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【エッセイ】みんなで食べると美味しいね、は本当だよ

上京して数年、一度も自炊をしたことがない。基本的にはコンビニかスーパーのお弁当。週に2~3回の夜にバイト先の賄いを食べる生活をしている。

もちろん身体に悪いことなど承知なのだが、どうしても「疲れた」が勝ってしまいご飯を作ることが出来ない。まともな食事をしないから、たまに実家に戻った時の食事の時間が楽しみである。

 家に帰れば毎度母から「今日は何食べたい?」と聞かれる。リクエストすれば、いくつものおかずと共に食卓に出される。母の作るマカロニが好きだ。

 たまに外食したくなって「ラーメン食べたい」と言えば、父のおすすめのラーメン屋にみんなで行く。家族全員で車に乗っている時間が好きだ。

 ご飯中に静になることは無くて、妹と弟が今までの学校生活について沢山話してくれる。愚痴だったり、友達の話だったり、二人のボケに突っ込む時間が好きだ。

 上京するまでは当たり前だった日常が、こんなに素敵だとは思わなかった。「みんなで食べると美味しいね」って本当なんだと思う。食事がいつの間にか「生きるために必要な行為」になっていた。そんな私が、こうしてまた食べることの楽しさを取り戻すことが出来たのだ。

 今ではただ実家で家族とご飯が食べたくて、地元行きのバスに乗ったりする。そんなこと恥ずかしくて言わないけど、なんだかんだ好きなんだよなと実感する。

 いつかは恩返しとして、完璧な手料理を振る舞うことができたらいいなと思うけど、それはもう少し先のようだ。

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