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ひとり経営企画室の調査の基本(2)
インタビューの長所・短所
情報を自分で創造することもできます。方法としては、インタビューやアンケート、実験・観察が挙げられますね。
特にインタビューは非常に強力なツールだと言えます。
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インタビューで仮説を作り、アンケートで定量化するのが一般的である。
インタビューの長所は、以下のものです。
インタビュー相手の視点で、現状を詳細に知ることができる
事前準備で漏れていた点や勘違いしていた点を修正できる
重要なポイントに対して、その場で深掘りして聞くことができる
より詳しい人を紹介してもらうことができる
最初の「インタビュー相手の視点で」というのは、大事なポイントで、聞く相手によって「視点が異なる」ということに気をつける必要があります。そして、自分が欲しい情報は、誰からの視点なのかを意識し、その視点を持つ人にインタビューに行く必要があります。
例えば、ある商品について、小売り側の視点で情報を得たいのか、あるいは、卸側の視点で情報を得たいのか、といったことあります。卸側の視点で情報を得たいにも関わらず、商店主にインタビューしては欲しい情報は得られませんよね。
逆にインタビューの短所は、以下のものです。
インタビューのアポイントをとることが難しい
1件のインタビューのコストが高い
多くのインタビューができない場合、少数の意見に影響を受けやすい
件数が少ないと定量化できない
聞きたい相手が身のまわりにたくさんいるのであればよいのですが、そうではないことも多いと思います。そのような場合にインタビュー相手を探すことは大変です。また、相手が忙しければ、アポイントがずいぶん先になることもありますね。このように、コストとは費用というよりも、必要になる時間という意味合いが強いです。
このような状況では、たくさんのインタビューを集められないのが一番大きな短所になります。
この短所を補完できるのがアンケートになります。アンケートの場合も、依頼先が自分の知り合いだけだと数が足りませんが、調査会社に依頼すれば、かなりの範囲をカバーすることができます。もちろん、費用はかかりますが、他の調査よりは安価だと思います。
インタビューで仮説をつくり、アンケートの質問票を作る。そして、アンケートで数を集めて、定量化する。このような流れで進めるのが一般的ですね。
インタビューの流れ
インタビューの具体的な流れを説明します。インタビューは、設計、依頼、実施、お礼と関係性維持の4つの段階に分かれます。
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終了後も相手と関係性を維持することも大事である。
インタビューそのものも大事ですが、インタビュー前の設計(準備)も同じくらい大事です。設計では、調査目的に合った質問を洗い出します。次にそれを答えやすいもの、あるいは、全体像から詳細へと並べていきます。
必ず聞きたい質問と、余裕があれば聞く質問といったように質問に優先順位もつけておくとよいと思いますね。インタビュー時間は、だいたい1時間くらいなので、それに合った質問の量を準備します。
次にインタビューを依頼します。調査目的に最適な人を考え、依頼することが大事です。なかなか難しいとは思いますが、立場の違う様々な人にインタビューできるとよいと思います。
次がインタビューの実施です。私が大事にしているのが、抽象的な回答の場合は具体例を聞くことです。深掘りができることがインタビューの長所なので、なるべくそれを活かしたほうがよいと思います。
私はインタビューを1時間で設定していますが、時間をオーバーすることが多かったですね。インタビュー相手にとっても大事なテーマをお聞きするので、やはり熱が入ります。また、豊富な知識や経験が背景にあるので、語っていただくことが尽きない、という感じでした。
最後は、お礼を伝えて、関係性を維持することです。可能であれば、次のインタビュー相手を紹介してもらったり、調査が進んでから別の質問をメールや電話でお聞きしたりすることもありました。
私がインタビューした方々には、本当に快く対応していただけたので、心から感謝しております。
社内ヒアリング
情報収集における大事な手法のひとつにヒアリングがあります。
調査会社を使えば、聞きたい人をピンポイントで探し出してくれますが、やや費用がかかるのが難点です。できれば、身近な人で費用を安く抑えたいケースが多いと思います。
BtoCの製品やサービスであれば、社内にユーザーがいるケースも多いのではないでしょうか。
例えば、新商品で高機能トースターを企画した場合、社内に競合のトースターを使っている人がいるかもしれません。そういった場合は、社内にヒアリングの件を広く知らせ、積極的に対象者を探して、ヒアリングをするとよいでしょう。
ただし、あくまでユーザーの立場としてお話を伺う、ということが大切です。
人によっては、企画自体にいろいろ意見を言ってくることがあります。もちろん、しっかりとした根拠があり、納得できる意見であれば耳を傾ける必要はあります。
しかし、その人の立場によっては、大きな理由もなく企画を否定してくることがあります。例えば、新規事業には反対の立場である、といった場合です。
そういった意見は、ひとつのヒアリングの結果ではありますが、取り扱いには十分注意したほうがよいと思います。
アンケートのコツ
インタビューは重要なポイントをその場で深掘りできるのが長所でした。しかし、数をこなすのが難しいので、定量化できないのが欠点でしたね。その欠点を補うのがアンケートになります。
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そのために必要な質問を、適切な方法で、適切な相手に対して行う。
アンケート相手が身近にたくさんいるのであれば別ですが、そうではない場合は、一般的には調査会社を使うことになるかもしれません。そのような理由もあって、私はインタビューほどにはアンケートを実施してきませんでした。
アンケートのコツは、相手、方法、質問項目、全体設計の4つに分かれます。相手は、インタビューと同じで、調査目的に対して最適な相手を選ぶことです。自分で数を集められない場合は、費用は少しかかりますが、調査会社に依頼して集めてもらうことになると思います。
方法ですが、最近はネット調査が基本だと思います。電話や郵送も条件によっては「あり」かもしれません。
