見出し画像

結婚、育児は幸福度のレバレッジ。

 結婚して子供を持つのが幸せな人生だと、漠然と考えている人は多いが、独身でも幸せな人はいるし、結婚して不幸になる人だっている。

 現に4割が生涯未婚で、結婚した6割のうち3組に1組は離婚している。単純計算で未婚:結婚:離婚=4:4:2で、何が正解なのかはその人の価値観次第と思える割合だ。少子化で婚姻届を出す人が減って、熟年離婚などが増えていると言った要因が考えられるから、3組に1組が離婚すると考えるのは安直だが、離婚の理由として性格の不一致が断トツなのは紛れもない事実だ。

 子供が欲しい女性からすると若さとの兼ね合いで難しい部分ではあるのだが、焦ってパートナーを決めるのは良くないことが統計からも伺える。

結婚や子育ては、世帯の人数が増す毎に幸福度の倍率が上がる。

 あくまでも私の主観による考え方だが、倍率が上がるだけに過ぎない。だから、結婚した方が独身よりも幸福感を得られる可能性が大きい反面、マイナス方向の作用も大きくなるわけだ。

 例えば、経験が共有できるパートナーが出来ると幸福度は上がる可能性がある一方で、離婚すれば財産の半分は相手のものになる上、慰謝料を請求される可能性もある。これは一人の時には発生しないリスクである。

 子供を授かれば、子育ての経験や、親としての成長はかけがえのないもので、幸福度は上がる可能性がある一方、保護者として子供の行動全てに責任を負うし、離婚すれば親権そのものを失うリスクも生じる。子供がいなければ発生しないリスクである。

 独身は行動全てにおいて自己責任だからリスクが低い。一方で、世帯の人数が増す毎に、全てにおいて自分で責任を負えるわけではなくなるから、リスクは上昇するけど、リターンも上昇する

リスクとリターンは表裏一体。

 本質的には投資と同じ考え方だ。そのため、結婚するか、子供が欲しいかは自分の価値観次第だ。リターンばかりを追って、リスクを過小評価してしまうと思わぬところで痛い目に遭う点は投資と何ら変わらない。

早生まれ自己肯定感低い問題。

 結婚絡みでもうひとつ、もし子供が欲しいと思っているのなら、子供の誕生月に関して知っておいて欲しいことがある。

 教育心理学の世界では有名な話だが、早生まれの子供たちは相対的に不利になりやすい。なぜなら、幼少期の1歳差はとてつもなく大きく、ハンディキャップの配慮がない状態で競争環境に置かれたら、体格や知能の差が大きくて勝てない可能性が高いからだ。

 もちろん、年齢を重ねるに従い、この差は小さくなっていくはずなのだが、初等教育で成功経験を重ねられる可能性の高い遅生まれの子供たちと、ハンディキャップを背負うことで不利な経験を積む可能性の高い早生まれの子供たちとでは、自己肯定感の形成に違いが出ることは明らかで、その影響が長期に渡って学業やスポーツの成績に影響すると言われている。

 実際にプロ野球やJリーグ選手には、4~6月生まれが圧倒的に多いし、学力も偏差値2~3程度の差が出ているとされている。学力差によって、国立や私立中学への在学率も早生まれの子供は少ないし、4年制大学の卒業率も2%ほどの差があると一橋大学の「誕生日と学業成績・最終学歴」で主張されている。調査は最終学歴までだが、学歴社会である日本で最終学歴が違えば、生涯賃金にも影響する可能性は捨てきれないことは容易に想像がつく。

 子供に良い成績を取って良い大学に入学させて、人並みに成功する安定した人生を送ってもらいたいと願うであれば、遅生まれが有利なのは統計で明らかになっている。

 しかし、自分や子供が早生まれだったと言うだけで悲観することはない。幼少期に競争しても勝てない経験から、他人と競わない人生を選択する可能性が高く、研究や文化を極める特定分野で突出して大化けする可能性があるからだ。実際に文学や芸術分野の著名人やノーベル賞受賞者は早生まれが多い。

 早生まれはハンディキャップを背負うが故に、不遇な環境でも屈しない精神と、競わないことで養った独特な感性を持ち合わせている。それは早生まれ特有の魅力だから、悲観する必要なんてない。

 少なくとも早生まれの私は、この研究結果で指摘されているような、ハンディキャップで不利な幼少期を過ごしていることから、研究結果には納得している。幼少時代に芸術分野以外での成功経験がないこともあり、自己肯定感は低い。学校の勉強には興味がなかったから、就職時の最終学歴は高卒だった。

 学習塾や予備校などは一切通わず、勉強は学校の授業と宿題程度と最低限だったけど、成績は平均的だった。でも、ハンディキャップを考えれば健闘していた方だと今になって思えるようになり、通信制の大学で働きながら学位を取得するまでに成長し、給付型奨学金を受け取るだけの成績を収めることが出来た。同世代に真正面から競争しても勝てないことに幼少期で気付き、他人と比べられない少数派の人生を選択したわけだ。

結婚は人生の墓場の真意。

 「結婚は人生の墓場」には2つの意味がある。日本人が知っている意味の方はフランスの詩人、シャルル・ボードレールさんの「悪の華」の翻訳だけど、明らかな誤訳で原文と日本語訳で意味が正反対だ。

 原文の正しい翻訳は「人生を全うした後は、生涯を誓った教会のお墓に2人で入る」ことを意味する非常に楽観的な言葉だ。それが、誤訳されて「結婚は人生の墓場」と広まって本来の意味と真逆に伝わってしまったわけだ。これは、「誰彼かまわず性交する自由恋愛はやめなさい。生をまっとうするなら、まずは体を清めること。そして、墓のある教会で貴方が愛した唯一の人と結婚しなさい。」と言う文面からも、当時は治療法が見つかっておらず、不治の病と言われていた梅毒が猛威を奮っていた時代背景に影響されているものと思われる。

 本文で知識を得た方が、原文通り、貴方が愛した唯一の人と結婚して、2人でお墓に入れることを願っています。最良のパートナーを持つことは財産形成において最も重要なのだから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?