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9.感情を無視することはあまりに惜しい

私は映画を見るのが好きなんですが、見たい映画が多すぎてなかなか追いついていません。
いまアマプラとネトフリに入っているんですが、マイリストが溢れかえっております。これに上映中、これから上映されるものも加わるので増えていく一方です…。

そんななか、私がよく見ているYouTuberの「世界一のゆっけ」さんが激推ししている「君の名前で僕を呼んで」をずっと見たいと思っていました。しかしサブスクに入っていなかったことや他の作品を優先してしまった事で後回しにしていました。

しかし、今月アマプラに登場したんです!
これは見るしかない!と4日間の内定先の研修が終わった瞬間に見ました。今回はこの映画について書いていこうと思います。

君の名前で僕を呼んで

舞台は1983年夏の北イタリア。大学教授の父親と語学が堪能な母親との間に生まれたエリオは他の同学年と比べて聡明で賢く、趣味も読書や編曲など大人びている。そこへ父のインターンにアメリカからオリヴァーがやってくる…

俳優

🚹ティモシー・シャラメ
🚹アーミー・ハマー
🚺エステール・ガレル
🚹マイケル・スターバーグ
🚺アミラ・カサール

主演のティモシー・シャラメが美し過ぎて…。ちょっと男でもドキッとしてしまうくらいの美しさです。
特にキスシーンなんかは…。
また、父親や母親を演じている役者は目線や表情、醸し出す雰囲気、話し方をとても細かく表現しています。

音楽


基本的にはピアノとギターで奏でられています。
どこか儚く懐かしい感じを見ているものに与える優しい曲が多い気がします。
個人的にピアノとギターって組み合わせは神がかっていると思ってるんです。どうしてあんなに優しく、心に響くんでしょう。
Sing・street や Begin Again なんか特にそんな気がします。優しいメロディーと自分では絶対表現出来ないようなキレイで素直な歌詞。

また、イタリア映画っていうのも良い曲、サントラが多い気がします。ニュー・シネマ・パラダイスのエンリオ・モリコーネとか今回の作品もどこか懐かしく、温かい曲が多いような気が…
イタリアの土地柄や人となりなんですかね?

内容

最初は鼻につき、オリヴァーが苦手だったが次第に惹かれていくことに気づく。そこからやや遠回しにその気持ちを伝えたり、伝わらないからこそマルシアへと対象を変えたりしたが、やはりオリヴァーのことが気になる。
そして、お互いの思いが明らかになった時、

「君の名前で、僕を呼んで。僕の名前で君を呼ぶから」

2人で1つ。1人じゃ、半身でしかない。
哲学的だけど、ロマンチックなセリフですね。
また唯一無二の相手に出会ったのに別れなければならないつらい現実。

エリオと出会う前から婚約者がいたであろうに、それを、本当の自分も隠して、エリオと深い愛を求めあった。おそらくエリオと違い自国では理解してくれず、厳しい親や環境で育ったためクローゼット・ゲイとして生きる道を選んだのだろう。

母親はエリオとオリヴァーの気持ちもわかったうえで、両方に接し、聞くわけでもなく温かく見守っていた。それは彼女の行動や目線でよく分かる。この作品では彼女だけでなく、エリオやオリヴァーも手や足だけ、目元の表情だけなどで感情や思いを上手く表現していた。また、他の作品ではあまりない、ハエを使っての表現もしていた。ハエは熟れた果実などによってくる。つまりエリオがしあわせな、はたまた、辛い経験をして大人になっていく証である。
セリフが少ない分、表情や仕草から推測することができる。役者の演技があってこそ。
また、のどかな自然の中や、川で遊んだり、ギターやピアノを奏でたりと、生活や暮らしそのものが美しかった。

エリオの父は最後、エリオにだけ分かるように遠回しに慰め、説いた。
「思ってもいない時に自然は狡猾な方法で人の弱さを見つける。そんな時は私がついてる。」と。

こういう話は自分としたくないであろうこともわかった上で、自身の経験から教えられること、諭せることがあるから話した。難しかったと思う。


全てをわかった上で、エリオの気持ちも尊重した上であえて遠まわしに。
「お前たちは美しい友情を得た。友情以上かもしれない。羨ましく思う。」 
「何も感じないこと、感情を無視することはあまりに惜しい。」
「今はまだひたすら悲しく苦しいだろう。痛みを葬るな、感じた喜びも忘れずに」
息子にリスペクトの意を評したうえで、自分もそうだったから、そしてその経験を元に。


「感情を無視することはあまりに惜しい」良い感情も悪い感情も人間だからこそ成せるものであって、良くも悪くも原動力になる素晴らしいもの。気持ちの大切さとは何かって言うことを改めて考えさせてくれる。
とても素敵で自分の経験も相まってこの時代にしては先進的な父親だと思った。聞いたとき涙が出た。こんな大人になりたいとも思った。

ピアノやギターが織り成す柔らかい音楽と共に、
どこか懐かしく、儚く、温かい、そして淡い物語。

ただそれ以上に深く、幸せで、切ない夏の思い出の物語だった。

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