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ありがとう、KPOP

わたしの青春はKPOPと共にあったと言っても過言ではない。

中学校3年生~高校1年生の頃にEXOやバンタン、Zion.T(いきなり)を聴くようになってから、めくるめくKPOPの世界にあっというまに心を奪われていった。

EXOのGrowl。 BTSの前にダントツ人気だったグループ。
コンセプトは「未知の世界から来た新たなスター」で、メンバーはそれぞれ超能力を持っているという斬新すぎるコズミックロマンスが最高だった。


見た目は日本人とそんなに変わらない。それなのに、人間技とは思えないほどキレッキレで一矢乱れぬダンス、みたこともない振り付け、筋力に支えられたたしかな歌唱力。こんな「アイドル」はみたことがなかった。
あまりにも衝撃的だった。退屈な学校生活で、まったく新しい世界を教えてくれた。

わたしが最初に推したグループはSuper juniorというお兄さんアイドルだ。
今やSuper seniorと揶揄されるほど年上になったグループだけれど、このグループの年齢に似合わなさすぎるギャグセンスの高さが本当に大好きだった。兵役を控えたお兄さんなのもよかった。



KPOP公式のMVや音楽番組がYouTubeに投稿されているのも当時はめずらしく、お金のない高校生でもひたすらディグれる世界が本当にたのしくてありがたくて仕方なかった。
歌って踊る日本のアイドルがジャニーズとAKBグループの二強だった時代、多様なコンセプトを持った韓国のアイドルたちは、私たちに新しい選択肢を与えてくれた。韓国であれば好みも推しもよりどりみどりだった。
ことばの意味がわからなくても、音が心地いいからなんでもよかった。和訳を見ながら歌詞を辿ることすらたのしい。日本にはない語感、表現によいしれた。

どんどんディグってお気に入りの音楽やアーティストをみつけて、周りのともだちに「布教」していくのも楽しい。バッジを鞄につけて、1人、また1人と、じわじわとKpopのファンを増やしていく。そうして布教に成功した友達と一緒にカムバの日にはMVの公開時間ピッタリにYouTubeを開き、その不思議で抽象的な世界観の完成度と、推しのかっこよすぎる/かわいすぎるスタイリングに身をよじらせながら小さなスマホの画面に釘付けになってみていた。それを友人と語り合う翌日の学校。Super juniorの次に、GOT7とSeventeenが私の推しグループになった。
GOT7というグループで、私のKPOP史上最愛の推しに出会う。かっこよさとセクシーさ、頼れる年上感と抜けきれてない少年性、歌唱力とセクシーなダンスの実力......全てを兼ね備えた完璧なリーダー、JBだ。

好きなアイドルが来日する日の休憩時間には、友人と一緒に校舎の渡り廊下から空を眺め、上空を通り過ぎていく小さな飛行機を見つけては「もしかしたらあれに乗ってるんじゃない?!!ぎゃーーーどうしよう!!!」と大騒ぎしていた。推しが来日している時の日本の空気は「おいしくなる」と本気で思っていた。グラウンドで体育をする時は空が眺めほうだいだったので、あんなに運動が嫌いな私が張り切って体育の授業を受れるようになった。

高校で失恋をした時に慰めてくれたのもKpopだった。自分への自信や自尊心がダダ下がりになり、「この世界で私を愛してくれる人はもう誰もいない!!!」(思春期ど真ん中)とすら思っていた時に、異国の甘い言葉で私の自尊心をなんとか保たせてくれたのは、まぎれもなく彼らだった。

結果、韓国カルチャーにどハマりした私は受験勉強を怠り、浪人が決まった。

後悔と情けなさの憂鬱で涙もでなかった春に繰り返し聴いたのは、BTSのSpring Dayだった。繰り返し「会いたい」とストレートな言葉で歌われるこの曲は、先に大学に進んだ親友たちへの思いを代弁してくれている気がした。今聴いても、あの時の胸が締め付けられるほどせつない気持ちが蘇ってくる。

