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幸運に突き当たる偶然の確率を高めるために! 150年後の子孫たちを探して台湾高雄六龜區荖濃里に行ってみた

なかば当たりをつけながら質問をした。

私  : この写真の子供たちの子孫を探しています。知っていますか?  どんな人達なのか、会いたいんです

この女性  :  それは私達ですよ

私  :  え~っ ! 

ほんと感じの良い人たちでした。
我ながら、私、嬉しそうですね。

私が見せたのは、今から約150年前、1871年4月15-16日にこの地を旅した英国人の写真家ヨハントムソン(John Thomson)が撮影した写真(表紙の写真はトリミングしている)。

写っていたのは大武壠族の兄と妹たち4人で名前までわかっている。ホンさんちのゴンナとその妹達。

この写真は小林平埔族群文物館の展示ビデオから

私はこの写真の存在を台北の順益原住民博物館の特別展で初めて知った。

順益原住民博物館。2020年10月3日、特別展の閉幕直前に訪問。看板の写真はまた別の人。こちらは更に有名な写真。とても良い写真だ。この人の子孫に関する情報は持っていない。

堂々たる態度

カメラのレンズをにらみつけるような強い眼光。意思の強そうな表情。

別の博物館、小林平埔族群文物館の展示パネルより

西洋人との遭遇、写真撮影、どちらも恐らくは初めてであったであろう。しかし、全く怯んでいない。この面構え、この落ち着きよう。堂々としている。とても気にいり、展示パネルをスマホで撮影しメモとして持ち帰った。その写真を見ながら強く思った。

この女の子、かっこいい! 

この子達はその後どのような人生を歩んだのか? きっと素晴らしい人生を歩んだに違いない。少なくとも、物事を自分の意思で決定し、自分の人生を歩んで行ったのだろう。

知りたい! 

こんな思いが芽生え、むくむくと成長し始めた。子孫をさがし出して聞けばわかるかもしれないと!

4ヶ月後、行動に出る

ここまでは、まあ、考えているだけなら内心の自由なんですがね。ところが実際に無謀にも人探しの旅にでてしまいました。地名以外に手掛かりが無いにもかかわらずにね。2021年2月20-21日のことでした。

偶然の幸運

それでも冒頭のやりとりの様に面会は実現してしまった。この時あまりに感激して、あの子達のその後の人生について聞きそびれました。しかし、子孫の方々を見て、それがよき人生であったと十分に推察でき、安心し納得しています。一緒に記念撮影もさせてもらいました。

幸運を呼び込んだ要素

このような幸運がどう舞い込んできたのかというと、

表面的には道を間違えたからなんです。

台鐡台南駅の後面にあるレンタルバイク屋でスクーターを借りて走る。国道20號を山に向かってひたすら走って行く。荖濃と言う場所を目指して走る。ところが、Google MAPを見ているのに左折すべきところを間違えて右折した。そのことにだいぶ走ってから気づく。戻るのも何かもったいないので山を大きく迂回して行くことにした。

このため目的地到着が大幅に遅れる。
やっと目的地近辺に来て、情報収集の拠点にしようと思ったコンビニで店員に写真を見せるが全く知らないという。

特段何の変哲もない7-11ですが、この方面へ出向く時の拠点にしています。

それどころか、変なことを聞くおっさんだなと言う視線を感じた。店に入ってくる他の客にも聞こうと思ったが、迷惑行為に認定されかねないと気付く。若い店員さんのこのリアクションと、たったの一言で目が覚め意気消沈してしまった。

「やっぱり無謀だったかな? いい年して俺、何やってんだか」

元々は日帰りの予定でしたが、そのまま帰るのも惜しい気がした。宿泊して作戦を考え直すことにした。来たばかりなのに、だんだん夕方が近づき多少あせりながら、コンビニのテーブルに陣取った。へたな中国語で民宿に電話した。この地にほんの数軒しか無い民宿で、1軒めは断られ、2軒めで宿泊場所を確保した。その民宿に情報があった。

幸運な偶然に感謝!

老闆娘(女将さん)は、春節繁忙期の翌週なので休んでいるところだったと言っていた。泊めてくれて良かった
現代的プランテーションの中にポツンと存在した民宿。この民宿もまたコーヒー自慢だった。
夕食   この日、接客を予定しておらずご家族と同様な食事
朝食   お粥が美味しかった

数年前に高雄師範大学の研究チームがこの地の歴史・文化・風土の調査にきたそうだ。

その時、調査拠点としたのがこの民宿だったそうだ。当時、あの写真の子孫の家族が、つまりグレーのadidasのトレーナーを着た女性が、この民宿に呼ばれてきて研究チームと面談したとのことだった。

だから民宿の老闆娘も会ったことがあると言っていた。後日記念に調査報告書が1冊贈呈されたそうで、それを見せてもらいました。

私が民宿を訪れた4年前
研究者たちの直筆サイン!
他にも様々なテーマで研究されていた
おお、この方達が情報を置いていってくれたんだ。    感謝感謝!!

何という幸運。老闆娘からおおよその位置を教えてもらい翌日訪問してみた。

この民宿には地元の観光資源を示すパンフレットが置いてあった。それにも150年前との対比の写真が出ていた。しかし、民宿の老闆娘によると、「若い人は知らないよ」とのことだった。7-11での店員さんの反応は当然だそうだ。

茅葺の住居が150年前のあの子達の家。今も同じ場所に同じ様な感じで建っている。記念撮影はこの家の前で。

結果オーライ!  と言ってしまえばそうなんだが、、、

私の場合、行動の開始時点では荒唐無稽な妄想にすぎなかったであろう。しかし、後から分かってみると、自分が知らなかっただけで、けっこう情報は存在していた。

道を間違えたことは、民宿に辿り着くための偶然の助けにはなったが、本質的ではなかった。大前提はその場所に行こうとしたことであって、やっぱり行動してみるって大切なんだろうな。

ありきたりだが、言いたい。

若者よ、想いがあるならそこに行け!      
幸運に突き当たる偶然の確率を高めよ!

旅に出よ!

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