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シン・フリーライダー。

言ったでしょ。私は用意周到なの。

 表題の元ネタとなっている作品を、友人に誘われて公開初日に観た勢いで最初の二行まで綴ったものの、正直なところ、初期段階で伝えたい内容が思い浮かんでいない。

 往年の特撮ファンでもなければ、バッタがモチーフとなっていることすら初めて知った程度に、作品に対する興味も予備知識も皆無であることから、正直どこからネタバレとなるかの線引きすら怪しいため、公開情報のネタを拾うしかない。

 フリーライダーとは経済学において、公共財の費用を負担せず、便益だけ享受する、いわゆるタダ乗りである。1年ほど前に映画公開を見越して、それっぽい表題にしておいた記事の伏線を、ヒロインの名言を借りて回収して本記事に繋げる辺りの用意周到さは、株式投資の個別株運用で育まれている感が強い。

 前回の記事では他自治体の駐輪場、携帯電話、投資信託のクレカ積立のポイント付与に関して触れたが、1年後の今では携帯電話は楽天モバイルからpovoに、クレカ積立はマネックスカードに移行して、相変わらず巻かれた餌だけを食い散らかして、生涯顧客価値に逆行する畜生振りを遺憾無く発揮している。

 最近ではエポスカードで太客認定され、ゴールドカードのインビテーションを獲得して、永年無料で発行したため、空の便を利用する時に空港のカードラウンジが利用できるが、年会費の負担は免れる。

 各社が争奪戦を繰り広げる投信のクレカ積み立てで、ポイントが付く訳でもなく運用手数料が決して割安ではないtsumiki証券のファンドを、上限額まで積み立て設定して半年経過したことから、それなりに使ってくれる見込みがあるとアルゴリズムが判断して、私に永年無料ゴールドカードの招待をしたのだろう。

 しかし、ゴールドカードが永年無料で持てるメリットを見越して設定した以上、本命のインビテーションさえ受け取ってしまえば、アルゴリズムを設定した、カード会社が期待するような利用をいつまでも演じる必要はない。

 同じことを考えた友人は、三井住友ゴールド(NL)の100万円修行により、永年無料で空港のカードラウンジの利用権をゲットしたらしいが、私はその3割程度の金額で類似環境を整えた。

 しかも、利用金額の全部が資産性のあるファンド積み立てのため、それを売却して資金は回収したのだから、永年無料の権利を得るのに、実質的に消費した金額は雲泥の差となった。友人は正真正銘の太客だが、私は性根の腐ったタダ乗り以上でも以下でもない。

魂の自由を取り戻して。

 そして、これまではタダ乗りと言っても程度が知れていた。なぜなら社畜人として、課税所得に対して最下限の5%ではあるが所得税を納め、居住する都道府県や区市町村に課税所得に対して10%を住民税として納めていたからである。

 他自治体でタダ乗りするとは言え、逆説的に居住する自治体の公共財を、支払った分かそれ以上に利用しているかと問われれば正直怪しく、多かれ少なかれ余剰が発生する。

 そのため、公共財の費用を負担していない部外者が部分的に利用しても、また居住者も他自治体で部分的に公共財を利用する構図を鑑みると、広義では相互利用しているだけとも捉えられる。

 それに住民税に関しては、ふるさと納税のお陰で一定割合ではあるものの、納付先の自治体を選べたり、国に徴収された所得税も、巡り巡って地方交付税交付金として利用されているため、正真正銘のタダ乗りにはならないのかも知れない。

 対民間企業において、巻かれた餌だけを食い散らかせばタダ乗りだが、公共財に関しては100%タダ乗りとは言い切れない意味で、フリーライダーの程度は知れている。

 因みに私は毎月図書館で日経マネーと、四半期毎の四季報を読んでは、財政には困っていない東京都区部であることをダシに、納めた税金の元を取る勢いで、年に何冊も新刊予約を行う。

 それだけに留まらず、休日にはMacBookを持ち込み、コワーキングスペース的に利用するなど、公共財をフル活用して、家計のカフェ代、書籍代はここ数年ゼロで推移している。

 不本意ながら高額療養費制度を利用した年は、80万円近く納める税金・社会保険料のうち、年金部分を除いた金額ベースでは恐らく元を取っており、日本人全員が私のようになると、日本社会が崩壊しかねないため、平時はあくまでも持続可能なタダ乗りに留めるのが紳士の嗜みである。

 そんなことを記しておきながら、今年度末で社会の枠組みから外れ、表向きは低所得者の仲間入りを果たすのだから、タダ乗りはより一層加速する。

 税金や社会保険料は1年遅れてボディブローの様に効くものの、それさえ乗り越えてしまえば、所得税、住民税は非課税世帯で、納めるのは有価証券の譲渡所得だけ。

 国民年金も課税所得が一定以下なら、申請によって全額免除となり、それでも国庫金部分の半額は個人の持ち出しゼロで納付した扱いとなる。国民健康保険料がシビアで7割軽減が限度だが、ネットフリックスに毛が生えたレベルの保険料負担で、保険適用の医療が7割引になるのだから、割りの良いサブスクだと思えば良い。

 これまで日本は低所得者に優しい国だと、中途半端に所得があり、生かさず殺さず状態の社畜が熱弁しても、何の説得力もなかったが、これからは身を以て壮大なタダ乗りを行い、魂の自由を取り戻したいと思う。


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