『会いたい 
こうして口に出すからもっと会いたくなる
君の写真を見ても会いたい
とても恨めしい時間
僕は僕らが憎いよ
もう顔を一度見ることすら難しい僕らが
ここはすっかり冬だ  8月にも冬が来た』

戒めに、浪人中は死ぬほど大好きだったKカルチャーを全て絶った。YouTubeも絶対に見ないようにした。あんなに心の軸にあったKPOPをプレイリストから駆逐した。ガラケーにして、KPOPからとにかく離れる生活を1年間貫いた。

そうじゃないと、また同じ過ちを繰り返してしまうと思った。だいすきだったからこそ、いちばん遠くへおいやった。

1年のKPOP断食の末に大学に合格して、真っ先に聴いたのは推しのグループの音楽だった。MVも貪りつくように見返した。
悲しかったのは、その時の私の心ははもはや、高校生の時ほど熱くならなかったことだ。大人になったせいか、1年間KPOPを摂取しなさすぎたからか、全く興奮しなくなっていた。

それでもKpop を聴くことは絶対にやめなかった。やめれなかった。

上京してきたとき、これからはじまる不安な1人暮らしの支えにしたのもBTSのLostだった。

それから大学に入った後も、ずっと何かしらで追い続けている。

最近のKPOPは、傾向としてラブロマンスよりセルフラブにまつわる歌詞が多い。何かと不安定になりやすい時期の安定剤に、KPOPの歌詞がいつもそばにある。

電話が鳴ってる
忙しく働いてる
私を嫌うのが好きなだけなら
私に愛される資格はないわ
好きよ
あんたが私を嫌ってるそのザマ

ここ1,2年でデビューした新しいグループはそこまでハマれてないのだが、それでも新しいグループが出れば必ず曲を見にいく。
どんなスタイルやコンセプトで売り出していて、今や世界レベルになったKpopがどんなターゲットで進出しようとしているのかを開拓するのが本当に楽しい。あの頃のように、空を見上げて本気ではしゃぐほど好きになることはもうない気がするけれど、私はこれからも細く長く、Kpopを聴き続けていくのだと思う。だから、今でもたまにグッとくる名曲を見つけると、本当に本当に嬉しい気持ちになる。こんな曲を作ってくれて、ありがとう...!!!と純粋に感謝したくなる。

今日がそれだった。昨年リリースされた曲、NCT DREAMのLife Is Still Going Onだ。歌詞がどう考えても良すぎる。それに合わせるメロディのテンションも良すぎる。私がKpopを好きな理由はこういうところなのだ。


アイドルにありがちな、「ほんとうの現実をなかったことにして、現実逃避の夢を売る」のではなく、ちゃんと現実の生身の若者の闇によりそってくれること。わたしたちの生活の延長線上にある音楽と言葉を届けてくれること。いやな気分の時も、憂鬱な気分の時も、常にそばにいてくれる、やさしくてむつかしくない言葉。ワールドワイドな意味。今を生きてるんだわたしたち、と不思議な連帯感すら抱いてしまうような包容力。

人生って思い通りにいかないよね
本当に心って思い通りにならないよね
That’s right
大人になっていくみたい
生きるってそういうことみたい
みんな先に進んでいくような 自分ひとり止まったような
That’s a life
そんな人生
どうにもできないような 漠然とした不安

この曲を一日中聴いていて思った。

わたしの青春の記憶は完全にKpopに彩られている。ありがとう、Kpop。
わたしの青春を豊かにしてくれて。鮮やかにしてくれて。わたしたち若者の思春期を支えてくれて、ハッピーにしてくれて、甘い思い出をたくさんつくってくれて。「好き」をたくさん持ってきてくれて。
今度はあななたちがしあわせになる番です。

ねじを巻いて やり直しても大丈夫
少しふらついて
ひとりだけのリズムを探して
しばらく揺れてもいい
遠回りしてもいい
楽しめたらいい
結局幸せならいい

(Life Is Still Going On)

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