📑 お客様評価★5の秘密をテキスト分析したら、CS部門に頭が上がらなくなった話

こんにちは、Rentioの高橋です。

先日、代表の三輪がこんなnoteを投稿しました。

このnoteにもある通り、Rentioを利用された約7%の方がユーザーレビューに回答してくださっています。

またRentioでは「使った商品に関するレビュー」「Rentioのサービスに関するレビュー」の2種類にお答えいただいているのですが、このうちサービスレビューでは★4以上の評価が97%と非常に高い数字になっています。

しかも「投稿したらもれなく◯◯！」的な総付キャンペーンも一切行ったことはありません。最近になって、抽選で毎月たった数名の方に御礼クーポンをプレゼントしはじめた程度です。

（※ちなみに断言しますがいわゆるお金で買ったサクラレビューは0件です。明らかなスパム投稿を除いて全件公表しています。）

なぜRentioのサービスに関してここまで良い評価をいただけているのか？

手前味噌にはなりますが、今回すべてのレビューコメントを「計量テキスト分析」にかけて傾向を探ってみました。

はじめに
私自身は統計学に関する知識もない素人で「計量テキスト分析」なんて単語も初めて知った具合です。そのため決して高いレベルの分析ではない点をご承知おきください。むしろ「専門知識がいらなくてもこのくらいできるんだな」と理解いただければと思います。

今回対象としたレビューは
（1）商品のレビューではなくRentioのサービスに関するレビューのうち（2）星の数による評点のみではなくコメント文も付いているレビュー
→ 合計 5,316件（443,001文字）となります。

そして今回は「KH Coder」という文章データを統計的に分析するためのソフトを使いました。使い始めるにあたってつまづいた点なども最後にまとめてご紹介します！

とりあえずよく出てくる単語は何なのか？

まずはレビューの星の数に関わらず、単純にコメント毎によく出てくる単語をリストアップしてみることにしました。

はじめにKH CoderにCSVやエクセルファイルなどの文書データを読み込み、分析前の準備作業を行います。この時にあえて抽出”したくない”単語も設定できるため、今回は「Rentio／レンティオ」などサービス名そのものは除外することにしました。

規定の分析準備が終わったら「抽出語リスト」メニューをクリックします。

これがKH Coderの画面の一部です。
ポチッとな。

ふむふむ。4割弱のコメントで「返却」という単語が出てきて最多のようです。あとは「簡単」「対応」といった単語も上位にいますね。

14位「使用」の出現回数560までが全コメント数の10%にあたるので、その辺りまでが ”Rentioのレビューにおける頻出単語” と言えそうです。

さらに品詞別にランキングを出すこともできます。

以下のキャプチャは一部の切り抜きですが、品詞の種類だけでこの倍以上の種類にめちゃくちゃ細かく分類されます。

例えば形容動詞や形容詞の欄を見ると印象を表す単語が見て取れるように。「簡単」「丁寧」などポジティブな単語が多く嬉しくなります。

また地名欄を見ると圧倒的に「沖縄」が多いことが分かります。これはいまのRentioの人気ジャンルがカメラであることが理由です（名詞欄の2位にも「カメラ」がいますね）。

「旅行のときだけ一眼やGoProを使いたい」という目的のお客様に今やかなりRentioを使っていただけており、そういった旅行の行き先が沖縄であるケースが多いようです。

旅行先としての「沖縄」人気が改めて証明されたところで本題に戻ります。

星の数ごとに共通してよく使われている単語は何か？

さて、先に挙げたデータでは単に「よく使われている単語」しか分からず「Rentioが多くの星の数をいただけているポイント」がまだハッキリしません。

そこで次はKH Coderの「外部変数と見出し」メニューから評点（＝星の数）ごとに抽出してみます。

ポチッとな。

そうすると評点別に表が出力されます。ただしそのままでは無機質でどの数字に注目すべきか判断しにくいです。

そこで得られた表に対して、評点ごとにそれぞれ10%より多く登場する単語には黄色、20%より多く登場する単語には赤色を付けてみました。

すると上記のように★4と★5のコメントだけ明らかに黄色と赤の欄が多く、すなわち特定の単語群が含まれやすいことが分かったのです。

逆に言うと★1〜3では色々な単語がバラつきがちと言えます。共通して出てくる単語が少なく、ここから低評価の要因を分析するのは難しそうです。

補足すると★1〜3はそもそも母数がかなり少ないので、3〜4回登場するだけで簡単に頻出単語扱いされてしまいます。
というか数が少ないので分析するまでもなく、全部のコメントを見てカイゼンに繋げる方が早いですね。

