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LCCの手荷物で課金しないための荷造り。


アイディアは制約から生まれる。

 貧乏旅行の強い味方と言えるLCCだが、手荷物で課金しない場合の合計7kg制限は思いのほかネックとなる。意識高い系ミニマリストでもない限り、手ぶらで旅行したり、あらゆるアイテムのグラム数を正確に把握することはない。

 パンピーの肌感覚としては、2Lペットボトル3.5本分、あるいは5kg+2kgの米を持ち歩いたりしないだろうと思いがちだが、人間の感覚と言うのは非常にいい加減なもので、旅行の荷物であれもこれもと思いながらパッキングすると、あっという間に7kgの制限を超過し、割高な超過料金を支払うか、その場で断捨離するかの究極の選択を迫られる。

 場所にもよるが、チェックイン時や搭乗時に重量を測られ、超過して呆然と立ち尽くすのは、待っている人たちからの早くしろよ的な圧力すら感じるかも取れない。もっとも、当事者はそれどころではないだろうが…

 そんな経験とは無縁な旅行好きが、手荷物制限で厳しいことで有名なジェットスターで、何度もセールを活用して、最安値で移動する過程で得た知見をここに記す。

 総論としては、これらの知見、つまりアイディアは7kgという制約による産物に他ならず、これがなければパンピーとして、登山家にはお馴染みのウルトラライト・パッキングの概念を知ることはなかったかも知れない。

まずは目的を明確にする。

 いきなりパッキングの術ではなく、抽象的概念を記すのは、あれもこれもと思い始めるとキリがないからで、旅行の目的は何か?という命題が明確であれば、何を持っていくべきかもハッキリして、取捨選択に迷わなくなる。

 私の場合、写真を撮ることが目的なら、1kg超の一眼レフカメラを軸にする。帰省であれば、道中に暇を潰せるものが軸になるし、(通信制)大学の面接授業を受けに行くとか、仕事で利用するならラップトップPCとその周辺機器が軸になるだろう。

 つまり、旅行雑誌には定番の持ち物リストやチェックリストがあり、多くはそれを常識と思い込み、アンカリングとして機能して、考え方が引っ張られてしまうが、そもそも価値観は人それぞれあるのだから、コレとコレがあれば良いなんて画一的なものにはならず、人の数だけパッキングの手法が異なるという身も蓋もない結論に終始する。

 とはいえ、究極の選択を迫られた際の考え方そのものは、何かの役に立つ可能性があるため、しばしば抽象的な概念が出てくることを承知の上で読んでいただきたい。

財布は持たないか、携帯可能なもの。

 私はそもそもキャッシュレス派のため、普段から現金をあまり持ち合わせていないが、現金主義の方は長財布が重宝するだろう。しかし長財布はポケットに入り切らないが故に、スリが標的にし易く旅行には不向きなうえ、しっかりした作りのものほど重く、200g前後ある場合も少なくない。

 7kg中の200gは2.86%と、そこそこな割合となる割に現金が管理、収容し易い以外のメリットがない。しかも、リミットを超えるか超えないかのギリギリのところで、小さいお土産を買えるマージンは大きい。200gは12枚入りの白い恋人に匹敵する。それが買えるかも知れないマージンを捨ててまで、長財布に拘る理由は果たしてあるのだろうか?

 妥協案として、ポケットに収容可能な 二つ折りなどのコンパクトな代物であれば、肌身離さず持ち歩くことから、空港での重量チェック時に自然に手荷物から除外されるメリットがある。

 裏を返すと、ポケットに収容する前提のキーケース、スマホ、財布などは、どれだけ重くても常識の範囲内でポケットに収まっていれば、手荷物の重量としてカウントされない。そのため、小型スマホ+タブレットの携行よりも、iPhone Pro Maxのような大型スマホ1台を携帯していた方が、タブレットの300g〜を抑えられる。

 どうしてもラップトップでなければならない状況が、予め想定されない場合もまた、スマホ+小型キーボードをポケットに収容することで手荷物の重さとして計測されないメリットを活かすことが可能である。

衣類は最小限に。

 私はアパレルに疎いが、コットンTシャツの平均重量は半袖は155g、長袖は175gらしい。洗い替えとして下着や靴下まで含めると、1泊分につき250g程度増加することを想定すると、3セットでパッキング重量の1割超を占めることになり、案外バカにならない。

 そのため、LCCの超過料金を支払うくらいなら、現地でコインランドリーの活用や、帰路の重量制限に注意する前提で現地調達。もしくは、パッキングの記事でこれを記すのは本末転倒感があるが、1週間〜規模の比較的長期滞在であれば、いっそのこと旅先の宿に送ってしまうのもひとつの手だろう。

 もちろん、手荷物の重量チェックの際には、上着類は可能な限り着込んで、手荷物から除外することを意識すると良い。ランニング向けに開発されたSPIBELT(トップ画像の赤い物体)は、重めのものを退避させるのに有効な場合がある。

 北国の必需品である冬靴も案外重いため、重量チェックまでは冬靴を履き、チェックが済んでから歩きやすいスニーカーに履き替えるのもひとつの手だが、北国に向かう際の空港で変な人だと思われても責任は取れない。

入れ物が重厚だと、それがネックとなる。

 トップ画像ではカメラやラップトップという、精密機器を持ち運ぶ前提の旅程でパッキングしたため、単体で975gにもなる重厚なボックスパックを利用している。

 しかし、入れ物が重厚だと、肝心の入れる物に重量を割けなくなるため、バックパックなどの入れ物はペラいくらいがちょうどいいのが持論だ。

 トップ画像右手に折りたたんでいる状態だと、ポケットサイズになるリュックを備えているが、宿にチェックインした後に、ボックスパックを置き、ポケットデイパックで身軽に観光したり、バックパックに重量を割きたくない時は、単品でたった80gのポケットデイパックだけの時もある。

活用できるものがあれば、潔く省く。

 トップ画像を見ていただくと、私の常識はずれも甚だしい、恐ろしく参考にならない偏ったパッキングを晒している。

 手前から着替え、カメラ、ポケットデイパック、南京錠、携帯浄水器、ラップトップ、漢方胃腸薬、ボックスパックと並んでおり、これに写っていないACアダプタと本2冊を加えて5.6kgだった。家の鍵、財布、スマホはポケットに入れるため、手荷物の重量としてカウントされない。

 LCC利用とはいえ、慣れている場所に移動するだけということもあり、折り畳み傘は晴れ予報を信じて、運悪く雨が降ったら現地調達すると割り切って省いた。空港のカードラウンジを活用する前提で、モバイルバッテリーとペットボトル飲料も省き、この3点がないだけで、〜1kg程度の軽量化に寄与している。

 有事の際に現地調達が必要になる可能性は生じるものの、その保険を掛けたがために、7kgまでのマージンが400gとなり、何かの拍子に数千円の釣果料金を取られる可能性を考えれば、省けるものは省くのが鉄則である。


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