税金をばら撒くなら、集める必要なくね?
情報強者だけが得をする社会。
先日、年度末まで契約していた新電力会社から、節電プログラムの御礼が付与された。原資は経済産業省の国節電プログラムである。
当初、電力高騰対策として、1,000円の節電ポイントを付与する案を政府与党が提言したが、国民民主党の玉木さんが、そもそも電力の安定供給確保がお仕事では?と至極真っ当な指摘をして、その影響もあってか、給付金を直接配る方式から、電力料金から直接値引きする、契約者全員が、何の手続きもせずに恩恵を受けられる方式に変更となったのは記憶に新しい。
現在の電気料金激変緩和措置に伴う直接値引きこそが、物価高騰対策のあるべき姿だと思うが、電気料金以外ではそのようになっていない。
政府がそれぞれの自治体に対して補助金を交付し、自治体が各々で物価高騰対策の支援事業として、キャッシュレス決済の還元措置や、プレミアム商品券の形でばら撒いている。
しかし、この方式では残念ながら自ら情報を取りに行けるか、誰かに教えて貰えるコミュ力を有している、いわゆる情報強者が便益を受けることができる一方で、それらの情報にアクセスできない情報弱者は、税金だけ取られて終了する残酷さが潜んでいる。
行政システムなども同じだが、国を掲げて事業を行う方針が変わらないのであれば、地方自治体に金だけ配って個人プレイをするよりも、国で一括して行った方が無駄にコストが掛からないと思うが、それをやると地方の役人が必要なくなるため、結果として似たようなサービスが、最低でも47通り出来上がる体たらくとなり、パーキンソンの法則がそっくりそのまま当てはまる。
現行方式なら、それぞれの地域性に合った行政サービスが提供できる意見も否定はしないが、コストに見合うだけの柔軟さがあるのかは疑問なうえ、例えば東京都町田市と、神奈川県相模原市のような県境で、一軒先は助成金の内容が違うなんて状況の方が如何なものかと感じてしまう。
ちなみに、町田駅前にあるヨ○バシカメラは東京都だが、道路を挟んで向かい側にあるデ○ーズは神奈川県である。そもそも町田は神奈川県ではないか?と、迷惑ついでに清瀬は埼玉県ではないか?は冗談でも口にしてはいけないと、エセ都民だった頃、都会指数の高い人から教えて貰ったが、大体正しい。埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!
懐は痛まなくても、手間だけが増える。
内容が大幅に逸れてしまったため、強引に本題に戻すが、昨今の少子化対策然り、どこかにばら撒くためには財源が必要で、取れるところから搾り取っていくことが、さも当たり前かのように議論されている。
その結果として、現役世代に少しでも子どもを持とうと思えるような、少子化対策の財源を捻出するために、現役世代の重荷となっている社会保険料を引き上げるなんて筋違いな案が公表される体たらくである。
子ども一人が産まれてから、大学を卒業するまでの養育費として、2,000万円〜4,000万円ほどが相場だと言われているが、仮に国が下限の2,000万円を負担したとしても、生涯賃金で学歴や男女差があるとはいえ、平均2億円程度あり、そのうちの2割が税金と社会保険料で回収できる。
つまり、一時的にばら撒きで歳出超過となっても、半世紀単位の超長期スパンで見れば回収できる可能性が高いのだから、公共事業として建設国債を発行しても良いはずで、少なくとも社会保険料の引き上げよりは理にかなっているだろう。
そもそも税金や社会保険料率を引き上げたところで、但し書きまみれの複雑怪奇な税制故に、抜け穴を見つけられるズル賢い奴ほど合法的に、あるいはグレーゾーンと知ってか知らずか、あの手この手で課税所得を実態以上に低く取り繕ったり、給付金を抜け目なく受給するため、大して懐は痛まない。
とはいえ、申請の手間が増える分、余計な書類作成に無駄な労力が取られる。結局は税金を取られっぱなしで終わるか、労力を割いて取り戻すかの2択を迫られる訳で、賃金から徴収された時点で、金銭か労力のいずれかがマイナスとなる運命にある。
大きな政府に賛成も、透明性が課題。
それなら、最初から税金として集めずに、個人で稼いだ賃金は好きに使わせてくれと、アメリカンな発想である小さな政府に偏りがちだが、それは社会保障制度が手薄になる、切り捨て御免な社会を容認することを意味する。
とはいえ現役世代、特に就職氷河期世代で、運悪く学校を卒業して社会に出る初期段階で躓いてしまい、年功序列、終身雇用の社会システムから排除されてしまった一方で、生活保護の水際対策で、気の弱い人ほど自己責任論を押し付けられて来た境遇を鑑みると、既に切り捨て御免な社会なのだから、ドラスティックなスクラップアンドビルドで、小さい政府にすべきと言う意見も一理ある。
しかし人はいつ、どこでセーフティーネットが必要となるか分からない以上、誰もが失敗しても野垂れ死ぬことなく、やり直せる社会であって欲しいと願う。
仮に自分が冷や飯食いだったとしても(と言うより、慎ましく暮らした結果、同世代より多少資産があるだけで、社会に出て、ものの数年でブラック企業に潰されている意味では冷や飯だろう)、後世には同じ思いをさせないのが、現世を生きる者としての優しさだと思う。
そのため、個人的には大きな政府路線を踏襲しつつも、歳出の透明性を高める方向性が妥当と考え、どこかの一般社団法人に概算払いで、公金垂れ流しをしたどこかの保健福祉局の財務会計など、あってはならない。
大きな政府の透明性を認めるその日まで、課税所得を基礎控除の範囲内におさめて、合法的に税から逃れ、全力で抵抗していこうと思う。