非課税で運用できる。つみたてNISAも60万円の20年分で合計は同じである。

 仮に後者を全世界株式のインデックスファンドで運用し、年率4%のリターンが見込める場合、元本1,200万円に対し、20年後に1,825万円となる。老後資金問題で騒がれた額には届かないものの、それに近い額を運用によって確保することができる。

 そのため、仮にNISA拡充後に金融課税強化を行う場合、iDeCoとの併用により、一般人の資産形成を阻害する障壁になることはなさそうである。


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