見出し画像

キッカケを作ると、行動が変えられる。


他人とは違う考え方で、違う結果を出す。

 過日、ひょんなことからムビチケ鑑賞券を入手したため、映画館のある県庁所在地まで出向いた。日本FP協会の統計によると、日本人は平均して映画を年に1回程度しか観ないらしいが、私はその平均値を押し下げる側の人間だ。

 憶測の域を出ないが、年に何度も映画を観る少数派と、年に1回観るか観ないかの多数派をミックスすると統計上、平均して年に1回観る程度に均されるのだろう。しかし、以前にも記した通り、全てが平均的な人間など逆に居ないため、平均を基準にすると判断を誤る可能性が高い。

 さて、別に何を観ても良いムビチケを手にした私は、前日に上映中の作品リストを眺めて、何を観るかの意思決定を行う必要に迫られたが、恐らく判断基準がパンピーのそれとは異なる。

 まず、興味を引いた作品をいくつか候補に挙げるが、その中からテレビやサブスクなどの媒体で、待てば解禁されて後で観れる機会が有りそうな作品に関しては、待てばそのうち観れるだろうから、どれほどの話題性があっても除外する。

 つまり、どうせお金を掛けて映画館で観るならば、放映終了後に観たくなっても、お金が掛かる可能性が高い作品から優先して観た方が、費用対効果の面では理にかなっていると考える。

 そのため、ただでさえ出向くことのない映画館で、常連客に混ざりながら慣れない素振りでニッチな作品を鑑賞するという、端から見たら変わり者以外の何者でもない。

 しかし、そうした他人とは違った考え方が、投資の世界では重要なスキルだったりする。他人と同じことをしても、普遍的な結果しか得られない。

何事も疑念を持ち、自分軸で独自に判断。

 これは単なる逆張りとも違う。大波に乗っかるべき部分は、基本的に乗ってしまった方が楽なのは間違いない。それを理解した上で、天の邪鬼に逆張りするリスクと、得られるであろうリターンとを天秤に掛けて、他人と違う行動を取った方が期待値が高いと判断した場合だけ、実行に移す。

 ある種のセンスのようなもので、一朝一夕にして築ける類のものではないため、再現性がないと言われてしまえば、ぐうの音も出ない。

 とはいえ大事なのは、みんなの総意がいつも最適解であり、常に正しいと思わない疑念を常に持ち続け、総意が理にかなっていないと判断した際に、自分の軸で独自に判断する習慣である。

 集団心理というのは実に恐ろしいもので、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」が的を得ているが、集団では周囲と同じ状態が心地よく感じる「同調効果」が存在する。

 これにより元来、多種多様な考え方を持つ人間が集まっているにも関わらず、例え誤った意思決定でも、「みんなやってる」となると抵抗感が薄れて、結果として共犯してしまう。

 行動経済学の用語では「集団浅慮」と言われているが、企業のコンプラ違反のメカニズムがまさにこれで、特に日本は同調圧力が強い国民性だから、頭では理解していても、この波に飲み込まれずに我を通すのは想像以上に難しい。

新NISAのスタートダッシュには無頓着な理由。

 最近では、新NISAが目前に迫っていることから、某ネット証券で乗り換え手続きを急かすような表示や、クレカ積立の見直し期限を強調する表示が目立っている。

 おそらく、2024年の1月からヨーイドンで、新NISAでのクレカ積立を開始して、ポイントを得ながら資産形成したい層が、一気に押し寄せていることで、手続きが通常より時間を要しているのだろう。

 そんな中、私は証券会社の乗り換えをする気ではいるが、返送に必要な書類を取り寄せただけで、未だ返送していないため、勘定廃止通知書すら取得しておらず、端から1月のクレカ積立から始める気など微塵にもない。

 別に非課税枠の年間上限である360万円を、2024年内に埋めれば良いわけで、ポイントの有無と言っても、既に課税口座でクレカ積立を行っているわけだから、切り替えに時間を要したところで、課税区分の差異しかない。

 強いていえば課税口座から非課税口座に資金を移す際に、投信なら売却する隠れコストが、切り替えが遅れて積み立てた分の5〜10万円に対して、0.1%程度を乗じた50〜100円程度余分に取られるかも知れない程度で、そこまで焦る必要性を感じない。

 それに、これまでの旧NISA(一般)の感覚だと、非課税期間が最長5年間しかないため、1月から非課税枠が解放されると、早々に埋めたくなってしまう嫌いから、ご祝儀相場に一役買うことになっていた。

 しかし、新NISAは無期限で保有できるのだから、これまでと違い、12月のギリギリに買うと、実質4年間しか非課税枠の恩恵がない状態ではなくなる。2024年内に自分のペースで360万円を埋めれば良いわけで、そこに旧NISA同様、みんなで仲良くヨーイドンして買い入れる合理性はない。

 新年早々、NISAの枠が空いていると、これまでの経験から我先に埋める姿が安易に想像できるからこそ、金融機関変更手続きを敢えて遅らせ、周囲のほとぼりが冷めた頃合いで、新NISA口座が開設される作戦で1月は静観することに決めた。

 このキッカケが吉と出るか、凶と出るかの答え合わせは、来年になるが、こうした些細なキッカケがあることで、自分の行動が変えられることを知っているだけでも、他人と異なる結果を出すのに役立つ局面が、どこかであるかも知れない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?