調査項目は、インタビューで作った仮説を証明するような質問項目をモレなく、ダブリなく準備することです。また、回答者を年齢や性別等のセグメントで分けるのであれば、そのような質問項目をあらかじめていれておく必要がありますね。
全体設計は、相手が答えやすい設計を目指す、というものです。記入式よりもなるべく選択式、質問数は負担にならない程度に、です。
アンケートを配布してから回答が集まるまで、短い期間なのに長く感じたことを思い出します。
情報収集の流れ
ここまで情報収集を行うために必要となる情報源やインタビュー、アンケートについて触れてきました。それでは、これらを使ってどのような流れで情報収集するのか、具体例もあわせてみていきたいと思います。
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新たな情報が出て来たら全体像と詳細の調査を行き来する。
情報収集の流れですが、大きくつかんでから詳細にいくのが原則です。まずは全体像を理解するところから始めます。そして、その次に詳細を調べていきます。詳細を調べていくうちに、全体像に対して新たなことがわかったら一旦、全体像に戻り、また詳細を調べる、という流れになります。全体像と詳細を行ったり来たりしながら、調査した範囲を広げていくイメージですね。
具体的に見ていきます。例えば、上司から水素を運ぶ方法を調べてほしい、と言われたとします。詳しく聞くと、貯蔵方法の長所や短所をまとめた表を作ればよさそうです。
まずは全体像をつかみます。基礎的な資料をネットや書籍で調べます。すると、水素を圧縮する方法、液化する方法、有機ハイドライドを使う方法がまず出てきました。
次に、ここまで出てきた各貯蔵方法について長所や短所を調べていきます。詳しく書かれた論文やレポートを読んでいくと、他にも水素吸蔵合金やアンモニアを使う方法がでてきました。そして、これらの方法に対して、体積や質量当たりの水素貯蔵密度が用いられていました。評価指標のひとつのようです。
そこで全体像に戻り、貯蔵方法のリストに水素吸蔵合金とアンモニアを追加します。そして、長所や短所といった評価指標として体積や質量当たりの水素貯蔵密度も追加します。圧縮や液化、有機ハイドライドの場合の水素貯蔵密度も調べていきます。そして、ひとつの表にまとめて報告書を作成します。
簡単な例ですが、このような表ができればよいのではないでしょうか。
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という大きく3つの方法がある。いずれも長所短所があり、改良が続いている。
次は、集めた情報をこのようなスライドにまとめていく手順をお伝えします。
分析・整理の基本
これからしばらくは、集めた情報をどのように分析・整理していくか、について書いていくことにします。
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全体像と詳細を行き来する。情報収集と同じである
基本は、情報収集と同じように「全体から詳細へ、詳細から全体へ」の行き来になります。
言い換えると、分けて見ていくことで、どこに原因や違いがあるのか、を見つけていく。そして、詳細に分けて見たうえで、まとめるとどのようなことが言えるのか、を考えていくことになります。
情報収集と並行して、情報の分析・整理が行われることもありますね。
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分ける方法は、3つ、2x2、ツリー構造、プロセス、時系列に分けるのが代表的。
分析の基本は、分けることと、比較し、同じ点や異なる点を探し出すこと、です。分ける方法の代表例としては、次のものが挙げられます。
3つに分ける
2x2に分ける
ツリー構造に分ける
プロセス順に分ける
時系列に分ける
次回に出てくるフレームワークも分けるツールとして使えますね。比較することも分析の基本で、同じ点や異なる点を探し出すことが大事です。
例えば、今年のA事業部の売上が10億円という情報があったとします。これだけでは10億円の意味合いがわかりにくいですよね。そこで何かと比較をするとわかりやすくなります。
他のB事業部は5億円、C事業部が1億円であれば、A事業部は「稼ぎ頭」と言えるかもしれません。
また、一昨年40億円、昨年20億円であれば、「売上が毎年、半減している」と言えるでしょう。10億円という数字がより具体的になるのではないでしょうか。
このように分析や整理の基本は、分けること、比較して、同じ点や異なる点を探し出すことになります。
フレームワーク
ビジネス向けの分け方・まとめ方でよく使われるのが、フレームワークです。
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ビジネスでは、3C(Customer, Competitor, Company)が有名である。
フレームワークを使うことで、全体から詳細に分けて考えることができます。また反対に、詳細の情報をまとめてみると全体では何が言えるのか?を
考えることもできます。使い慣れると非常に便利なツールですね。
ビジネスで有名なものは、やはり3Cでしょう。
Customer
Competitor
Company
顧客、競合、自社の視点でビジネス環境を見ましょう、というものです。目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
たまにフレームワークをチェックリストのように使っている人がいます。ビジネスプランの説明のときに「顧客OK」「競合OK」「自社OK」と言っていた人を目にしたことがあります。
フレームワークはそのようなチェックリストではなく、情報を整理する視点だと私は考えます。
視点なので、変化することもあります。例えば、規制が厳しい産業であれば、Regulationをいれて3C+Rというフレームワークにすることもあるでしょう。
また、販売チャネルが重要な業界であれば、Channelを入れて4C(Customer、Competitor、Channel、Company)としてもよいでしょう。
このように自社のビジネスの重要性によってフレームワークも使い分けることが大事だと思います。
最後にフレームワーク活用の一例をご紹介しておきます。
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当社の独自技術を活かし、〇〇事業への参入すべきである。
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