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憂鬱な水曜日、憂鬱なピアノ教室

あああ。いますぐ寝たい気分だ。書くことも思いつかない。なんなら旅先のベッドに入ったままこれを書いている。

なぜここまで意地になってnoteを書いているかというと、「毎日書く」ということを、ライターの同志と、なにより自分自身と約束をしているからだ。これだけはどんなに疲れていても、どんな場所で夜を過ごそうと、必ず書いてから寝なくちゃいけない。そう決めている。

ピアノの先生によく、「1日弾かないと、3日ぶん腕がおちるよ」と言われていた。それと一緒で、1日でも書かないと言葉の並びがつまってしまう感覚がある。言葉が淀みなく出てくるような筋トレをするという意味でも、何がなんでも、誤字ってでもいいからとにかく書くということを自分に誓っている。たまにサボるけど。

そうだ、今日はピアノ教室の話をしよう。

小学校2年生から4年生までの間、ピアノの教室に通っていた。母親の友人からの紹介で、ピアノ教室にしては少々高いレッスン代の教室に通わせてもらっていたらしい。
その女性は家のちかくにある個人宅を改造してピアノ教室としていた先生で、わりと有名な音楽大学を出た「マダム」の先生であることで有名だった。もとは声楽専攻の人で、喉の調子が悪くなるとレッスン中でもすぐさまのど飴を舐めるようなちょっと気難しい先生だ。
たぶん、ピアノを弾けるようになりたい、と私が親にかって出たのだろう。親はこんな娘のために大枚をはたいてわざわざ焦茶色のピアノを買ってくれ、なんとかピアノの教室に通わせてくれていた。

だが、そのピアノの先生と、どうも私はそりが合わなかったのだ。


マダムらしくお上品でやさしい先生だったし、一対一で丁寧にレッスンをしてくれるいい先生であることは幼いながらにわかったのだが、どうもその先生のもとでは「練習しよう」という気持ちにならなかった。

ふつうピアノは毎日隙間時間を見つけて、先週のレッスンで与えられた宿題を練習するものだ。けれどその「毎日隙間時間をみつけてコツコツ練習する」というのが、どうしても無理だった。
というか、与えられた曲がなんの面白みもない課題曲のようなものばかりで、なかなか練習意欲がわかなかったのだと思う。私はもっと、自分でも知っているようなディズニーとかジブリとか、簡単でもいいからそういう著名な曲を一刻もはやく弾きたくて仕方なかったのだ。

でもその音大卒のマダムは「基礎こそすべて」主義だったのか、私には基本の指の運びを練習するような、もはや曲とも言えないようなものばかり私に宿題として弾かせていた。

「意味もわからないコツコツとした作業」というのが本当にできない私にとって、このおもしろくもない曲の練習は、だんだんと苦行に変わってくる。

苦行に耐えかねた私はとうとう、練習をサボるようになってしまったのだ。

レッスンは毎週水曜日。水曜日に学校から家に帰ってくると、さささっとピアノのふたをあけ、なんとレッスンの直前だけ練習をして教室に行くという、今考えればとんでもないレッスン生になりさがってしまった。
当然、レッスンの直前だけチャチャっと弾いて宿題ができるようになるわけでもなく、毎週同じような指摘を受けて帰るという非生産的な通いをしていたのだ。
そんなことだから、毎週水曜日のピアノレッスンが憂鬱で憂鬱で仕方なくなる。毎週水曜日のレッスン直前に、嫌悪感と後悔とで泣きながら練習をしてピアノ教室へ向かうあの暗澹たる気持ちを今でも手にとるように思い出すことができる。

結局、塾がいそがしくなったのをいいことにピアノ教室は2年でやめたのだが、教室をやめてしばらく経ってからも、憂鬱な水曜日のトラウマは抜けることなく続いていた。水曜日の学校からの帰り道はなるべく時間をかけて、丁寧に練り歩きながら下校していたのを今でも思い出す。水曜日になんのトラウマも感じなくなったのはいつだろう。もしかしたら、中学生になってからかもしれない。それほど、毎週水曜日の憂鬱なピアノ教室の記憶は苦いものとして自分の中に残っていたのだ。

先生との相性がよくなかった......のだと思いたい。もっと練習意欲を駆り立てられる先生であれば、今頃ピアノもすらすらと難しい曲が弾けるようになっていたかもしれない。と思いたい。
今の私は有名な曲のひとつすら弾けない。もったいないことだ、ほんとうに。


だから、そんな「コツコツ」という言葉とはほど遠かったはずの私が今、毎日数千字のnoteを自然と書けていることに、自分がいちばん驚いていたりする。
もちろん、まだまだ読みにくいところはいっぱいあるし誤字もあるけれど、「毎日とにかく書く、出す」という自分で決めたことをある程度続けられている点ではやはり、自分と「書く」ということやnoteというこのプラットフォームとは、それなりに相性が良いのだろうな、と思う。あのマダムな先生とはちがって。

ふう。


いますぐ眠りにつきたいはずだった今晩のnoteも、なんとか書き終えることができた。この毎日noteを書き終えた瞬間が、1日の中でいちばんホッとする瞬間だ。これでやっと眠りにつける。

今日も読んでくれてありがとうございました。
また明日も覗きにきてください。

おやすみなさい。



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