ちなみにこのような評点ごとの偏り具合はKH Coderの「対応分析」メニューでも可視化することができます。

ポチッとな。

オレンジの1〜5が評点、青緑の点がそれぞれの単語です。

やはり★4〜5には共通する単語が多く、一方で「★1〜3ばかりに出てくる」単語は少ないことが見て取れます。

余談ですが★4の方向に大きく距離を出している「少し」という単語。まさに★5には何かが「少し」足りなかったことが伺えますね 笑。

改めて★5に絞って見てみる

Rentioの★5のレビューに特に共通してよく出てくる単語は「返却」「簡単」「対応」「ありがとう」だということが分かりました。

もちろんこの時点でもどのような文脈でこれらの単語が出てきたのか、なんとなくで察することもできるでしょう。ですがもう少し深堀りして、これらの単語が★5のレビューでよく使われる背景を探ってみたいと思います。

★5の上位単語はどんな文脈で出てくることが多いのか？

まずは単語ごとの繋がりの強さをKH Coderの「共起ネットワーク」メニューで見てみます。

ポチッとな。

こんな感じで出てきました。先ほど挙げた単語ごとに注目してみましょう。

1. 「返却」「簡単」

まず最も多かった「返却」の辺りを中心に見てみることで、返却のステップに関してどのような単語と一緒にコメントされているのかが分かります。

すると「返却」は同じく上位だった「簡単」とよく一緒に出てくることが分かります。さらに「コンビニ」ともそれなりに繋がっていて、そのコンビニからは「便利」という単語への繋がりが多いことも見て取れます。

つまり「返却」を起点に見ると「Rentioはコンビニから簡単に返却できて便利だった！」的なコメントが多かったと推測できます。

そして隣にいた「簡単」を起点に見ると、返却だけではなく「予約」もそれなりに繋がりがあり、「予約が簡単」という主旨のコメントも次いで多かったことが伺えます。

改めてRentio代表三輪のnoteを見るとまさしく同じ点に言及しています。

”この中で一番評価して頂けているのは返却が簡単と言う項目でして、9割弱の方がチェックしてくれています（2位は予約が簡単）。先述した返送用のテープ等もですが、返却についてはWEB上のUIの設計にも非常に拘っており今は以下の様な流れで返却手続きができるようになっています。”

2. 「対応」

頻出順位で「対応」の単語が上位にいるという情報だけでは、
・何に関する対応が語られたのか？
・Rentioの対応がどんな結果を生んだのか？
までは計り知ることができません。これが共起ネットワーク図にすることで傾向が掴みやすくなりました。

図を見ると「丁寧／親切」や「迅速／早い」も同じ文脈で多く語られており、「対応が丁寧で親切である」「対応が早い」点が主な文脈であると考えられます。

また右下の「チャット」との繋がりから「チャットで問合せた際の対応が早くて丁寧だった」という文脈も一定数ありそうです。

これらはKH Coder上で実際のコメントを見ながら確かめることもできます。表示された共起ネットワーク図の単語「対応」の部分をクリックします。

すると「KWICコンコーダンス」メニューを開くことができます。この時点ではあくまで「対応」の単語が使われている文章が投稿順に並ぶだけです。画面内の「集計」ボタンを押すことで、「対応」から前後5つによく出現する単語を数字で見ることができます。

この表から「対応」の前後5つに登場する回数を調べると、「丁寧+親切」が472、「迅速+早い+素早い」が332となりました。

このことから「対応」に関する文脈では「質の高さ」「早さ」の順でコメントの対象となりやすいことがわかりました。

お客様対応の質の高さについてはRentio代表三輪のnoteでも触れています。

”Rentioのサービスとしての特徴の1つに、カスタマーサポートの質が高いと言う点があると思っています。実際にレビューを分析したところ自由コメント欄にて［メール、電話、チャット］の対応の良さについて言及してくれているレビューが1,000件程ありました。ここでもユーザーさんの想像しているサービスレベルを超えることが出来たのではないかと思っています。”

しかし今回の分析で「質の高さ」だけでなく次いで「早さ」も期待値を上回れている、あるいは★5の満足度をいただくためのポイントであることが伺えました。

3. 「ありがとう」

「ありがとう」の単語は共起ネットワーク図には出てこなかったので、先ほどの「KWICコンコーダンス」メニューから直接検索してみます。

ポチッとな。（最後です）

表を見る限り、何か特定の単語と強く関連して「ありがとう」が出てきたわけではないようで、一覧にも汎用的な単語が多いです。共起ネットワーク図に現れなかったのもそういう理由かもしれません。

