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好きな人のスキを知ること is 尊い

好きな人のスキなものを一生懸命知ろうとしている自分の姿に、我ながら「尊(とおと)〜〜〜!!!」と思う。

好きな人のスキを自分も好きになろうとする人間の性質、尊くないか。

たとえば、めちゃくちゃバイブスの合う人と知り合いになり、その人の好きな作家を知るとする。名前だけは知っていて、あえて自分からは手に取ることがなかった作家だ。後日、本屋に立ち寄った際にふと「そういやあの子はあの作家が好きっていってたな」と思い出し、その作家のいるコーナーで足を止めて、パラパラとめくってみる。なるほどこんな感じか、と新鮮な気持ちになる。ついでに買って読んでみる。すると思いの外自分もその作品を気に入り、次に会ったときに感想を深く話しこむ。

たとえば、好きな人にいつも聴いている音楽を教えてもらう。メッセでやりとりをしている最中、返信をする前にYouTubeに行ってMVをみてみる。最初の印象はいまいちだったのに、気づけば頭から離れなくなり、それを本人にも伝える。その曲はいつのまにかその人を思い出すためのテーマソングと化し、自分も大好きになっている。

最近なにかと「BTSのナムジュン愛読書!!」と謳われた書籍をたくさん見かけるのは、この「好きな人のスキを知りたい、そしてもっと好きになりたい!」という普遍的な尊いニーズがあるからだと思う。だって、推しのスキなものは知りたいもん。

どれこもこれも、ファーストルックでは自分の心の琴線に触れなかった作品ばかりだ。好きな人のスキでなければ手に取ることもなかっただろう。
けれども、好きな人たちとの思い出や交わした言葉など周辺の情報が増えていくうち、その記憶をひっくるめて全部大好きになっている。もっと知りたくて。もっと好きになりたくて。

……なんて尊いんだ!!!(小峠風に)

好きな人のスキを知り、普段は試さないものを試してみること。相手をもっと理解しようとすること。そうやってスキでもなんでもなかったはずのものを、じょじょにスキになっていくこと。ひとつのものに、たくさんの記憶や感情が塗り重ねられること。そうやって少しずつ好きな人のスキが自分のスキになっていくこと。自分のスキが広がっていくこと。そのぶん、ときに鎖のように心を重く引っ張るものにもなるが、総じていかにも人間らしい営みだ。

我ながら人間ってかわいいと思う。純粋に、利害関係なく相手をもっと理解しようとする無邪気な人間の営みは尊い。

そして生きている限り、自分が好きになる人たちはおそらくこれからも増え続ける。時が経てば人はまた新しい人を好きになり、その人のスキを好きになるだろう。そう考えると、たったひとりで生きていくはずだった自分の細長い人生の道が、ちょっとずつ広がっていくような気がする。

まだ見ぬ「好きな人」と出会うのを、いまのうちから楽しみにしている。ひとりでは行かなかった場所に連れて行ってくれるような、じぶんだけの狭い世界をちょっとだけ開いてくれるような、そんな私の知らない「スキ」を持った誰かの訪問を。



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