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EUのアパレル製品の売れ残り廃棄禁止に思う事。

先日、スマホのニュースアプリにこんな報道が流れてきました。

その記事はこちら


前々から噂には聞いていたけどさすがに禁止にはできないんでないの?って思ってましたが『禁止』となりました。

施行には事業規模ごとにある程度の猶予があるみたいですが、これから施行されるまでの期間、EU圏内のアパレル企業は大きな大きな変換を迫られる事になります。


それは今までの常識、価値観とは違う常識と価値観を作るほどの大変な作業になると思います。なんせ売れ残り、廃棄が前提とされた上で大量に作り、コストをおさえ、安く売って利益を生み出す構造だったのが最終手段の廃棄が禁止となるわけなんで、売れ残りをどうにか処理する仕組みを作らないといけません。

売れ残りは管理費もかさみますし、資産として課税対象にもなります。だからどうにかして無くさないといけない。

自分もこの法案の詳細をちゃんと理解しているわけではないのであくまで今の自分の理解の範囲での意見ではありますが、どうも『EUの事業者』ってところがミソっぽくて、めちゃくちゃ単純に考えたら『禁止されていないEU以外の国へ販売、輸出してしまう』っていう簡単な抜け道はありそうです。輸出先の業者が一旦、買い受けるのでEUの会社は『商品を販売、二次流通にまわした』となるからセーフっていう構造です。


もちろん焼却処分よりも大きなコストがかかりますし、二束三文でしか売れないでしょうから利益を出す事は難しい。だからと言って在庫をずっと持ち続けるような事は絶対にできないからどうにかして在庫は処理しないといけません。

何にしても今までの処理方法よりは全然コストがかかるから、できるだけ売れ残りを出さないように生産数量をより適正におさえざるを得ず、大量生産に支えられてたコスト、収益構造はまずここで崩れてしまいます。

生産数量減でコストが上がる。在庫処分の仕組みによりコストが上がる。それでもメーカーは利益を確保しようとするでしょうから、原料(生地や付属)や製造費(縫製工賃)を安くしようとする。ここにはイヤなパワーバランスがあるので仕入れ先はその要望に応えるしかないって感じになり・・・・・

結局はメーカーの利益は維持、もしくは微減で生地屋さんとか縫製工場さんなどの仕入先がさらに厳しくなる・・・っていう事になるのでないかと心配しています。

これは上っ面をすくっただけの情報で、特にこういう話に精通しているわけでは無い僕がたてた予想ですが過去の経験からそんなに大きく外れてはいないと思っています。減る見込みの利益はコストを圧縮する事で確保しようとする。それはつまり仕入先の利益が減るという事です。



アパレル業界の大きな大きな問題の一つであった廃棄問題に大きく踏み込んだ法案であり、世界の情勢的には当然と言えば当然だし、本当にいい事だと思います。地球環境的にもプラス方向に作用するとは思いますが、もっと狭い範囲で見たら生地屋や付属屋、工場などがさらに厳しい状況に置かれるという可能性が高い内容でもあります。

そういう仕事に従事している友人知人が多い僕にとっては手放しで称賛できないという一面があるのもまた事実。

今のところはまだ日本には同調するような動きは無いみたいですが、在庫の廃棄問題は現在進行形である。
そんなに遠く無い将来、同じような内容のルールが設定される可能性は高いです。


実際、そうなった時に日本のアパレル業界はどんな対応をするのでしょうか。


まだ何も決まってないし、起こって無いけど色々と考えてしまいます。



僕は服を作って、売って生きています。それが僕の仕事でありお金を稼ぐ手段です。だから大量生産、大量廃棄の問題に踏み込んだEUの法案には素晴らしいと思う反面、ちょっと不安もある。これが全く関係の無い業界で生活している人だったら『素晴らしい!』ってだけかも知れませんけど。
とは言え大量廃棄の問題が今のまま放置されていいとも思っていません。

そんなに在庫リスクを抱えてまで売り逃がしを無くさないとダメなのか。


そんなに稼ぎ続けなくっちゃダメなのか。

今一度、この課題に真剣に向き合わないとダメなんだと思います。

EUの法案はそのいいきっかけだと捉えて。



僕もアパレル業界の一部なんで色々と考えてみようと思います。


それではまた!




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