ですがその中でも「本当に」や「助かる（助かった／助かり 含む）」が関連度の上位にいることが分かります。

ここからお客様に起きた想定外の事態におけるRentioの「対応」が★5に頻出する「ありがとう」に繋がっていると伺えました。

★4から★5へ評点を上げられているポイントとは？

（再掲）

さて、単語を掘り下げて分析することでRentioの場合は
「返却が簡単」
「対応（が丁寧、早い）」
「ありがとう（助かった）」
この3つのコメントを書きたくなる体験を生み出せていることが、★4から★5へ評点を繰り上げているポイントだと分かりました。

実際にこうした高いお客様満足度の積み重ねによってRentioのリピーター比率は現在も右肩上がりを続けられています。

しかしここで立ち止まって考えてみると「返却が簡単」の仕組みはUIやシステムやインフラの整備で解決できるものです。もちろんここも日々カイゼンしているものの、言ってしまえばある程度はその気になれば真似できてしまいます。

ところが「対応（が丁寧、早い）」「ありがとう（助かった）」と書きたくなるお客様対応となると、これは並大抵のサポート品質では成せないのではないでしょうか？

事実、私自身いろいろなサービスのチャットサポートをユーザーとして使ってみたことがありますが、ほぼ確実に1分以内にレスが来る非bot型のチャットサポートはRentio以外では見たことがありません。

さらに内情をちょっとだけ明かすとRentioのCS部門はお客様対応だけでなく、レンタル商品の検品や出荷管理から、1,000種類を軽く超える在庫の仕入れまでをすべて並行して行っています。

そのうえで質の高いお客様対応を実現して★5を爆誕させ続けているとなると、RentioのCS部門のスキルは相当マルチでハイスペック集団な気がします。

これは頭が上がらない…私含め他部門も頑張らねば！

ということで最後に宣伝です

そんなRentioのCS部門では絶賛メンバーを募集中です。

事業拡大に向けて、Rentioの高いお客様満足度を下支えするお手伝いをお願いできませんか？ぜひこちらからご応募ください！

https://www.wantedly.com/projects/343561

他にもグロースハック的なスキルをお持ちの方をはじめマーケティング部門なども絶賛募集中ですm(_ _)m

付録：KH Coderを初めて使ってつまづいたところ
もし「KH Coder使ってみたいな〜」と思われた方の役に立てばと思い、初めて使った際につまづいたところをリストアップしておきます。

1. Macだと導入が少し大変
リテラシーの高い方ならクリアできるかもですがこのハードルは結構高そうです。ただしありがたいことに公式のMac用インストールサポート機能が約4,000円で提供されています。自力で数時間しらべても成功しない予感がしたので早めに買ってしまって正解だったなと思いました。

2. 文字コードでつまづく
文書ファイルはエクセルのデータでもCSVでも良いのですが、何度かこの読み込みでつまづきました。これもMac由来の可能性が高そうなのですが、保存時に「Shift JIS」を選択する、CSVの場合は一度テキストエディットappで開いて再保存するなど行うことで何かクリアできました。（雑）

3. Macで若干操作しにくい
原則Windows向けに制作されていることからやや慣れが必要でした。例えばショートカットであればWindowsで言う「Ctrl」が「Cmd」ではなく文字通り「control」に対応しているところ、日本語入力モードへの変更に「Shift + スペース」と不慣れな動作が必要だったりします。

4. 項目名がちょっと独特
文章を扱う単位を「文」「段落」「H5」の3つから選ぶことができます。「H5」というのはすなわちCSVの1つの行のことで、今回であればコメント1件に含まれる全ての文章がこの「H5」にあたります。これを理解せず最初はすべて「文」の単位で分析していたのですが、とある単語が妙に上位に来ていておかしいなと思って調べてみたら、特定のコメントの中で同じ単語が何度も連続で使われて頻出扱いされていただけでした。目的によって選ぶと良いかと思われます。

5. なんやかんやの設定で適正な値が分からない
データを可視化する時など「どのくらいの頻出度合いを対象にするか」「上位いくつまでを特徴的な単語としてみなすか」的なことが細かく設定可能です。素人すぎて適正な値が分からずデフォルトの値におとなしく従うしかありませんでした。ただデータによってデフォルト値も自動的に調整されているようなのでお任せするのも正解なのかもしれません。

KH Coder、ご興味ある方はフリーソフトなのでぜひ触ってみると良いかと思います◎

記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました！

この記事を書いた人：高橋（@MIZ_Kitchen👓）