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株主優待がひとつだけ届かない...


株主番号は控えておいた方が良さげ。

 7月某日、来年で廃止となるオリックスのカタログ優待で指定したものが届いた。一応、高配当株がメインでありながらも、少額投資家ほど有利な観点から、優待投資もかじっている端くれとして、保有銘柄の優待を受け取り済みかを記録するチェックボックスを、スプレッドシートで用意している。

 3月権利分の優待は一通り揃ったと思いきや、ある銘柄だけまで届いていない。自社商品が贈呈されるらしいが、既に7月も終わりを迎えつつある。

 いくらなんでも遅いのではないかと思うものの、先日の大雨の影響で物流網が滞っていることから、Twitterで最近の着弾報告があり、配送ミスで届かない場合に、いつ問い合わせるべきなのか、時期的な感覚が掴めずにいる。

 そもそも個人的な都合で新年度に地方移住したため、3月が権利月の銘柄は、株主名簿の住所変更が追い付いていないため、郵便の転送手続きが必須である。

 クロネコパンチでお馴染みの戦艦運輸でも、転送サービスが廃止される前に、滑り込みで手続きが間に合ったことから、郵便とヤマトであれば転送されるため、基本的には支障がない。

 とはいえ、当たり前のように転送されるものだから、別の会社で発送となった場合に、住所が異なるため配送不能となる。

 6月の郵便爆弾で超人的なスピードで株主関係書類を処理しなければならなかったことから、どの銘柄は住所変更が反映されていて、どの銘柄がされていないのかの辺りまで把握する余力はない。

 紙媒体を溜め込みたくない性分から、議決権さえ行使してしまえば、基本的にシュレッダー処分してしまうため、まさか優待が届くが配送遅延しているだけなのか。そもそも住所が古くて届かないのかでヤキモキする羽目になるとは想像もしなかった。

 問い合わせしようにも、郵便物をシュレッダーで処分してしまったものだから株主番号すら分からず、問い合わせフォームで不審者感丸出しとなるため、いつまでも先送りするオチが容易に想像付く。

基本は信託銀行。事務局があればそこで。

 一応、優待投資家界隈で届かない系の記事が一定数あることから、確率は低いものの想定し得る事態と言える。私も過去にあれれ?と思う事態が生じて問い合わせた経験がある。

 基本的には保有銘柄のFAQなどを参照して、優待事務局的なものを設けている企業であれば、手続きがそこで完結することもあるが、基本的には株主名簿を管理している信託銀行のお世話になるものと思われる。

 断定できないのは、私は信託銀行に問い合わせたケースがなく、これまで2回ほど問い合わせをしているものの、いずれも優待事務局的な窓口で済んでしまったため、基本のキを経験したことがなく、勝手が分からない。

 そして今回もお問い合わせフォームに、株主優待に関する項目があったことから、ダメ元で問い合わせして返事を待つことにした。

どこを向いて経営するか。

 問い合わせから1時間もしないうちに、フォームに入力したメールアドレス宛に、新しい住所宛で発送する旨の連絡が来た。恐ろしくはやい手続き、俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 株主優待は権利と言えば権利だから、受け取れて当然とも考えられるが、優待廃止の潮流があるように、企業側のコストはバカにならない

 そもそも日本独自の株主優待システムの起源は鉄道会社が切符を配ったことにあり、鉄道や娯楽施設のように、余剰で遊ばせる位なら株主に使わせるのは理に適っており、わざわざQUOカードを買い付けたり、自社商品を箱に詰めて贈るのとは訳が違う。だからこそ、古い住所宛に宅配業者を使ってしまったことへの罪悪感もゼロではない。

 転居によって権利付き確定日時点と、株主優待の発送先の住所が違うことは事前に分かっているのだから、本来は株主側の落ち度で受け取れなくても文句は言えないが、それでもステークホルダー至上主義の影響か、個人投資家を無碍にはできず、少なくとも表面上は快く再発送の手配を取ると回答していただいた。

 とはいえ、株主至上主義バンザイと言うつもりはなく、私がダメ元で問い合わせて得をした結果、誰かが割を食っていると捉えるべきで、それが再発送の手配を行う従業員であり、間接的に他の株主もそのコストを薄く広く負担している節がある。

 顧客至上主義も同様だが、企業を永続事業体として運営したいのであれば、株主や顧客の方向ばかりを見て舵取りするのではなく、従業員にも適切な還元を行わなければ、今は良くても長期目線で持続可能性を狭めていることも考えられる。従業員が疲弊してしまえば元も子もない。

 私がかつて鉄道会社に身を置いていた影響かも知れないが、その決定、変更は誰のため?の視点が不足している組織は、日本人の会社に対するエンゲージメントの低さから決して少なくないだろう。政治にも同じことが言えるが、身内の権力闘争や、利権の分配を基準に最適化した結果、大衆が置き去りにされる決定が往々にしてある。

 現役世代が置き去りな異次元の少子化対策の負担をする国民や、ブラックワンマン企業の従業員は、自分たちの方向に意識が向いていないことに気付いても身動きがほぼ取れないが、株主は銘柄の入れ替えで自由に動ける。だからこそ、誰の方を向いた経営をしているかは注目すべき事項ではないだろうか。


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