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9/15(金)日記
*至極の一杯
広島は銀山町(かなやまちょう)、同じビールなのに「注ぎ方」だけで簡単に味を変えてしまうビールのマイスターがおりましてな。
彼がいる店の名は「ビールスタンド重富」。
ずっと行きたかった店、ついにこの日、念願が叶いました。
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銘柄はアサヒのマルエフのみ。
販売されてすぐは広告塔がガッキー、当時は結婚したばかりだったからせめてものご祝儀をと思い、一時期は取り憑かれたかのように飲んでいた。しかし、次第にその味のまろやかさに飽きてしまい、今はまたサッポロの黒ラベルを愛飲している。
ひさしぶりに飲むアサヒマルエフ。
これがどれほど美味しかったことか!!!!
過去、何度も飲んできたビールの「一杯目」の概念を軽々しく覆してくるうまさだった。もうダメだ。もうおれは二度と缶ビールでマルエフを飲めない。これは本当にあのマルエフなのか。
あまりにも爽快で気持ちの良いのどごし、泡のきめ細やかさ。きつくもないし抜けてもない、本当に超ベストな粒がはじける新鮮な炭酸。ごくっと喉を通した瞬間、まるで日頃の憑きものが落ちたかのような気持ちになった。
エンターテイナー的素質のある店主は、松重豊のようなイケボの持ち主だった。
「さあ、腰に手を当てグラスを傾け一気にグビッ!風呂上がりの牛乳を飲むような気持ちで!」
と、おそらく人生で1000回は言ってきたであろう名セリフを口にしながらグラスを持ってきた。
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まさに、至極の一杯。
死ぬ前にもう一度食べたい物は?と聞かれたら、すかさずこう叫ぶかもしれない。
「食べ物でもなんでもない、とにかく重富さんの一度注ぎビールを持ってきて!!!」と。それくらいには至極。
制限時間が20分、ひとり二杯までという良い意味での不自由さも良かった。ダラダラ飲むより味に集中できるし、味わいの変化にも敏感に感じられる。
やっぱり物事は何事もケツ、制限時間が大事なのよね。目の前に置かれた砂時計で時を刻みながらビールを飲むのはさすがに人生初の体験だったが、それさえも心地よく感じてしまうほどにはうまかった。それで気づいた。私たちは自由と同じくらいの不自由さを求めていることを。
立ち飲み20分間のビールの前でさえ、ひざまつく。私たちは不自由の奴隷だ。
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