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消費増税するなら、税制を一本化すべき?


財源確保で増税は理由にならない。

 異次元の少子化対策を行うに際し、財源論でああでもない。こうでもないと議論を繰り広げているあたりから、少なくとも国民の方向を向いておらず、やる気のない異次元の政策であることは垣間見える。

 そして、財源確保の選択肢として、社会保険料率の引き上げで袋叩きにあった影響からか、ついに消費増税を言及し始める始末である。

 個人的に、増税ありきの諦める前提であれば、現役世代のみ負担する社会保険料率の引き上げよりも、全世代が一律で負担する消費増税の方が、まだマシだとは思うが、個人の可処分所得を減らすことには変わりないため、消費が冷え込むことは間違いないだろう。

 そもそもトップが本気で取り組むつもりであれば、財源を確保するという発想には至らないことくらい、通貨(円)を刷る権限のない兵庫県明石市が、子育て支援が結果を出していることからも伺える。

 考えてみれば分かることだが、シ○シティ的な地域のトップとして街づくりを行うゲームで、何もない状態から街をつくるには、まず道路を敷いたり、警察や消防、病院や学校などの公共施設を設置するはずだ。

 この時の資金はどこから捻出するのだろうか?ゲームの世界だと、あらかじめキリの良い大金が用意されているが、現実世界ならこれはあり得ない。

 それに、コマンド操作ですぐに道路が敷設されたり、建物が建てられたりするが、リアリティを追求するなら労働力は必須で、何をするにも人を雇う必要がある。

 つまり、最初は借金をして公共設備投資を行い、住民や企業が移り住んできたら、住民税や法人税で後から回収する、借金→投資→回収が基本的な考え方となる。

 だからこそ、財源確保のためにまず税を徴収することは、資金ゼロ、人口ゼロ、公共施設ゼロの街でゲームスタートして、移住者に何のメリットも無いけど、とりあえず税金納めろ。

 税収がないけど公共設備をつくるのに労働力は必要だから、何ら報酬はないが地域のために労働(タダ働き)しろ。と言っている状態に等しく、これでは街が無の状態から発展する筈がなく、本来なら財源確保のために増税など理由にならない。

恐ろしくタチの悪い社会保険料。

 それにも関わらず、マスメディアは増税やむなしと平気で嘘をつく。プロパガンダ以外の何者でもなく、自分の頭で考えない者はそれに騙され続け、現状維持のつもりで自分の首を絞める一方の政党を支持する。そうして衆愚政治が完成する。

 それらを鵜呑みにしてしまう思考回路に陥ってしまうのは、失われた30年と評される長期低迷期に、少子高齢化が重なったことで、目先の増大し続ける年金、医療費の歳出を、増えない歳入の中で予算を付け替えて捻出する他なかったこと。

 その槍玉に上げられたのが、将来世代への投資削減であり、これが現在のシルバーデモクラシー、若者に冷酷な日本社会に繋がっているように感じる。

 今回、消費増税を選択肢のひとつとして浮上させたのも、政治とグルになっているマスメディアを利用することで、国民の関心を消費増税に逸らし、しれっと社会保険料率や年金保険料率を引き上げる算段なのだろう。

 日本に消費税が導入されたのは1989年だが、この当時の厚生年金保険料率が14.3%だったが、段階的に引き上げ2018年9月から18.3%に。

 協会けんぽの健康保険料率は8.3%→10%となり、当時はなかった介護保険料率まで設定され、これが2023年時点で1.82%と、導入当初(2000年)の3倍超になっている。

 しかし、現在その恩恵に預かっているマジョリティは、そんなものなどなかった頃に現役時代を過ごして、負担なしに便益を受けているのだから、不公平感の塊である。

 そうして消費税が0→10%になるまでの間に、会社員が支払いを免れることのできない、事実上の税金である社会保険料は合計7.52%も引き上げられているが、こちらの引き上げには国会の議決が必要ない。

 大衆もなんだか手取りが減っている程度の認識で、消費税ほど意識されないが、消費税が金銭消費に課せられるのに対して、社会保険料は賃金に課せられる点で、贅沢せずとも給与所得さえあれば確実に徴収され、しかも勝手に引き上げられるのだから、恐ろしくタチの悪いシステムだ。

現役世代の負担、消費税換算で70%相当。

 だから個人的には、現役世代のみ負担を強いる社会保険料という、悪名高きガラパゴスかつブラックボックスな制度を温存し続けるくらいなら、消費税を大幅に引き上げてでも一本化した方が、公平性や透明性の観点では良いのではないかと考える。

 以前に厳密な計算をしたが、現行の税制だと、年収400万円のサラリーマンは、所得税+住民税+社会保険料でおよそ80万円が源泉徴収される。

 しかも労使折半の社会保険料を、個人で55万円も負担している=使用者も同額を負担しており、これが経理上、人件費として処理されていることからも、本来であれば年収455万円貰える筈のところを、重い社会保険料負担を誤魔化すために、労使折半という体裁を取り繕っている。

 そして残り(可処分所得)の320万円の中から、更に消費税、酒税、タバコ税、自動車税、ガソリン税、固定資産税など諸々を負担している訳だ。

 年間でいくら金銭消費するかにもよるが、総務省統計局の家計調査によると、単身者の月間平均支出がおよそ16万円らしいので、ざっくり年間200万円程度は金銭消費している=(÷1.1した)18万円程度が消費税として納められている。

 つまり、年間で社会保険料110万円+消費税18万円=128万円程度納めている税金諸々を、消費税一本で賄うべく換算すると、税抜き182万円の金銭消費に対して、およそ70%の消費税率を乗じて釣り合う計算となる。

 消費税の場合、社会保険料を納めない世代も含めて負担することから、もっとパーセンテージは下げられるし、企業なども利益(収入−支出)に対して税金が課せられる場合、経費(支出)で利益を調整可能だが、支出に課せられる消費税の場合、利益を圧縮するインセンティブは生まれず、不正が生まれづらいメリットもある。

 そう考えると、所得税、住民税をはじめとする全ての税制、社会保険料を消費税に一本化する代わりに、消費税率はハンガリー超えの30%や40%みたいな世界観は、案外悪くない選択のように思う。

 金銭消費をする(=環境負荷をかける)のだから、税負担をする意味では、最近流行りのサステナブル感も出せて、一石二鳥ではないかと考えるが、今やろうとしているのは、既存の税制・社会保険料+αのため、ひどい有様である。


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