3年で契約台数30件→1,500件の50倍に成長。おそうじレンタルの挫折と飛躍
おそうじレンタルの軌跡を振り返る
こんにちは。リ・プロダクツ株式会社の小山です。
当社リ・プロダクツでは5年ほど前より、「おそうじレンタル」という事業を展開しています。
ロボット掃除機に留まらず、電動モップやロボット芝刈り機まで、実に幅広くラインナップ。導入~稼働定着、アフターフォローまで、手厚くサポートさせていただいています。
大変有難いことに、現在毎月1,500台以上が継続的に稼働していて、新規のご成約数も右肩上がりに推移しています。
私が入社したのは2023年の6月で、その頃には既に業績も右肩上がりだったらしいのですが、1,500台に至るまでの道のりは、どうやら平坦ではなかったようです。
今回は、入社1年目の小山が、おそうじレンタルの当時を知る方々にインタビューしてきた内容をまとめました。
リ・プロダクツについて&おそうじレンタル発端の背景
本題に入る前に、当社リ・プロダクツについて、簡単に説明します。
リ・プロダクツの業種を一言で表すと、「清掃」です。
一般的な「清掃業者」のイメージというと、店舗やオフィス、ビルへの清掃スタッフ派遣を思い浮かべるのではないでしょうか(私もそうでした)。ですが、当社はその限りではありません。
というのも、当社は元々清掃物品の販売からスタートしていて、今ではロボット掃除機、さらにはロボット芝刈り機までレンタルしている、清掃業界でも稀有な会社なのです。
現在、パート・アルバイト含め約650名の従業員を抱えていますが、平均年齢はなんと60.9歳(!)。最近の清掃業界は高齢化が著しく、変革を強く求められてきました。
「清掃もデジタル化の時代だ!」との流れで白羽の矢が立ったのが、ロボット掃除機だったというわけです。
最初はロボットがメインではなかった
時は2018年にまで遡ります。
おそうじレンタルのラインナップは今でこそロボット掃除機がメインですが、当初は、言葉は悪いですが、脇役的な存在でした。当初のメインは、「清掃用具」でした。
清掃用具を“キット”と称し、用途に応じて複数のキットを自由に選択できる仕組みを採用。選べるキット数に応じて、3種類の価格帯でレンタルを開始しました。「おそうじレンタル」の名称は、実はここから来てるんですね。
▼現在のラインナップ
▼2018年当初のラインナップ
がしかし、これが全く問い合わせが来ませんでした(サービス開始から実に半年間。辛い…)。
売り出し価格1万円以上の清掃用具レンタルは、お客様のニーズを的確に捉えていなかったのです。考えてみれば、大掃除でも掃除道具に1万円は使わないですよね…。
唯一あったお問い合わせが「清掃用具は不要なので、ロボットだけレンタルできないか」というもの。
この問い合わせをきっかけに、同年、おそうじレンタルはロボットのラインナップを増やす方向性に変わっていきます(ただし、お掃除ロボットの種類が追加されただけで、キットのシステムはしばらく続きます)。
ちなみに、画像をご覧いただくと分かりますが、この当時は自動窓拭きロボットなんてのもラインナップにありました。商品の選定に試行錯誤していたのが読み取れます。
▼2018年後期のラインナップ
清掃用具からロボット掃除機に
この当時のリ・プロダクツは、メーカーとの代理店契約も何も結んでおらず、ロボットは家電量販店からの調達。メーカー保証がなく、故障すれば自費で買い替えなければならないリスクと隣り合わせの、いわば綱渡り状態でした。ヒヤヒヤしますね…。
どうにか代理店契約を取り付けないと…と考えていた矢先、2019年、清掃ロボット「Whiz」のソフトバンクロボティクスが念願のパートナーに。勢いそのまま同年4月、東京ビッグサイトの展示会で一気に10件の商談を獲得しました。
おそうじレンタル飛躍の足掛かりに…!と意気込んだものの、その10件全てが失注に終わってしまいます。
ロボット掃除機は今でこそ高性能なものが増えてきていますが、当時のおそうじレンタルのラインナップはロボットの性能が実用に足りておらず、お試し期間で契約終了となることが多かったためです。
これには当時の担当者も、かなりの落胆ぶりだったそうです。
…一方で、希望も見えてきました。同年9月、エコバックス社から「DEEBOT OZMO 950」が発売。ロボットのセンサー面で大幅な改良が図られ、故障率が激減・性能も安定した、お掃除ロボット界の期待の新星です。
この機種の登場がきっかけで、おそうじレンタルは本格的にロボット主体のラインナップ展開に舵を取ることになります。
事業の方向性が見えてきた矢先…
昨年2019年よりおそうじレンタルの問い合わせは徐々に増えてきていて、2020年もコツコツと対応を続けていました。8月時点で計20台から30台ほどのご契約を頂いていました。
おそうじレンタルの方向性はこの時点で現在とほぼ近しく、ようやくコンセプトがまとまってきた矢先…。
そうです、コロナウイルスです。
当時は皆さんもコロナウイルスに大いに苦しめられたかと存じますが、清掃業界はどうだったのか。ここは少し特殊だったように思います。
コロナウイルスの流行によって衛生管理への意識が高まり、清掃への需要自体は伸びました。
が、一方で営業時間の短縮や出社率の減少により、建物自体が汚れなくなりました。清掃というのは優先順位として後回しにされがちですから、経費削減の対象にされることが多かったのだと思います。
営業自粛が解除されたことで業績は徐々に上向きに転じていきますが、2020年の新規契約台数は7台に留まることとなりました。現実は厳しい…。
進撃のおそうじレンタル
さて、この時点でのおそうじレンタルの契約数は30台程度。リ・プロダクツはこの状況から、如何にして現在の1,500台にまで実績を伸ばしていったのか?
