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最近の金融市場動向(2022年6月)

 疫病とか、戦争とか、マスメディアではさも一段落着いた状況かのように報じられてますが、大して変化していない。つまり、

今後の市場がどうなるかは分からない。

 分かると豪語するのは未来人と詐欺師だけだが、これだけで終わってしまっては味気ないので、私なりの考えを記そうと思う。

円安は136円台で一服か。

 円相場は6/21に136円71銭と、およそ24年ぶりの安値を更新したが、その後、FRBの大幅利上げに伴い、米国景気が後退局面となる懸念から、米国の長期金利が低下し、円売りが一段落しているような動きとなっている。

 円建てで外国株式を保有している人は、株安の損失を円安がカバーしている側面もある。以前から外貨建て資産を保有している人にとっては収支トントンな側面ではあるが、だからといって保有資産の全てをドル建てにするかは慎重になったほうが良いと考える。

 ひとつは、米国株式が下落して半年前の水準に逆戻りしているものの、未だ割安とは言い切れない状況であり、今後も下落する余地が多分に含まれていること。

 もうひとつは、弱気相場の平均期間は18ヶ月で、現時点では弱気相場入りして半年に満たないことから、あと1年程度はジリジリ下落してもおかしくない状況である。

 これらを踏まえた上で、円資産を売却してまでドル建ての資産に買える必要があるのかを判断する必要がある。また、現状鎖国状態の日本だが、訪日観光客の受け入れを再開することにより、円を買う動きが出てくると現状の円安が続くとは思えない。

 円は刷りすぎて紙切れになると海外資産に逃がすのは、リスクヘッジの意味で有効ではあるものの、個人的には円で生活している以上、外貨建て資産の比率は最大でも半分程度に留め、将来、米国株安や円高となるシナリオが現実化した時のダメージを、必要以上に負わない様なポートフォリオを意識すべき局面だと考えている。

愚策につき猛暑日に電力逼迫。

 6月にも関わらず、首都圏では連日、猛暑日を記録している。観測史上初だと言う。その中で、政府は電力逼迫を理由に節電要求を行っているが、原子力発電所の稼働を停止して、老朽化した火力頼みとなっている最中で、昨今の戦争によるサプライチェーンの崩壊や、物価高が重なり電力が逼迫している状況であり、節電による熱中症で死者が続出するようであれば、人災以外の何物でもない。

 また、電気料金が高騰しており、新電力会社が経営破綻した例も出てきている。電力系の株式を保有している方は、燃料費の高騰を電気料金に転嫁できることから、売上高の上昇期待による株価上昇の恩恵があるものの、株式を保有していない方からすればスタグフレーション以外の何物でもない。

 個人的には、原子力発電所の再稼働を行うべきだと考えている。3.11の教訓から、新規建設を中止するのは一理ある。しかし、現状稼働停止している原発を廃炉したところで、現代科学の技術レベルでは、放射性廃棄物の処理が不可能である以上、稼働させようがさせまいが、建ててしまった以上、原発リスクは大差ない。

 昨今の電気代の高騰や安定供給のためには原子力発電に頼るべきではないだろうか。

物価高の本番はこれから。

 先月、物価高の煽りを受け、コメダ珈琲がおよそ1割の値上げとなった旨を記した。原油高も一因ではあるが、食品産業で最も影響が出ているのは、間違いなく小麦価格の上昇である。

 小麦は4月と10月に価格改定されることになっている。昨今の食品価格高騰は、まさに4月の価格改定を織り込んだ物となっているのだが、4月時点での価格改定には、戦争による影響を受ける前の価格。

 つまり、世間一般では昨今の世界情勢によって物価が急激に高騰していると誤解しているが、2022年6月時点での値上げは、純粋な原油高によるものであり、戦争に伴う物価高の影響は10月の価格改定から本格化するという見立てである。

 私は原材料費の価格改定に関して専門的な知識を有していないため、全ての原材料価格が半年毎に改定されるのかは定かではないが、小麦に限った話ではないと考えて対応策を練るべきと考えている。

 インフレで家計が苦しくなったことで、小手先の娯楽費や食費を切り詰める方は多いと思うが、この傾向は半年も経過すれば、更に拍車をかける形で表出することから、抜本的な家計改善を行わなければ、スタグフレーションの波に飲まれる可能性が高い。

「投資に回す貯蓄ない」が34%

 令和版所得倍増計画から、資産所得倍増プランにすり替えられ、「貯蓄から投資へ」と声高に叫ばれて記憶に新しい。

 私は一介の20代として、金融広報中央委員会の統計で、20代単身者の保有金融資産額中央値が8万円という調査結果を、ことあるごとに取り上げていた。中央値だから、少なくとも半数は貯蓄どころではないその月暮らしをしていて投資どころではない。

 6/4〜5に18歳以上の1207人が回答したJNN世論調査において、「投資に回す貯蓄ない」が34%、「投資に回そうと思わない」が40%という結果となり、「投資に回そうと思う」は23%だった。

 NISAやiDeCoの拡充は個人投資家としては有難いが、7割以上の方が使いこなせない制度の拡充によって格差が拡大するので有れば、長らく金融教育を行なっていなかった代償を多くの国民が支払い、一部の独自に金融リテラシーを高めた方だけが得をする。減税や還付金同様に、知らない奴が損をする時代であると痛感する。


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