見出し画像

パターンナーさんの仕事と時間と収入のバランス

まずは久しぶりにブランドの進捗について。

先日、展示会3回分のデザインとパターンが完成しました。生地は1回目分はすでにあがっていて、今は2回目と3回目のサンプル反を作ってもらっている最中です。これは年内には上がる予定なので年明けから2回目と3回目の展示会分のサンプル作成に進むことができそうです。

予定より半年遅れの進行となっていますが、特に修正できないような遅れでは無いので概ね順調といった感じです。

しかし。

どうにも修正できない問題が出てきました。

それはお金の問題です。

もともと3回分の展示会の費用として確保していたお金があったんですが、これが急遽、家のリフォームの方で必要になり、立て替えて支払ってしまったので無くなってしまいました。

この立て替えたお金はリフォーム完了後、戻ってくるんですが、それは12月20日頃になりそうで、つまりはそれまでサンプル用の資材が手配できないって事です。

サンプル反はアップ予定が12月なので支払いは1月でいいので先に進行してもらうことができましたが、資材は基本、料金支払い後に発送してくれるCOD(キャッシュ・オン・デリバリー)です。なので手元に現金がないと発注ができません。

通常のB to B の仕事だと末締め翌末とかの支払いになりますが、僕は個人なのでまだ信用がありません。だからお金を払った後の手配になります。

それでも計画に支障は無いですが、なんかちょっと焦ってしまいます。

予定通りにはいかなくなってしまいましたが、作ってもらっている生地もパターンもどれもいい感じなので完成したサンプルを見る日を楽しみにしつつ、マイペースにやっていこうと思います。


パターンナーさんからの相談案件


先日、僕がデザインした服のパターンを作ってもらっているパタンナーさんと飲みに行きました。彼とは家が近いし(といっても車で10分ほどかかりますけど)打ち合わせする機会も多いので結構な頻度で顔を合わせています。
仕事の事、嫁や子供なんかの家族の事、最近の出来事なんかを話しをしながら飲んでいたんですが、その中でちょっと真剣な相談をされました。

それは『もうちょっと稼ぎたいけどなんかいい方法ないですか?』って内容です。

彼は子供が2人いて、上の子が幼稚園の年長さんです。これからお金が必要になってくるからもうちょっと収入を増やして蓄えを増やしときたいとの事でした。
僕には子供がいませんが、周りの友人からそんな話はいっぱい聞いてきたのでどういう状況なのかは察しがつきます。

相談者である彼という人間のことを考えずに言うとすれば『投資の勉強をする』とか『仕事量を増やす』とか『副業をやる』とか、色々と方法はあると思いますが、彼は本当にパターンの仕事を真剣にきっちりやっていて、『まぁこれでいいかー』ができない人です。しかも夜中の2時とかにパターンの納品メールが届く事もあるのでどれほどの量の仕事をこなしているかは想像できます。さらにめっちゃ子供の面倒を見たりしているんで今以上に時間をかけて稼ぐような方法は彼に対するアドバイスとしては不適切です。

じゃあ投資とかって話になるかも知れませんが、これもそもそも確実な方法では無いし、向き不向きがある。そして彼はおそらく不向きです。

そうするとやっぱりパターンの仕事を増やすとか、単価を上げるって方法が良さそうなんで、そう言う話をしてみました。でも話を聞いているとどうやら本当の問題は他にあるみたいでした。

それは『毎月の仕事量が安定しない』って事。



どちらかと言うと僕はこれが一番の問題だと思いました。

仕事量が安定しない  =  稼ぎが安定しない  =  もっと稼いどかないと不安 って公式です。

彼はフリーランスのパターンナーなので得意先から依頼が来たら仕事をこなして、その報酬を収入としています。

でもアパレル会社には毎月の販売計画に基づいた仕入れ型数が決まっていて、毎月コンスタントに何型依頼する・・・とはなりません。月5型の時もあれば月1型の時もある。しかもパターン作成は彼が一人でやっているので複雑なデザインのものだったら単価は高くなりますがその分時間がかかりますし、一ヶ月でこなせる型数には限りがあります。そうするとタイミングによっては相手が希望する納期に間に合わないのでお断りしないといけない場面も出てきます。

こんな状況なんで来月、再来月の仕事の状況がまったく読めないわけです。その不安から依頼があったものはどんな状況でも断ることができずに睡眠時間を削ってこなすようになってしまったようです。

