見出し画像

逆噴射小説大賞2023セルフライナーノーツ

そもそも、ゲームデザイン/原案シナリオを生業にしてた時期あったので、僕は「設定厨」ってやつである。

今回、逆噴射小説大賞2023に応募した後、自分の応募が反映されているのかな?と検索してみたところ「ライナーノーツ」と銘した、あとがきっぽいのがエントリーされてて興味を持った。

読んでみると大体が、ゲーム原案における世界設定や、キャラクター設定、いわゆる「設定」ってやつだ。唆る。

思い出す限り、書籍に放り込まれた、ライナーノーツって物自体を「読んだ」ことがほぼ無いのを思い出しながら、レコードやCDや、画集に放り込まれてるそれらは読んだことあるなと、作法がわからないままキーボードを進める。主に「設定」についての独り言だと思って欲しい。

PentaCloth 126

元ネタの1つは「FP-45 Liberator」世界一適当に素早く作られた事で知られる単発式の銃。

全ての国の「抵抗者」が使えるようにとノンバーバルな取扱説明書が添えられ、その作成に若き日のウォルト・ディズニーに関わってるなんて逸話でも有名であるが、実銃としてもモデルガン等々としてもマニア人気すらなく、

当時物の実銃も、箱も、説明書も大した価値になってない可哀想な銃だ。

大量生産された上、優秀なライバル(ステンガン)の登場で、辺境のレジスタンスにすら、ほとんど使われず、そしてスクラップとして大量廃棄されたにも関わらず、残ったものにも価値がない・・・
そんな消費社会の象徴の様なこの「銃」にPentaCloth 126の世界では「依代」としての役目を与えてみたかった。

後方から「45ACP」という大型実包を1発ずつ詰め、発射することで発動するソレゾレの「ノウリョク」。そこに加わるのが

もう1つの元ネタ「LK-99」による体術的なもの。
ちなみに、LEEさんとKIMさんによる研究だからLKという設定は「実話」である。夢の常温常圧超伝導体「LK-99」に胸が踊った、サイエンスフィクション好きは多いのではないだろうか?

そしてその後の「超電導体ではない」というニュースと同時にやってきた、「反重力は存在せず」つまり「反物質」に働く重力は「反重力」ではないというコンボ。

その残念な気持ちを、研究所と同じ軽度だけで再現する物質だったという前提で本作には取り入れてみた。

全体としては体術+能力バトルなわけだけど、弾をこめる際の制約とか、2丁拳銃使いだったりとか、「ノウリョク」の性質に介入できる要素を少なからず設けてみてはいる。

フィリピンのダバオ、オーストラリアのプリンス・リージェント国立公園、沖縄、久米島が本作の舞台なんだけど、Google Mapsのストリートビューで久米島をプラついてると、無茶苦茶グラインディング向きの建物だらけでワクワクした。

彼は無情な審判者、純血の権威が闇世界を操る

これは実は「ラブコメ」である。
NINETY-NINE NIGHTSという、世界だとそこそこ売られて、日本だと・・・なゲームのシナリオ原案を僕は若いころに書いていた。

原案と実際にプロデューサーの手を経てリリースされるものは得てして変わるもので、人間と「亜種」とされるもののそれぞれの正義を描いたシナリオの「亜種」版は一部はカットされ、残りはほぼ原案のままリリースとなったが、人間のシナリオに関しては、僕の書いた「ラブコメ」は世に出ず、そのまま人の目にふれる場所に「ラブコメ」というものを一度も投下したことがないまま今に至っていた。なので書いてみた。

「純血の権威」とは圧倒的な資産であり、負債である。
それらを乗り越え、距離を確認しながら不器用に進む恋、いずれ生まれる愛。そんな話の序章の800文字。

「純血の権威」は跳躍運動つまり(踊り)と、言霊を伴って神和る能力なのだけど、クロサキが降ろすの神ではなく「先祖」という血脈そのもの。それは、絶対的な権威であるのと同時に、クロサキにとって孤独の象徴でもある。

振り返りとして、800文字で「続きが読みたくなる」というレギュレーションは素晴らしいゲームデザインだなと思った。

2作応募したばかりなのに、来年の事をもう考えてしまう。
1年寝かした妄想の蠱毒が蓋をあける来年まで皆さんまた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?