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最近の金融経済動向(2023年10月)


SBI、楽天証券の日本株売買手数料無料化。

 厳密には9月30日発注分からだが、休場している土曜日から開始されたため、事実上10月から無料化したと捉えて良いだろう。

 ネット証券が来年から拡充される、新NISAを見越しての売買手数料無料化だが、マネックス証券は追従しない方針を打ち出した。

 これはビジネスモデルの違いから来るものと思われ、証券業の手数料収入に依存せざるを得ない会社と、シナジーが得られれば、証券事業単体で採算が合わなくても構わない会社との、方針の違いから差が出ているのだろう。

 とはいえ、マネックス証券もNISAに限り無料化していたり、投信のクレカ積立の還元率の高さに軍配があがる点で、投資方針によっては無料化を打ち出した会社に乗り換えない方が得なケースも想定され、各々でシミュレーションしてから金融機関変更を検討するのがベストだろう。

クレカ積立上限10万円に緩和。

 23日、大和コネクト証券にて、クレカ積立の上限額を現行の5万円から、10万円に拡大することを打ち出したことで、規制が緩和されたことが明らかとなった。

 新NISAは、つみたて投資枠として年間120万円用意されていることから、クレカ積立を月10万円で設定することにより、ほったらかしで枠が上限まで埋められるようになり、カードによってはポイントが付与される、経済圏の囲い込みが激化するものと思われる。

 個人的には成長投資枠の240万円でも、つみたて投資枠と同じ投信を積み立てたいとも思うため、月30万円まで拡大してほしい気もするが、世間一般の金銭感覚とはズレている自覚はある。

 そもそも株クラ民でもない限り、月に5万円すら積み立てする種銭がないのが実情で、カード利用枠の現金化対策の観点でも、月10万円を超える必要性がないと言われてしまえば、ぐうの音も出ない。

 単身世帯の貯蓄額(中央値)が100万円に満たず、2人に1人は貯蓄ゼロなんて統計もある中で、年間120万円も積立投資に回せるお金がある時点で、日本社会では少数派なのだから、既存の5万円がキリよく使える10万円に拡大しただけ有難い。

 それに利用限度額が30万円のカードだと、買付注文から先月利用分の引き落としまで、一時的とはいえ2ヶ月分、利用枠の2/3が投信積立で埋まる訳で、例えばこれを上限15万円に拡大してしまうと、事実上、投信積立以外に利用できなくなるため、クレカ積立月30万円は夢のまた夢だろう。

ガザ衝突。

 端的に記すと、ガザ地区のハマスがテロ行為を行い、イスラエルが報復措置として無差別爆撃を行ったことで、血で血を洗う展開となり、収拾がつかなくなっている状況と個人的には認識している。

 とはいえ、中東情勢は複雑な歴史背景があるため、単純明快に説明することは困難で、故にメディアでもゆるふわな情報しか流していない風潮から、日本での関心は薄い。

 インターネットで世界中のあらゆる情報が簡単に得られるようになった現代で、視聴率に繋がらないとか、ウケが悪いことを理由に、米国社会に偏向した報道ばかりして、中東情勢やユーロ圏の情報を、これまで発信してこなかったマスメディアは、今後の在り方が問われる局面になりそうである。

 個人的には、迫害の歴史を持つユダヤの人々が、自分たちがナチスから受けてきた仕打ちと同じことを、時代を超えて行っている様子を見てしまうと、正義の名の下に血で血を洗う戦争をしてしまうのが、人類の悲しき宿命なのかと考えさせられる。

 本題に戻り、米国はウクライナとイスラエルの支援を両立する方針とのことだが、これだけきな臭い時代になりつつある中で、米国が核の傘により世界を牽制し続けることへの限界感が、チラチラと見え隠れしているのが現状のように思う。

 昨今の戦争を、遠い東欧や中東の出来事と思わず、広義の米中対立構造と捉え、米国の属国に過ぎない日本の隣国が、米中のどちら寄りなのか。そんな想像を膨らませると、台湾有事が近い将来に起きても、何ら不思議ではない時代背景だと思うが、いかがだろうか。

全銀システム、初の大規模障害。

 障害そのものはメディアで報じられている通りで、別途説明するまでもない。それよりも、賃金という名の定期的な入金が、たった3日間滞っただけで、生活が詰む人が浮き彫りになったことから、この国の現役世代、特に単身者の2人に1人は貯蓄ゼロである事実を、改めて思い知る運びとなった。

 我々は同じ決済や送金手段ひとつ取っても銀行やクレカを信頼する一方で、QR決済や暗号資産は胡散臭くて、どこか信用ならないと思い込みがちである。

 しかし、それはあくまでも、システムが正常に動作している前提での話となり、全銀ネットという根幹のシステムで障害が発生すると、信頼している前者はたちまち全滅する可能性がある。

 しかし、胡散臭さの正体とも言える、全銀ネットを経由しない後者は、新しい決済・送金手段故に影響を受けない意味で、反脆弱性を持ち合わせていると言える。

 今回の大規模障害から学べることは、以前のKDDIの大規模通信障害然り、新しい決済・送金手段である後者を、普段からちょっとだけ取り入れて二刀流でいること。

 それにより、何かあった際に生き残っている方でカバーできるため、生活に必須なインフラほど多少のコストをかけてでも、個人で冗長性を確保しておく。これが何より重要ではないだろうか。

 大前提として、生活防衛資金として、預金口座に生活費の半年〜1年分程度は蓄えてからの話ではあるが。


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