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シャイボーイと光る円盤

 数年前のある休日、やる事も遊ぶ相手もいない私はブックオフの店内をふらふらと徘徊していた。

 お目当てはCDコーナーにある[500円以下]の棚だ。ここは少し前の名盤だったり、マイナー寄りのアーティストのアルバムが300円くらいで手に入る宝の山なのだ。当時はサブスクもまだ黎明期で存在を知らなかったため、暇な時はひとりでこのコーナーをうろついていた。

 いつも通りアーティスト名やジャケットからの直感を頼りに面白そうなCDを探していたら、一際目立つCDが目に入った。暗めの色調のCDケースに囲まれて一際目立つ銀と橙のジャケット。太陽かな?オレンジかな?ポップな色使いの写真に惹かれてケースを手に取った。



 ……

 えっ?……コレって、、、

 アレだよね?男と女がああしてこうする時に着けるアレだよね?

 実物を見たことすらないウブなチェリーは焦った。誰も見てないのになんかめっちゃ恥ずかしい、気が動転している。性的なイメージの写真を人前で持ってる状況に思わず赤面した(と思う)。

 気になる、どんな音楽か凄く気になる!!

 でもコレをレジに持っていく勇気が出なかった。バイトのお姉さんに差し出せるわけがない。手が震えて笑われそうだ、引かれそうだ。

 泣く泣く棚に戻し、店を後にする。でも曲は気になったので曲名は覚えた。タイトルはオリオンでなんか長いアーティスト名だったな。

 家に帰って検索したら、あった

 “hare-brained unity”という日本のロックバンドの『ORION』という曲のようだ。ニコニコに無断アップロードされている音源だったが構わず再生。

誰もが誰かのために 今を生きているから
明日への思い胸に 少しずつ歩いていけばいい
『ORION』作詞:布谷吉崇

 ジャケットに反してめっちゃ爽やかだなあ!

 どうやらこのバンドのメジャーデビューシングルのようで、リリース当初はビートたけしのバラエティ番組であるアンビリーバボーに使われていたらしい。知らなかったよ。

 四つ打ちのダンスビートにテレレレレレッと印象的なギターリフが繰り返されるこの曲。初めて聴いた時から頭に刷り込まれてしまった。あくまで主役が歌であることが多い日本のバンドではなかなか無い作風だよね。

 他の曲も聴いてみたが、こちらも四つ打ちビートにポップな歌が乗った聴きやすくノリやすい曲調だ。

 もう解散してしまっているようなので応援することはできないが、その後すぐにCDは全て集めた。

 ということで以上、ちょっと恥ずかしい思い出語りでした。

おしまい

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