これができている内はいいですけど、睡眠時間を削り、家族との時間を削り、自分の趣味の時間を削ってまで仕事をこなさなければならない状況というのはいずれ必ず破綻します。お金というめちゃくちゃ重要なものの為であっても人の生活はそれだけでは成立しないのでバランスが取れてないとダメです。

なので、僕は彼に以下の2つの話をしました。


その①
パターンナー仲間の間で仕事を融通し合うグループを作る


Aさん、Bさん、Cさんの3人でグループを作ったとします。3人はそれぞれ違う客先と仕事をしています。
ある日、Aさんが仕事をしている某アパレル会社からAさんにパターンの作成依頼がありました。でもその時にAさんは仕事がいっぱいで受ける事ができませんでした。でも同じグループに所属しているBさんはこの仕事を受ける事ができました。なのでAさんはBさんにこの仕事を委託する事で某アパレル会社の仕事を受ける事ができました。・・・っていう仕組みです。

この仕組みのメリットは

① 仕事を受ける窓口が増える事で1人の時よりも仕事の量を安定させやすくなる。
② あくまでAさんが窓口なのでAさんは某アパレル会社の仕事を断らなかったという実績が積み増しされる。
③ Bさんが作ってパターンをAさんから某アパレル会社に納品するので、そこで手数料を上乗せする事ができる。

というこの3点があります。
特に②についてはかなり重要だと思います。というのも依頼が来たけど断った仕事というのは依頼側からしてみれば『Aさんに断られたからといってボツにできない』という事情があります。だったら他に受けてくれるパターンナーさんを探すでしょう。
そうして依頼を受けてくれたパターンナーさんに特別な問題が無ければ某アパレル会社さんは次の依頼もこの方に依頼しようかと考えるようになります。ここで仕事を一つ失うリスクが高くなってしまうわけです。
これを回避できるのは大きなメリットです。

逆にデメリットとしては

① 某アパレル会社とのやりとりの窓口はAさんがやるんですが、実際にパターンをひいているのはBさんなんで、ここの中継ぎをする手間が増える。
② Aさんの手数料分パターン代が割高になる。
③ Bさんのミスや納期遅れの責任をAさんが持たないといけない。

この3点じゃないかと思います。
まぁ③については管理手数料をもらうのであれば当然の義務ではありますが。

ともあれこの仕組みは賛同してくれるパターンナーさんを探すのはちょっと大変かも知れませんが、作る事自体は簡単だし、即効性もあるのでいいんじゃないかと思います。


その②
シンプルに単価を上げる


といってもいきなり2万円だった仕事を3万円にしたらお客さんから依頼が来なくなってしまうし、不信感を与えてしまうのでプラス5%程度ぐらいが現実的なところじゃないかと思います。
今まで多くの仕事をこなし、実績を出してきた彼ならその事情をちゃんと説明さえすれば値上げに多くの人が納得してくれるはずです。
ちなみに僕は当然、納得しますww




僕の知識と経験から出てきたアイデアはこんなところでした。

パターンナーさんの仕事とは技術と知識を使い、服の設計図を作ることなので仕事が早いとか遅いとかのスピードの差はあるけど、どっちにしても一定の時間がかかります。だから1日24時間と決まっている限り一ヶ月のうちにこなせる仕事量の上限は決まっています。

組織に所属せず、フリーランスでやっている限り、仕事量の上限が決まっているってことはイコール収入の上限が決まっているってことなので、収入を上げるために仕事を増やす、もしくは時間をかけて他の仕事をするという選択が難しい。

彼には本当にお世話になっているし、パターンの知識や経験、仕事に対する姿勢もめっちゃ尊敬しています。だから何とかチカラになりたいと思っているんですが、僕ではこれぐらいしか出てこないんですよね・・・。

どなたか何かいいアイデアは無いですかね・・・?

まだこの件は人に相談したりしてないのでこれから僕の知り合いに聞いて回ろうかと思っています。

彼が不安を感じることなく仕事に打ち込める環境を作るということは僕たちのブランドにとっても重要なことです。なんせ彼もブランドの一員なんで。

彼に気持ちよく仕事をしてもらえたら商品のクオリティにとっても必ずプラスになりますし。


皆さんにより良い商品を見てもらう為にも考え続けます。


それではまた!



よろしければサポートお願い致します!サポート頂いた資金は新商品や新サービスの開発費に充てさせて頂きます!