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言の葉の栞

ことのはのしおり。
漢字で書くと、なんだか文様のように見える。葉と栞の下はどちらも「木」が入っているし、漢字と漢字の間に「の」が挟んでいる規則性が、文様に見える。

そんな話はおいといて。



私の人生を一冊の本に見立てたとき、ところどころのページには、きっと何百枚もの言の葉の栞が挟まっていることだろう。

言の葉の栞。誰かからもらった印象的な言葉。

何気なく言われて、ずっと心に残っている大事な言葉。うれしい言葉。もしくは、うれしくも悲しくもないけど、なぜか脳裏に焼き付いている言葉。細かい言葉は覚えてないけれど、いつか誰かとかわした純度の高い言葉のやりとり。純度の高いやりとりをした、という記憶。

いつか読み返したい言葉が、私の人生にはすでにたくさんある。そういう言葉をメモしたり、記憶したりして、言の葉の栞として長い長い(おそらく)人生の本の中に挟んでおく行為が、私は好きだ。

自分だけの言の葉の栞をどんどん挟んでいくことによって、自分がどんな人間なのかがうっすらとわかってくるような気がする。自分の人生の本に挟まれている栞をたどっていくだけで、自分が何を大事にしていて、どんなことが向いていて、どこに進むべきかが、なんとなくわかるような気がする。

人は誰かに言ってもらわないと気づかないことも多いし、そもそも意外と自分は自分のことを客観視できない。客観視するという意味でも、言の葉の栞はとても役に立つ。

ここで具体的に私の言の葉の栞をご紹介したいところだが、このnoteを読んでくれている人からもらったものもたくさんあるので、紹介することはちょっと控えておこうと思う。
恥ずかしいし、きっと言った本人はそんなこととっくの昔に忘れているはずだから。言った人は覚えてないけど、言われた人は覚えている。それくらいがちょうどいい。

あ、ひとつ思い出した。私の言の葉の栞。
「れおにーは、愛があふれてる人なんだね」という言葉。
その言葉は、私の人生の本の中にしっかりと挟まれている。

言われた当初は「愛だなんて!なにをそんな大げさな、恥ずかしいことを......!」と思い、すこし居心地がわるくなってしまった。でも言われて時間が経ってみると、自然とその言葉が自分に馴染んでくるものがあった。そして、自分の中で「これが愛か......」という見当がつくようになってきた。
例えばこのnoteで、出会ったことのない人に向けておだやかな夜を過ごせることを祈ったりするのは、おそらく愛と言われる物体なんだと思う。
今まではその気持ちが愛だなんて、気づきもしなかった。これが愛とはわからなかったのだ。でも人から言われて初めて、その感情に名前がつく。言葉があてがわれる。そしてはじめて、その物体が「愛」だと知る。

栞になるのは、そういう、誰かからもらってはじめて見えるようになったもの、聞こえるようになったもの、感じるようになったものが多い。自分がわからなくなってきたとき、こうして外からあてがわれた言葉を頼りにまた捉え直すことができるからだ。

つい最近も、言われてはじめて見えてきた言葉をもらう機会があった。
それも私の中で確実に、栞として人生の1ページに挟まれている。

誰かから言葉をもらうことは、基本的にとても楽しい。うれしい。
「れおにーは〜〜〜な人だね」とか、「れおにーの考えは〜〜〜だね」と言われることは、それがしっくりくる・こないに関わらず、基本的に楽しいものだ。自分が思う自分と、他者が思う私との乖離具合を見たり測ったりしながら、あれやこれやとひとりで考えるのが楽しい。

でも、多くの人は言葉に対して鈍感だ。雑な言葉の使い方をしている人や、言葉がとにかく事実の上を滑っている人も多いから、他者に向けて純度の高い言葉を与えることができる器用な人は案外限られてしまう。だから私も、いつでも誰でも、言われた言葉が栞になるわけではない。当たり前だけど。

だからせめて私だけは、他者を言葉で言い表すときには、最新の注意を払って、丁寧に吟味したい。

本当にその言葉で表現できる?するべき?

本人に向かってその人柄やイメージを言葉で言い表すときには、いちばん近く、いちばん傷つけない言葉をえらび、丁寧に包んでプレゼントするような気持ちで送るようにしている。言葉の純度を下げないように、少ない語彙の中でもできるだけ近いものを持ってくる。
「これがいつかあなたの栞になったりするかなあ」なんて、よこしまな気持ちも持ちながら。

......だんだん何を言いたいのかわからなくなってきてしまった。
あなたの言の葉の栞はなんですか。あなたがあなただけに向けられた言葉の中に、忘れられない印象的な言葉はありましたか。

:)

ところで、私の人生の本はどんな感じになるだろう、とふと思った。
分厚いだろうか。薄いだろうか。イラストが多い?それとも、文字がびっしりと詰まっている?

全てはこれからの自分次第だ。どきどきわくわく、たのしみで仕方がない。

きっとこれから増えていくページの途中にも、私の言の葉の栞は随時更新されていくはずだ。


おまけ。栞と言えば。


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