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年功序列の闇と影

 得意先にガチで嫌われている人がいる。

 「あの人はやること成すことめちゃくちゃだから信用できない」と、我々外部の人間はおろか、社内でもまともに相手にされていないらしい。

 だけどその人の肩書は、相当なエリートだ。この地域でも有数の大企業の1番デカい拠点のナンバー2-3に相当する。

 私はその人と初めて会った時かなり緊張した。名刺の役職がとても偉い〇〇長だし、何より顔が、風貌が、立ち振る舞いがとても知的そうでエリートっぽかったからだ。この記事では仮に”坂田さん”と呼ぶことにしよう。”ナントカの坂田”ってレジェンドがいるし。

 私はその会社と関わって間もないのでその評判をよく知らなかった。先日たまたまその坂田さんが商品の発注をうっかりミスしてしまった件(その時点で疑おうぜ)について、私がなんとか走ってカバーしようとした時、周りの人から「坂田さんの頼みなんかいちいち聞いてるとキリがねえよ、自社の事務員にも相手にされてないレベルだから」と言われたことで気がついた。

 あぁ、そうだったのか。坂田さんの依頼だけ毎回妙に納期が切羽詰まっているし、予算がギリギリなのは、エリートだから過酷な、難易度の高い物件を担当しているからだと思っていた。まさかめちゃめちゃな人がむちゃくちゃなことをしてるだけとは思わなかったよ。

 印象って怖いものだ。その話を聞く直前まで「偉い人の依頼だからなんとかしなくちゃ😭」なんてオロオロしていたくせに、なんだか急に上から目線になってしまう。ちょっとニヤニヤしながら「しょうがねぇなぁ、ちょいと助けてやるか」って具合に。こっちは本来相手にもならないクソみたいな平社員なのにね。

 この人がこんなに上の役職についているのは、年功序列、というか社歴が長いからだろう。入れ替わりの激しい業界で、貴重な生え抜きエリートサイヤ人だから自動的に出世の階段を上っていったのだろう。大企業あるあるだね。

 この1連の流れを経て思う、”あんな風になりたくない”と。ただし、消極的な意味でね。

 私はかなりアホだ。やること成すことに凡ミスのリスクが付き纏う、相当やばいポンコツだ。私がアメコミのヒーローになったら「Mr.ヒューマンエラー」として市民を守る予定だ。そしてうっかりミスで退場する。

 そして私は、頭が良さそうな風貌をしている。知り合う大体の人に言われるから多分そうなんだろう。そして声質が渋くてかっこいいとよく褒められる。これもほとんどの人に言われるからおそらくそう見られている。

 だけど前述の通り中身がアホだ。ギャップで必要以上に落胆される、バカ扱いされる。頼まれた事はすぐ忘れるし、ほぼ全ての行動が行き当たりばったりなのに、2択の選択支を外しまくるヤベェ奴でもある。今は若手が人手不足だからのうのうと生きていられるが、時代が時代なら、町中の自動販売機を巡回し、お釣りの取り忘れを漁る、”コバンザメ”ならぬ”コゼニザメ”と化していてもおかしくない人材だ。自分で回遊するだけコバンよりはマシか。

 正直言ってかなりピンチだ。今年に入って同期や後輩がどんどん脱落していく。”メンタルの不調”だの”本当にやりたいことが見つかった”だのよくある理由で。このレースで勝つ気なんかないのに、周りのカートが勝手にコースアウトしていく。いつ使えばいいんだよこの赤こうら💢

 まずい、私も早く崖から飛び降りないと!!このままでは何の能力もないのに偉くなってしまう、消去法で。不戦勝が1番惨めだ。

 行くな!!私を置いて行くなアアアア!!

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