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確定申告は、税の仕組みを学ぶ良い機会。


会社員でも出来るに越したことはない。

 2/16〜3/15は確定申告の季節である。私は還付申告となるため、税務署職員が忙殺される上記の時期よりも早期の段階で申告を済ませている。

 手前味噌だが、これまで私はサラリーマンでも毎年確定申告を行なっていた。会社の人事部や経理部に丸投げできて、確定申告の必要がない環境の給与所得者にも関わらず。

 過去に暗号資産の雑所得が20万円を超えてしまい、必要に駆られて申告したのを機に、毎年やっている様子は、ただの物好きに見えるかも知れないが、給与天引きで納めている、税の算出根拠を理解するのに、確定申告以上によく出来た仕組みも見当たらない。

 「習うより慣れろ」算出根拠を理解したうえで稼いだり、保険とワンルーム投資の営業マンの常套句である「節税になりますよ」が、果たしていくらなのかを理解した上で契約に至る方が、常に適正な金額を納税したり、納め過ぎならば還付を受けられる意味で、会社員でも出来るに越したことはない。

 自営業とか起業の意思がなくとも、今では転職するのが当たり前の時代であり、転(退)職した年は年末調整できないのだから、適正な税額を納めたり、還付を受けるために確定申告が必須なわけで、義務教育で教えてくれないが、転職市場で引く手数多なデキるビジパ(棒読み)には必要なスキルとも捉えられる。

ふるさと納税、ワンストップ特例制度の盲点。

 そんな確定申告だが、ふるさと納税もとい寄附金控除も申告する口実となる。ワンストップ特例制度は利用せず、後述する所得税分の還付金を受け取る魂胆で、私はふるさと納税も確定申告で済ませていた。その方が確実だからだ。

 今年の申請分は、早期退職して控除の恩恵がない程度の所得しかないことが明白だったため、単なる寄付となる事態を避けるためそもそもやっておらず、寄附金控除の入力をスルーしたのが新鮮だった。

 節税できる総額はどちらも同じであるが、ワンストップ特例制度の提出先は納税した地方自治体であり、役場の税務課が対応可能なのは住民税のみ。それに対して、確定申告は所得税を扱う税務署が対応するため、申告した所得情報を元に所得税→住民税へと伝達されるため、言わば上位概念で違いが生じる。

 ふるさと納税で支払った金額が14,000円と仮定した場合、ざっくりとしたイメージとして、まず2,000円が自己負担額として差し引かれ、翌年の税金は12,000円安くなるが、確定申告とワンストップ特例制度で節税の内訳が異なる。

 確定申告の場合、申告して1ヶ月後くらいに所得税4,000円が還付され、残りの8,000円/12=667円が住民税として、6月分給与から1年間差し引かれるのに対して、ワンストップ特例制度は住民税のみで、12,000円/12=1,000円が6月分給与から1年間差し引かれる。

 そのため確定申告した場合、5〜6月頃に渡される「住民税 特別徴収税額の決定通知書」の摘要欄の「寄附金税額控除額」が、納税額−2,000円にはならず、差額は既に税務署から還付されていることになる。

おそろしく中途半端な控除額、オレでなきゃ見逃しちゃうね

 そんなふるさと納税だが、先ほど「確定申告>ワンストップ特例制度」と記したように、確定申告が上位概念となる。

 これが何を意味するのか。何かの拍子(暗号資産で一儲けした、住宅ローンを組んだ、110万円超の贈与を受けたetc)に確定申告が必要となると、確定申告の内容で「上書き」されてしまうのが盲点と言える。

 ワンストップ特例制度で役場が処理してくれると思いきや、確定申告した所得情報を元に所得税→住民税へと伝達されるため、確定申告で寄附金控除(ふるさと納税)の申告がゼロだと、ワンストップの手続きも虚しく、ゼロのまま上書きされてしまう。

 せっかく納付先の自治体毎に必要書類を返送しても、確定申告で上書きされてしまうリスクがあるのなら、最初から確定申告してしまった方が潔い。

 それに役場の人も我々と同じ人間である。時にはヒューマンエラーで、節税が抜け漏れていることもあるだろう。確定申告であれば税務署のPC、電子申告であればWeb上のフォームに自分で入力するのだから、他者を介さない分、確実に申告できる。

「過払い」は申告しないと返って来ない。

 筆者調べでは、パンピーに税金のイメージを思い浮かべて頂くと、十中八九「脱税」するとマルサが家にやってきて、厳しい追徴課税とともに末代まで取り立てられる的な、テレビ番組の特集やドラマの見過ぎ感が強い。

 ある種のプロパガンダで、税務署を舐めない方が良い。税金を踏み倒そうと思うだけ野暮。大人しく支払っておいた方が吉。と言う考えは些か極端ではあるものの概ね同意する。

 しかし、だから言い値で支払っておけば良いとはならない。未払いには厳しい一方で、過払いは申告しないと返って来ないのも、理不尽ではあるが現実である。

 かつてエッセンシャルワーカーだった出自から、職場内で年末調整の控除を申告するのが面倒臭いから、判子だけ押して出す先輩が居たが、仮に保険屋の言い値で契約した、生命保険料控除(新契約)をフルで利用した場合の12万円を見す見す逃した場合、所得税(5%)+住民税で18,000円もの税金を過払いしていて、還付を受けられないことになる。

 私は今回の確定申告で、国内のパック旅行1泊は出来そうな額の還付金を受け取れる予定だが、電子申告であれば、わざわざ税務署に出向く必要もなく、小一時間面倒な書類仕事をWeb上で行うだけで、数万円の還付が受けられるなら、これほど割の良いアルバイトもそうそうないだろう。

 そうして習うより慣れろの精神で、税の仕組みを学ぶと「あれれ~おかしいぞ~」と、江戸川コ○ン顔負けの名推理で、税制改正大綱から国が何を考えているか読み取ったり、税制の歪みを突いて合法的にフリーライダーできる頃には、相当な税制リテラシーが身についている筈である。


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