当時は、コロナの影響で展示会ができず、新規のお客様の獲得機会が極めて限られていました。そもそも、当社はお世辞にも大きな会社とは言えず、人的リソースも限られています。対面での営業活動にも限界がありました。
この状況を打開するために、「非対面で」新規お問い合わせを獲得できる体制を確立することが急務でした。
このような流れを受けて、2021年、リ・プロダクツは本格的なWebマーケティングの着手を決意します。
①Webマーケティングの強化
▼おそうじレンタル・3か年ロードマップ
↑は、契約数が30台だった頃に策定されたロードマップです。1年で150台、2年で400台、3年で800台のご契約を目標に、Web施策を順次実施していきました。なかなか壮大な計画です…!
具体的にはまず、SEOによる検索流入対策を強化できるよう、CMSの導入に始まり、サイトの抜本的なリニューアルを行いました。また、来訪したお客様がお問い合わせしやすいよう導線設計も併せて工夫しています。
▼リニューアル後の「おそうじレンタル」サービスサイト(https://www.re-products.co.jp/pikapika_pro.html)
またサービスサイト内に、お客様がダウンロードできるお役立ち資料、いわゆるホワイトペーパーを多数設置。お客様の導入前の検討にご活用いただけるだけでなく、当社で営業資料としても活用しています。
▼お役立ち資料(https://www.re-products.co.jp/pikapika_pro/download.html)
企業公式SNSアカウントも開設しました。おそうじレンタルのマスコットキャラクター「ろぼあひる」の日常や、企業の活動などを発信しています。
▼企業公式X(https://twitter.com/pikapika_pro)
そのほか、先のロードマップにもあるように、3年の月日をかけ様々なアクションを検討・実行。おそうじレンタルの土台を作り上げました。私が当社のマーケティングに新規入社したのは2023年の6月あたりからで、それ以前はマーケティング担当1名が全てを立案・実行していました。凄い…。
②サポート
目標台数達成には、おそうじレンタルの「サポート」がお客様の要望に応えることができたのも大きく関係しています。
おそうじレンタルの独自性は「サポート」にあります。
ロボットをただレンタルするのでなく、最適な機材のご案内・導入時の面倒な初期設定・導入後の運用定着・アフターフォローなどが月額費用に含まれています。
例えば、お客様先の施設で「ロボットが上手く動かない」というお問い合わせがあれば、状況をヒアリングの上、対処法をお電話口やメールでサポートします。
ロボットの販売やレンタルのみのサービスは数多くありますが、清掃会社がそのノウハウをもってサポートまでするサービスは珍しい。その独自性がお客様のニーズを捉えたのでは、と当社は考えています。
おそうじレンタルのこれから
ロボット掃除機は日々、進化しています。また、多くのお客様とお話しする中で今まで見えていなかったニーズが見えてくることもあります。
5年前も今も変わらず、新製品が発表される度に製品を購入・検証。おそうじレンタルのラインナップをアップデートし続けています。
例えば、ロボット掃除機は、基本的に床の掃除機掛け・モップ掛け(一部製品)にのみ対応しており、蓄積した頑固な油汚れや靴跡の除去は、お客様が別途対応する必要がありました。
そういったニーズから、ケルヒャーの床洗浄機「BR 30/1 C Bp」をラインナップに追加。ゴミ回収と水拭きを同時にこなし、油汚れもゴシゴシいらずで落とすことができます。小山も実際に何度か使ってみましたが、みるみる汚れが落ちるのでめっちゃ気持ちいいです(笑)
▼床洗浄機 BR30/1 C Bp(https://www.re-products.co.jp/pikapika_pro/item_info/br-30-1-c-bp.html)
その他これまでにも、ロボット掃除機の遠隔操作のためのWi-Fiルーターや、ハンドクリーナのオプションなど、ロボット掃除機だけでなく、「ロボットと組み合わせて効果を発揮する商品」のラインナップも充実させています。
▼おそうじレンタルのレンタルオプション商品(https://www.re-products.co.jp/pikapika_pro/item_info/rental_option.html#01)
こうした試行錯誤が功を奏し、おそうじレンタルは2023年8月に累計台数1,000台を突破。現在は1,500台を超えるロボット掃除機が、日本のどこかで空間をキレイに保ってくれていることでしょう。
今後は、おそうじレンタルの最たる強みである「お客様サポート」を、より一層拡充させていく方向性です。これからも、おそうじレンタルというサービスの更なる飛躍に向け、これまで以上に研鑽を重ねていきます。