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目的設定の重要性。

スニーカー買い替えたいの巻。

 私は以前に記したように、足のサイズが23cmとメンズでは外れ値で、一般に広く流通している靴の場合、24cmからとは長さが合わず、レディースの同サイズは幅が合わないと、選択肢が著しく限定される結果、スニーカーの買い替えには毎回頭を悩ませている。

 なぜスニーカー限定なのかと言えば、革靴はDr.Martens 1461と高価ではあるものの、品質が高く長期に渡って使用可能なロングセラー製品と巡り合い、自身の定番アイテムとなっているため、迷う必要がなくなったためである。

 しかし、私用でラフに使いたいスニーカーに関しては、未だにロングセラー製品の中から納得のいくモノが見つかっておらず、買い替えの度にメーカーの直営店(量販店では殆ど扱われないサイズのため)を巡っては、ためし履きを何度も行い、覚悟を決めたら廃盤になっても暫く大丈夫なように、必ず同じモノを複数購入して、買い替えの頻度を極限まで少なくしている。

 前回購入したのはNewBalance CM997Hの男女兼用モデルと、上位モデルのアジア版なだけあって、一足1万円程と決して安くはない。それを2019年に二足購入し、交互に運用して今年で4年目に突入するが、スニーカーの宿命で、雨の日に履くのを躊躇う程度に浸水が酷くなってきた。

 見た目が見窄らしいほど劣化している訳ではないため、メーカーでオールソールを行えれば、もう3〜4年履けそうとも考えたが、ニューバランスはMade in USAの上位モデルしかオールソール交換を行っておらず、この考えは没になった。

 そんなこんなで、そろそろ買い替えなければと思い始めたタイミングで、高嶺の花で定価では手が出しにくく、かつメーカーのオールソールに対応しているM996の24cm以下が、レッド限定ではあるが、直販の割引セールで3割引で売られており、直営店に近くまで外出する際に、M996の試し履きをする気で、サイズが合えば購入する気満々でいた。

本質を見失うと真の目的とズレる。

 しかし、自分ルールで購入の決め手を一言で表現する時に、ソール交換が出来るスニーカーの結論に至り、ソール交換のオプションを目的に買い替えたい訳ではないと、一瞬で我に返った。

 真の目的は、雨の日に浸水して履けないスニーカーをどうにかしたいのであって、ソール交換はひとつの手段に過ぎないからだ。本音を突き詰めると、長期に渡って、雨の日に浸水せずに履けるスニーカーが、真に欲している代物と言える。

 つまり、ソール交換可能なスニーカーよりも、ゴアテックス素材などで作られたスニーカーで、自分の足に合うものを探したほうが、自身の根底にある不満が解消できる可能性が高く、不用意に物欲を煽られたことから目的設定とのズレが生じたのである。

 この裏側には、スニーカーは1〜2年で浸水するのは仕方がないという、これまでの経験に基づいた先入観や固定観念と、頻繁に買い換えが出来ない自身の環境要因から、雨の日に浸水しない状態で長期間履くには、メーカーにオールソールして貰うのが良いと思い込んだことに起因する。

 そのため、ソール交換に対応しているスニーカーを探していた訳だが、そもそも浸水しにくいスニーカーを選べば、ソール交換をせずとも雨の日に履けるのではないかとの結論に至ったのだ。

日常でやりがち。

 上記のように、根底にある目的に気づかず、いつの間にかズレた発想で物事を考え、実行しては根本が解決しない事態は往々にしてある。

 例えば、投資を行う目的は「お金を増やすこと」と設定している方は多いが、お金を増やすことが目的であれば、投資や資産運用は数ある手段のうちのひとつに過ぎない。

 そもそも、なぜお金を増やす必要があるのか。根底には老後資金や、子供の教育資金に備えたいなど、個々人の事情があるはずで、漠然とお金を増やしたい訳ではない筈である。

 仮に老後資金に備えて不安を軽減することが真の目的であれば、自身の老後生活費が年間いくら必要なのか。年金収入がいくらになる見込みなのか。その差額と受給開始から平均寿命(若しくは長生きする前提で100歳など)までの年数を乗じた際に、合計でいくら不足するのかを知ることで、もしかしたら年金だけで暮らせることが判明し、不安を軽減する目的そのものが達成できて、無理に投資する必要はないと言う結論に至るかも知れない。

 不足する金額や、自身の資産状況を洗い出せれば、資産運用以外にも、リバースモーゲージや保険で十分備えられるかも知れない。それが分かれば、人によっては、わざわざ経験のない資産運用を、退職金を原資にリスクを取ってまで運用する意味がないことに気付き、暴落時に狼狽売りしてなけなしの退職金を半減させる事態を避けられることだろう。

 なにかの衝動に駆られた時に、根底にある真の目的を自分の頭で考えて、それを理解することで、行動に移す前に、そもそもの目的とズレていないか確かめることで、無駄なことを行わずに済む。

 その意味で、目的設定は非常に重要だと痛感させられたスニーカーの買い替えであった。みなさまも何気なく惰性で過ごしている日常を考え直すことで、新しい発見や、これまでとは異なる尺度で物事を見ることが出来るかも知れない。


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