卒業式はひとりファッションショー

大学の卒業式まであと1週間を切った。
実感は全くない。


先日、頼んでいた卒業式に着ていく服が届いた。
卒業がこの春きちんと決まるか、本気で自信がなかったので袴もレンタルしていなかったのだ。

早稲田はほとんどの学生が袴を着る。そうとなればここはもう、大胆に真逆を行くしかない。

肩パッドが入った、イメージはイギリス王室の妃が来てそうなワンピースを買った。マジョリティが和服で押しかけてくるものなら、こちとら西洋のフォーマルスタイルで勝負だ。

袴に全く興味がなかったかと聞かれれば、その答えはNOになる。袴はおそらく人生で大学の卒業式でしか着ないから、それなりの興味はある。

ただ変なところでレジスタンスをしたくなるのが私のどうしようもない性格らしい。

この前の成人式だって、わたしは成人式のつい1週間前まで「ワシはそんなミーハーで没個性的な会には行かんワイ!!!」といじけていた。
ところが成人式の1週間前に開かれた高校の同窓会で、コロッとやられてしまった。あまりにも美魅惑的なノスタルジーにまんまとハマってしまい、同窓会が終わって家に帰るなり「ママッ!!!私もやっぱり成人式に出たいッ!」と泣きすがった経緯があるのだ。頑なな意志も、あんがいすぐに変わってしまうのも私らしい。

もともと自前の振袖を待っていた叔母と、それを借りるために1週間で無双していただいた母親のお陰で、わたしはなんとか無事振袖を着、みんなと一緒に「没個性的な」会に参加できたのであった。
いつもお世話になっている美容室にも無理をいい、早朝の一発目(4:00とか)にヘアセットをしてもらうことになった。本当に、とんでもない娘野郎だと思う。

こうやって、突然の私の要望を叶えるために無双してくれた人たちが人生でどれくらいいるのだろう。私は結構、土壇場で「やっぱやーめた!」とか「やっぱやりたい!」といい出すタイプだったから、親も周りの友人も相当な迷惑を被っていると思う。自分の周りにもしそんな人がいたらたまったもんじゃない。
本当に、感謝、そして申し訳ない気持ちでいる。

さて土壇場どんでん返しでおなじみの私だが、今回ばかりはさすがに袴を着たいとはいい出せない。なんせ、レンタルするだけで数万もかかるのが許せない。ならばそのお金を、今後も着られる服に回した方がいいのでは?という多少の合理性や経済的な観点で物事を考えられるようになったみたいだ。

今回の私はドケチで、全てを安く手に入れられる海外通販で揃えることにした。
背が高くて良かったことは、海外の通販で気兼ねなく服を買えることだろう。丈は自分のサイズとぴったりだし、袖が足りないことやスカートが短すぎることを心配しなくてもいいのが本当に助かる。

数週間ほど悩んで選んだものが、さっそく届いた。完璧にジャストサイズ、私に似合っていた。

さあ、卒業式という最初で最後のひとりファッションショーを楽しもうではないか。
集団からはぐれてしまった者のやることはただひとつ。

そのまま、集団の対極へと一気に、ひとりで、堂々と、勇ましく進むことに尽きる。

来週のひとりファッションショーが、いまから楽しみで仕方がない。

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